週末、タイミングが悪ければ2~3時間待ちともなる当店。
しかし平日の閉店間際であればガラガラ。1秒も待つこと無くお通し頂けます。ウナギって不思議とお昼のイメージが強いですよね。当店もどちらかというと昼のほうが混む模様。ちなみに私がお邪魔した際、客の8割方は外国人でした。
私は名古屋に来るたびにマナーとしてウナギは食べることにしており、仕事の都合で名古屋に年間200泊していた際は、あつた蓬莱軒の本店まで足を伸ばしたものですが、行列が長いばっかりで大して美味しくなかったイメージ。なので今回はあまり期待せずの入店です。
うまき。2切で950円と強気な価格設定ですが内容は支払額に見合っています。品の良いダシをたっぷり湛えた卵にウナギがしっかりと組み込まれている。食感がフワフワというよりはビチャビチャな所は好みが別れるところでしょうが、はっきりした味わいで私は好きです。
白焼き。4切れで2,600円。1切700円近くもするのか、、、と物怖じしてしまいますが、これが大当たり。勢い良くバリっと焼かれた表面が香ばしく、肉質も弾力があり食べごたえ抜群。デロデロのタレはなく、甘味たっぷりのウナギそのものの味を楽しめます。
後述のひつまぶしよりもウナギ的満足度は高いかもしれません。ただ、1人で4切はちょっと多いかな。複数人で訪れてシェアするのにちょうど良さそうです。
おまちかね、ひつまぶし3,600円。
1合近くあるごはんにウナギがギッチギチにつめ込まれています。まるやよりも高価格なのですが、ウナギ量もより多く感じるので、世の中うまくできています。
ひつまぶしにつき、私はこれまでかなりの量を食べてきたセミプロなのですが、謙虚に「ひつまぶしの食べ方」の案内板に従います。まずは十文字に切り込みを入れ、4分の1をお茶碗へ。
まずはそのままでシンプルに食す。焼き方につき白焼きとはやや方向性が異なり、それほどバリっという食感ではありません。白焼きと合わせると2パターン楽しめるのでこれはこれでアリ。タレがごはんの全体にまわっており、味濃いめ原理主義の方々にはたまらんであろう。
お椀は全然美味しくありません。濃いタレのせいで舌がバカになっているのに繊細な味わいの判断はできない。本気で楽しみたいのであれば、ウナギに手を付ける前に飲んだほうが良いでしょう。
続きまして2膳目。十文字に取り分けているのでウナギピザ状態です。
2膳目の常套手段は薬味のせ。ネギが乾燥でパッサパサであり矜持を感じられません。
味のないネギや迫力に乏しい海苔はさておき、ワサビが舌先にタッチすると印象がガラりと変わるのが面白いです。
3膳目へと進む。当たり前ですが1膳ごとに減っていくという現実を突き付けられ切ない気分になってきます。
ダシを注いでお茶漬け風に。
なのですが、思いの外ダシの味わいに乏しく、2膳目と印象は変わりませんでした。これは私が味覚障害というわけではなく、そういう芸風のお店なのだと思います。
ファイナルラップに向け、お漬物で口を整えます。このお漬物も大した味ではありません。当店はウナギに集中特化しその他は体裁を整えるだけの流し運転に感じます。コースだと刺身や天ぷらなども加わるようですが、この調子だと期待できないですね。
「4膳目は1~3膳で最も気に入った食べ方で」との案内。
何だかんだ言いながら、やっぱお茶漬けにしちゃうなあ。〆の汁物に抗うことができるほど私は意思が強くない。
今回はひとりでお邪魔したので、以上です。うざくや肝焼きなどのウナギ系サイドメニューがまだまだあったので、次回は複数人数でお邪魔したい。ヘンな居酒屋で3次会まで行ってラーメン食べて帰るよりも、1次会の後に「じゃ、〆にウナギでも食べて帰ろうか」みたいな使い方をするとすごくモテるのではなかろうか。
ところでサービスはファミレスかそれ以下なので期待しないで下さい。ホールの店員も厨房も自由にくっちゃべってて客に丸聞こえ。料理を出すタイミングも滅茶苦茶で、客が食べるペースなどは一切考えられていません。もちろん行列を捌くというという意味でとにかくドンドン出す姿勢というのはそれはそれで肝要。
それでも驚いたのは箸置きお盆ズリズリ事件。私は白焼きを食べるために右手に箸を持っていたのですが、バイトっぽい女の子が「ひつまぶしです」と言いながらお盆をテーブルに置き、お盆の縁で箸置きをズズズと押し出して退かすのです客である私の目の前で。接客がどうのこうの以前に親の顔が見たくなりました。こういう品のない人はいくら他の部分で恵まれていたとしても本質的な幸せには接近できないと思います。
話は逸れますが、なぜ人はクチャ食いをするのか?という疑問につき、気の置けないクチャラーの友人に正面切って尋ねてみました、なぜお前はクチャ食いをするのか、と。彼は目を丸くし「え?オレ、クチャ食いしてる?」と心底驚いた表情。
そうだお前は昔からクチャ食いをしているオレとお前が出会った10年前から札付きのクチャラーで食事を共にする人すべてを不快にしてるんだぞコノヤロウ、と追い込みをかけると、「そうなのか、、、」と頭を抱える。なるほど、クチャラーに自覚症状は無いのですね。
気の毒に思い、もしかして育った家族全員がそういうスタイルなのかい?と優しく聞くと、「そうかもしれない、、、」という力のない返答。ナチュラル・ボーン・クチャラーは存在せず、全ては後天的なものなのです。
もし貴方の近くにクチャラーが居て、その人を本気で大切にしたいのであれば、きちんと指摘してあげるほうが良いのかもしれません。喧嘩になったとしても、それが友情というものです。
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食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。