2015年秋の全面改装で話題に。席数を減らし厨房の広さを倍にしたとのこと。ダイニングの内装は黒が基調。世界を意識している感がバリバリです。
食前酒はシャンパーニュ。グラスの奥底から立ち上る絹糸のような「泡(L'Effervescence)」が食欲を掻き立てます。
シンプルなオリーブと、イチヂクの風味をつけたオリーブ。連れと2個づつなのですが、見た目からはどっちがどっちか判別できず、結局私はシンプルなほうをふたつ引き当てたような。。。普通に1個づつでいいのにな。
ぶくぶくの方には可愛らしい意匠なのですが、その実、サザエがゴロゴロ入ってます。紅芯大根をベースにカラスミやアーモンドの風味も効かせており美味。右下のグラスはポンカンに液体窒素で固めた日本酒。ポンカンが強烈で日本酒はあまり感じられません。
定番のアップルパイのように。ただ今#23。
200℃のオーブンでじっくりと焼かれてすぐに提供されるのでとってもアツゥイのでご用心。具はイノシシに根セロリと桜。イノシシの野性味が支配的。
ラバスコのダミジャーナ発酵。なるほどガラス瓶らしくブドウ本来の味が響きます。ただし、イノシシと合うかどうかはどうでしょう。
サワラとセリ、ナスタチウム、セルフィーユ。彩り豊かでテンション超アガる。甘夏のソースも絶妙な酸味と甘さ、緑の苦味も巧妙にマッチし、本日一番のお皿です。
ローヌのビオ物マルサンヌ100%。残糖が少なく複雑な果実味でかなり好き。ビオじゃなくて普通にフィルター通して亜硫酸入れたやつ飲んでみたい。
セカンドラインのラ・ボンヌターブルと同様、大阪のシュクレクールより。やはり美味しい。フランスで食べるパンの味です。
コチラと共に頂きます。一見カンテサンスのアレっぽいですが、絹豆腐のパテとのこと。やはり大豆だと力不足なのか、パンと共に食べると豆腐のニュアンスは極めて薄かったです。普通に塩とバターでいいのにな。
スペシャリテのカブ。カブ汁がジューシーに滴りカブとしては極上の逸品。なのですが、やっぱりカブはカブなんですよね。感想が4年前と全く変わっておらず、私の味覚は固定されてしまったのでしょうか。。。
新政の2016年の立春朝搾り。これを商業ベースで出せるってすごいなあ。先週すし初で飲めた時も運のよさに歓喜したものですが、まさか2週続けて頂けるとは。当店はミネラルウォーターも新政の仕込み水を使用したりと、良きビジネスパートナーなのかもしれません。
甘鯛のポワレにタケノコ、ちりめんキャベツに木の芽。これは甘鯛の圧勝。素材そのものの迫力に圧倒されます。とにかくタイの味が濃い。火入れも見事で弾力をきちんと引き出しています。タケノコやちりめんキャベツも極めてレベルが高く、タケノコのソースなども印象的だったのですが、完全にタイを取り巻くガヤ芸人。それほどタイの力強さが伝わる一皿でした。
ヴォドピーヴェッツのヴィトフスカ 100%。アンフォラで発酵させる心地よい1杯。取り立てて印象的というわけではありませんが、うまく甘鯛を受け止めて下さいました。
春の訪れ。ホタルイカと山菜です。なんか最近ホタルイカばっか食べてるな。
ハマグリとネギのスープを浸して頂きます。ホタルイカの塩気がかなり強く、酒飲みにはたまらない味わい。ホタルイカの苦味と山菜の苦味が溶け合い素晴らしい。のですが、下に敷かれた発酵クリームやらマイクロトマトやらは余計かもしれません。でもこれが無かったら普通の和食になっちゃうのか。
旨味が強い一方でバランス感覚に優れた酒質。うむ、塩気を強くしたホタルイカにぴったりじゃ。なおのこと発酵クリームが味わいを邪魔したなあと悪い意味で後を引く。
