スイス vol3~世界屈指の高級リゾートでラクレットパーティ~

本日の滞在地はヴェルビエ。世界屈指のウィンターリゾートです。ただ単に向かうのもつまらないので、ローザンヌ経由でレマン湖の風景を眺めながらのんびりと走ります。
ベルンの駅にはスキー板を担いだ地元民がたくさん。日帰りで滑りに行く模様。東京にとってのガーラ湯沢的な場所に世界有数のウィンターリゾートが山ほどあるのは羨ましい。ちなみにスイスの人々はスノーボードよりも圧倒的にスキー派が多く、「スノボなんてやんねーよ」「1回やったけどもういいわ」のようなポジショニングです。
いくつか列車を乗り換えるのですが、スイスの駅は欧州の割にバリアフリー化が進んでおり、大きな荷物を転がしている旅行者には大変助かります。
鉄道からロープウェイに乗り換えヴェルビエへ。
美しい街並み。これまでの人生で最も麗しいウィンターリゾートです。景観を守るために建物の高さ制限や外観のテイストに決まりがあるらしく、完璧な統一感がそこにあります。
夕食のラクレットパーティのためのチーズとワインを手に入れる目的で「Milk Bar」というデリカテッセンへ。ロープウェイでしか行けないような僻地にこれだけの品揃えは圧巻。やはりスイスはチーズの国。
地元ヴァレーのファンダン1本と、ラクレットを2.5kg購入。チーズは10,000円分です。全く同じものを東京で買うと関税やら輸送料やらで30,000円は超えることでしょう。
10億円超の別荘がいくつも売られていました。そう、ここは世界屈指の高級リゾート。「1日1万フラン(約120万円)使う人なんてザラにいる」とのこと。
さらにロープウェイを乗り継いで高みを目指す。他の乗客はスキー姿なのに、我々のみ軽装で明らかに浮いています。
ホストの親戚筋が経営するというレストランで昼食。詳細は別記事にて。
胃袋を満たした後はロープウェイをさらに乗り継ぎ、このあたりでの有人最高峰、モンフォールに到達。その高さ、実に3,330メートル。
完璧な真っ白。ううむ、ここまで完璧な白さ、さすがはモンフォール先輩。だがしかしこの白さに見るべき点は何も無い。
早々に下山したかったのですが、ホストたちが「3,330メートルでお茶しましょう」とか言って、いやさっき飯食ったばっかだしいらねーから。しかもそれ、お茶じゃなくて白ワインだから。

お察しの通り、ここでも狭量な私には昨夜の感情が湧き上がる。彼らは色々と考えてくれた結論がこれだと思うのですが、極東から来たばかりの時差ボケ真っ盛りアラサーには軽く末法の世である。おまけにこの高度。貧血気味な感覚と呼吸の早まり、小さな頭痛。うわーん早く降りたいようお外真っ白だよう。
ヘリで釣られて移動する人。一体何があった。
少し下ると急に身体がラクになりました。高度と反比例して気温は急上昇。全く山は恐ろしい所です。

と、安心したのも束の間、我々が乗るはずだったロープウェイがトラブルで運行休止。ゲレンデのあっち側のロープウェイまで雪道を30分近く歩くハメに。なんで俺、スイスから来て3日目で3,000メートル級の山々をジーパンで歩いているんだろ。
這々の体で街に戻り、ホテルで小休止。その間、ホストたちは夕食の食材を買い出しに、さらには軽く飲んでくるとのこと。コレが若さである。
バスに乗ってホストの実家へ。「ちょうど家族が出かけてるから」ということで、夕食会場を提供してくれるのは嬉しいのですが、実は半グレの巣窟であったり、飲み物に危険ドラッグを混ぜ込まれてGO清原してしまったらどうしようと不安な気持ちも同居しています。
ちなみにラクレットとは、巨大な円盤状のハードチーズの一種であり、そのチーズを半月状に切り、切り口を温めて溶かし、半液状となったものをジャガイモやピクルスと一緒に食べるという極めてシンプルな食べ物。ヴァレー州(スイスの左下あたり)の伝統的な郷土料理です。
となると素材の良さが決め手となるのですが、今回のチーズは何かのコンテストで優勝した希少かつ素晴らしいモノであり、ジャガイモもラクレット専用の質の良いものらしく、ふりかけるスパイスなどもラクレット専用と、彼らのラクレットに懸ける思いには並々ならぬものがあります。
極めつけはラクレット専用調理器。このようなものがこの世に存在することを初めて知り笑ってしまいましたが、「このあたりでは一家に一台が普通ですよ」と真顔。なるほど、大阪でのたこ焼き器みたいなモノなのかもしれません。ちなみに私の大阪の実家においては、最盛期で電熱式・直火式・ガス式の3種のたこ焼き器がありました。
実際に食してみると、それはそれは素晴らしい味わいでした。チーズがとにかく美味しい。焦げ目の香ばしさも実に食欲をそそる。
「昔はこの器械じゃなくて、薪の火で温めたものなんですけどね。さすがにもう面倒で」と、指差す方向をみると本格的な暖炉。
ワインは地元のもの。ワインはブドウから造られる割にブドウの味がしない不思議な飲み物なのですが、こいつに限っては非常にシンプルな味わいで、今にも白ぶどうの味がしてきそうでした。
最後にはきちんとお茶を入れる。やはり彼らはコーヒーで締めないと気がすまない。日本の大学生が宅飲みして〆にコーヒーを飲むだなんて聞いたことがないのにな。

残ったチーズを持って帰るかと問われ、まだまだ旅は長くスーツケースに匂いが移ってしまうので遠慮すると、彼ら3人は嬉しそうに3等分してラッピングを始める。彼らだって旅行中なのに何としても持って帰る姿勢が新鮮。日本人であれば、会場を提供してくれた家にそのまま寄贈するパティーンが多いですよね。

そんなわけで、彼ら3人との珍道中はここでおしまい。ホストは年に19組も私のようなゲストを受け入れており、てさすがに手慣れていて別れ際がスマート。「日本に行った時はよろしく」と抱き合い、社交辞令ではなく本気で気軽に来そうです。

日本人は別れ際がネチっこい割に、ひとたび別れてしまうとそれっきりな人が多い気がします。論理の飛躍はあるかもしれませんが、陸続きで何カ国とも接している国と島国との違いは、こういう所にも出るのかなあと、ぼんやりと考えたお別れでした。

「スイス」シリーズ目次

スイス関連の本は手当たり次第に読みましたが、やはり地球の歩き方が最も上手くまとまっていました。Kindleに入れて持ち歩けば旅行でも荷物になりません。この情報量で1,700円は安い!


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旅行が好きです。油断するとすぐに旅に出ます。楽しかった大型旅行の先頭記事をまとめました。リンクに飛んでから、順々に次のページをめくって頂ければ幸いです。