シイタケ嫌いがイタリア旅行から帰ってきました。「日本っぽいものを食べたい」ということだったので、熟慮に熟慮を重ねた結果、おにまるです。
お土産に乾燥のポルチーニ茸を頂きました。嬉しいな。水で戻してクリームで煮詰めてニンニクとパルミジャーノでパスタにしよう。考えただけでヨダレが。
おかえりなさいと日本のビールで乾杯。イタリア談義に華が咲く。「最後の晩餐の教会って、えーとえーと」とマゴつくので、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会ね、と助け舟を出す。「ほんと何でもよく知ってますよねぇ」と半ば呆れ気味に褒められました。全て失った後になおも残るもの、それが教養。
ガメ煮。「おっ、これこれ」と日本の味に飛びつくシイタケ嫌い。もちろん彼の皿からはシイタケが取り除かれています。
スーパーバイザーは遅れて来るとのこと。「ホタルイカはスーパーバイザーの大好物だから、取っておいてやりましょう」と、シイタケ嫌いの優しさとヒゲの濃さは一級品である。
白金高輪開拓パートナーにも声をかけると15分で到着。「あ、山本がある。それお願いします」と我々の悠長なビールを日本酒でゴボウ抜き。
蟹豆腐はサッパリとした豆腐と濃厚なカニが同居して前菜として最適。日本酒に切り替えてちょうどよかった。
中落ち。スプーンでこそぎ取りながらネギと一緒に海苔で巻いて一口で頬張る楽しい皿。一通り食べ尽くしたと思っても、裏返したB面にもたっぷり身が詰まっているのです。
前述のホタルイカ優しいの流れで男性陣優しい選手権のようになってきたので、私も甲斐甲斐しく皆の中落ちを取り分ける。シイタケ嫌いの箸が進んでいないので早く食えとせっつくと、「スーパーバイザーが来るまで待ってます。出遅れた感、可哀相じゃないですか」と並外れて優しい。
豚足。当店では初めて頂きます。一度煮込んでプルプルにした後に、仕上げに炭火で焼き目を付ける。一口目はザクっと香ばしく、舌の上で転がすと溢れ出るコラーゲン。体験型の味わい。
「あ~。アタシのオススメ、豚足食べてるじゃないですか~」と肩を撫でられ振り返るとそこには美人局が。やあ久しぶりだね元気かい、と返すと「何言ってんの、ゆうべは夜中まで一緒だったのに」とハラハラする台詞回し。ゆうべは山田と緑茶ハイと美人局と私の4人で静かに飲んでいただけなのに。
「僕、豚足食べなくていいんで、皆さんでどうぞ」とシイタケ嫌い。新手の優しさのつもりかい?と問うと「好きじゃないだけです。昔、豚の毛が付いたままのものを食べてしまって、それっきり」と、単に毛が濃い同士の同族嫌悪でした。
チャーハンに明太子チョイのせ。そう、当店はこのような最高の普通を作らせれば天下一品なのである。
風呂あがりのスーパーバイザー到着。開口一番「アンキモください」と発想がオッサン。
日本酒とアンキモの組み合わせは向かう所敵なし。これ外人とかにも絶対ウケると思うんだけどな特にフランス人あたり。
先ほどの中落ちのヒレの部分を炙って食す。肉の旨味が凝縮された上に炭の香ばしさも加わり日本酒が進むのなんの。メイの鳩料理でも思いましたが、同じ食材を段階的に調理して形を変え意外性を付与する手法は飲食店にとって非常に有効です。
さつま揚げはいつもと違った食感でむっちりとした仕上がり。魚を食べてる感がダイレクトに伝わります。
今夜は酒のペースが異様に速く、おにまるず夫妻を中心にスイスイと肝臓にアルコールが吸い込まれていく。「タケマシュランと久々飲めるのが嬉しくって。だって僕ら、夫婦の会話の2割はタケマシュランについてですもん」。私の生活も責任重大になったものである。
ハマグリの酒蒸し。店主も今夜のコンセプトをよく理解して下さっています。子供の拳ほどもありそうなハマグリをたっぷりの出汁に潜らせる。ワカメもガッポリ。身体がすっかり浄化され、今夜はまだまだ行けそうな気がします。
23時過ぎ、もう1人のおにまるず人員が到着。景気づけに獺祭で乾杯。なんだかんだ言ってやっぱ美味しいです獺祭。
高菜。漬物が出てくると饗宴も終わりに近づいてきたのかと寂しくなる。この頃になると店内は全員が親友で、いつの間にか美人局とその友人も我々と共にテーブルを囲んでいるのです。
フグの唐揚げ。フグ料理では唐揚げが一番好きかも。てっさやてっちりは味が薄くてあまり食べた気がしないことが多いのですが、唐揚げだとギュっと身がつまり衣のカラリ感も添加され、満足度が一気に引き上げられる。
ああ日本酒が止まらない。どういう流れなのか皆がカラオケに行きたいと言い出す。私は行かないよと断固拒否の姿勢。だって、酔った勢いでカラオケ行くとすごく高くつきません?得られるサービスは同一なのに昼と夜の価格差が倍以上あるのには納得できないのです。
〆に○○○○。昔はメニューに載っていた料理ですが、手間がかかって大変らしく現在はお蔵入りとなった幻の一皿です。店主に何とかお願いして今回だけ特別に作って頂けました。
○○○○にはビールと相場は決まっています。
「白米下さい!」と力強い声の主を見遣るとスーパーバイザー。今夜の彼女はずいぶんな中年オヤジです。
深夜1時のデザートにホルモン炒め。ビールおかわり。最高か。
酒と食事に大満足。さあ帰ろうと言う時に、「わかりました。夜のカラオケは昼に比べて高くつくから嫌なんですよね?つまり、僕が払えば来てもらえますよね?」この男は一体何がわかったというのだ。皆に両腕をがっちりと固められ、カラオケ屋へと連行される。交番の前で思いっきり拉致られているのにおまわりさんは一切無視。日本は平和だ。
行ってしまえば誰よりも楽しむ主義。ドラゲナイはマイクの持ち方を替えるだけで結構ウケます。
これはGLAYのTERUをイメージしました。
こちらはL'Arc-en-Cielのhyde。割と芸達者なほうです。
スーパーバイザーはモー娘。のプラチナ世代なのですが、私の恋愛レボリューション21にも付き合ってくれました。
その後も私の勢いは留まらず、大声ダイヤモンドぐらいなら割と踊れちゃうので会場は笑いの渦。オッサンって得だよなあ。普通に歌って踊ってるだけなのにウケる。笑わせているのではなく笑われているだけかもしれませんが、皆と楽しい時間を共にしていることは確かです。
帰路についたのは午前4時。うっすらと明るく広がる水色の空。夏はもうすぐそこ。サイレントマジョリティーの練習をそろそろ始めよう。
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