1泊1部屋2万円ほどのホテルだったので、まあ、いろいろと普通でした。家具が全てIKEAであり、統一感はあるものの安普請。
それでも朝食はそれなりに成り立ちます。やはりスイスにおける食生活において、ナチュラルチーズの貢献度は極めて大きいですね。トラムで中央駅に向かい、自動券売機で空港までの切符を買う。そこまではうまくいったものの、どの列車に乗れば良いか皆目わからない。そう、チューリヒは完全にドイツ語圏であり、色々な表記が読めないんですよね。
飛行機マークのついた列車に適当に乗ればいずれ着くかとも思いましたが、NYのように空港がたくさんあったら絶体絶命だなあと困っていると、「日本人ですか?私はスイスインターナショナルの社員ですから、一緒に行きましょう」と流暢な日本語で話しかけられる。「私はスイスと日本のハーフなんです」。
なぜその他のアジア人ではなく日本人と判別できたのかと問うと、「スーツケースですね。こういうタイプ、他のアジア人は持たない」と、私のゼロ・ハリバートンと妻のリモワに目を遣る。
話は逸れますが、私のゼロ・ハリバートンは15年選手です。学生時代、プラスチックぺこぺこのスーツケースではこれ以上モテないと判断し、死ぬ思いでバイトして何とか手に入れた傑作です。きちんとした金属製のものであり、カーボンの廉価版とは質感が全く異なる。滅茶苦茶に重たいのが玉に瑕ですが、15年経った今でも快適に使用できているので、旅行用スーツケースを探している方は是非どうぞ。
スイスは素晴らしい国だ、勤勉で真面目で誠実、安全で清潔ですべてがキチンとしてる、とスイスについての感想を述べると彼はとても嬉しそうでした。「それでも、私が日本に行くとかなわないなと思いますね。日本人は本当によく働く。身だしなみも良いです。駅員が制服を着込み白手袋をしてピシっと安全確認しているのは衝撃をうけました」。スイス人と日本人は、価値を見出すポイントが似ているので、すぐに仲良くなれるだろうな。
チューリヒ空港着。機能的な空港です。列車が到着するすぐ上にデカい建物があり、そこからターミナルが放射状に伸びており、何事も直感的に理解することができます。
「デカい建物」はショッピングモールも兼ねており、チェックイン前に地元の品を買い集めることも可能です。MIGROという巨大なスーパーもあって、街中と変わらない値段でモノが売られているのでオススメ。
広々としてて自由なスペースがたくさんあり、スーツケースを広げても迷惑にならないので、チェックイン前に最終買い込みしてスーツケースに詰め込むことができます。私はハード系のチーズをたっぷりと買い込みました。
ちなみに、出国後の免税エリアにあるチーズは邪智暴虐な価格設定であり、MIGROで取り扱っているのと全く同じ銘柄が2~3倍の値段で売られているのでご注意を。
ラウンジでのんびりした後、日本へ。
気持ちの良い旅でした。海外に行くと、日本との習慣の違いでストレスを感じることがままありますが、スイスに限ってはそれが一切ありませんでした。日本で生活しているのと同じ心理状態です。
ただし、レストランのレベルについては疑問を感じざるを得ない。それぞれ方向性の異なるミシュラン星付きレストラン3軒を巡った結論は、「スイスは美食の国と言われているが、東京に比べればまだまだ」です。
確かにチーズやハムは安くて美味しいのですが、それは日常生活レベルでの美味しさであり、レストランにおいて「おっ」と思わせてくれる素振りが一切感じられない。日本の気のきいた料理人がスイスでお店を開けば簡単に名声を得ることができるのではあるまいか。まあ、そんなイージー・モードでゲームをクリアしても屋上屋を架すというものですが。
ミシュランガイドの評価も、もうちょっと何とかして欲しいなあ。国に拠って基準がバラバラすぎて、そのギャップに毎度毎度苦しんでしまう。個人的にはフランスにおけるフランス料理屋と、日本におけるフランス料理屋でしか、彼らの評価に賛成することができないことが多いです。
また、「最先端はスペインだよ」「いや北欧だね」「イギリスの食事が酷いだなんて昔の話さ」「スイスは隠れた美食の国だぜ」のように、得意気な人々のドヤ顔発言は何なんでしょう。本当に各国の名店を食べ比べた上で評価しているのかと問いたいです。私はミーハーなのでうっかり彼らの発言に踊らされてしまい、その地へ確認作業に赴くのですが、結果的にガッカリすることがほとんど。こんなことなら東京で食べまくったほうが良かったなあと悔やむことが多いのです。
各国の星付きレストランをスタンプラリー的に巡ることはお休みして、改めて日本における食、とりわけ和食に注力してみようかなあと、漠然と思い定めた旅となりました。
エピローグ。
帰国後、どうしても麺を欲してしまい、久留米ラーメンへ直行。味は悪くなかったのですが、750円と表記してあったのに、お会計では税込み810円でした。納得いかない。
帰ってきたよ軽く飲もう、と声をかけると「この一週間、タケロスでした」と、結果8人での大宴会。突発的に飲める人が近くにいるっていいなあ。
「スイス」シリーズ目次
- スイス vol7~レストランのレベルは疑問~
- Sein/Zürich
- スイス vol6~小さな小さなチューリッヒ~
- Capri/Zermatt
- スイス vol5~ついに高山病~
- After Seven/Zermatt
- Parkhotel Beau Site/Zermatt
- スイス vol4~明日は別々に行動にしないかい?~
- Le Dahu Restaurant/Verbier
- スイス vol3~世界屈指の高級リゾートでラクレットパーティ~
- Restaurant Kirchenfeld/Bern
- Restaurant Soul Chicken/Luzern
- スイス vol2~ルツェルンとベルンで眠りながらあくび~
- スイス vol.1~氷点下キャンプファイヤー~
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- 北米西海岸 vol.1~ホンクーバー~ ←ナパの葡萄畑で眠るワイン旅行
- スイス vol.1~氷点下キャンプファイヤー~ ←スイス航空様ご招待のタダ旅行
- パラオ ダイビング クルーズ vol.1~デルタのビジネスクラスwww~ ←ヒルズ族がクルーザーをM&Aした話
- ワインをめぐる冒険 vol.1~ギャラリーラファイエット~ ←ボルドー・シャンパーニュでワインに溺れる旅
- 小笠原諸島 vol.1~おがさわら丸~ ←船でしか行けない東京都でイルカと暮らす
- 屋久島 vol.1 ←縄文杉?ハァ?
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- イビサとバスク/vol.1 ←パーリーピーポーと美食家の共存
- カリブ海クルーズ vol.1~プレミアムエコノミー~ ←カリブ海の島々を船で巡る
- アマンジオ/ジョグジャカルタ vol.1 ←「アマンジャンキー」発生!
- ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ/洞爺湖 vol.1 ←日本でも本気の美食旅。
- 最も効率よくダイブマスターになる vol.01 ←年間10回は沖縄へ行きます。
- 北欧クルーズvol.01~ロンドン~ ←北欧を船で巡り最先端の美食に舌鼓。
- 地中海・エーゲ海クルーズvol.01 ←2週間かけて地中海のイケてる都市を巡る。
- BIER REISE'09 vol.01 ←ドイツ中欧ビール紀行。
- カリフォルニア vol.01 ←西海岸と思いきやメキシコまで足を伸ばしちゃうもんね。
- ハワイ vol.1 ←ハワイで生まれ育った人とハワイを旅する記憶。