口直しに茶碗蒸し。この口直しは嬉しい。私、いわゆるコース料理のグラニテってそんな好きじゃないんですよね、何か唐突感があって。キジのコンソメをベースにシジミの風味や桜の色調が加わり、極めて日本人的に感じました。
ライオールのブラスよろしくメインではお好きな1本を選びます。
今帰仁アグー豚を薪の炎で風味付け。出し抜けに野趣溢れる豚肉。うーん、もっと普通でいいのにな、が率直な感想です。当店に通い詰めて「たまにはコチラで」と出されるのであれば納得なのですが、金額や予約の取れなさを鑑みて数ヶ月から数年ぶりに訪れるゲストがこの皿に遭遇すると面食らってしまう。
いや、美味しいですよ。美味しいのだけれども私には難易度が高すぎます。もっと最高の普通でいい。ガルニチュールについても、菜の花は良いのですが、沖縄ヨモギやアミガサ茸へも理解が追いつきませんでした。一見さんがコレを出されると首を傾げて帰っていくのではと心配になってしまいます。
ドメーヌ・プリューレ・ロックの端正なピノ。わかりやすく美味しくてブルゴーニュ入門編最高峰かもしれません。ペアリングなのに結構良いワイン出してくれて嬉しくなっちゃいます。
〆に4種のチーズ、または45種類の野菜を用いたサラダを選ぶことができるのですが、ここで前者を選ぶのは天下一品で「あっさり」を注文するよりも勇気が必要。全般的なベクトルは春。苦味が支配的。ドレッシング不要であり野菜のみでバクバク食べることができ素晴らしい。こういうお皿はレストランならではですよね。
ちなみに45種類とは、ピンク水菜、グリーンからし菜、パープルからし菜、アキレ、ひとみ人参、島人参、パープルキャロット、クレソンアレノア、紅白ラディッシュ、ディル、ハコベ、レッドバジルルビーン、あやめ雪かぶ、オラック、ダンデライオン、クレイトニア、キャロットリーフ、パイナップルミント、レッドオキサリス、スイートマジョラム、パンプルネル、レッドオゼイユ、マイクロセロリ、マイクロデトロイト、ヒメオゼイユ、ビタミン大根、黒大根、ほうれん草、赤からし水菜、わさび菜、兼六芋、セルバチコ、ザーサイ、ルッコラ、ルッコラの花、野バラの新芽、かきどおし、たなつけ花、からすのえんどう、発芽緑豆、甘夏、ヤーコン、とうもろこし、クレソン、ああ疲れた。
酒としては好きなのですが、先のサラダに合うかどうかは疑問。連れは勇猛果敢にもチーズを選択していたのですが、なるほどチーズには合うかもしれません。ここでの1杯はサラダ選択者とチーズ選択者で酒の種類を分けて欲しいなあ。
デセールはイチゴにシソ、ほうじ茶のアイスクリームに梅のジュレ、アクセントに柚子。この皿大好き。見目麗しく、甘味と酸味、梅独特のフレーバーのハーモニーがパーフェクト。いかんルー大柴みたいになってきた。ここ数ヶ月で最も印象的なデセールです。
合わせる酒は新政の陽乃鳥。こちらも見事なマリアージュ。最後の最後で完璧な組み合わせに思わず唸ってしまいました。
続いてビーツのソルベにブルーチーズのムースにチョコケーキ。これは攻めすぎ。とりとめのない味わいでアウト。ビーツは土っぽいし、ブルーチーズも塩気が厳しいし、チョコケーキに至っては焼けるような甘さにノックアウトされてしまいました。個人的には出さないほうが良い一皿。
食後の飲み物はコーヒー紅茶ではなく抹茶一択。人によって評価が分かれるかもしれませんが、私は好き。だってコーヒーって自宅でも飲めるもん。こういう、レストランならではを体験することに意義を見出すのです私は。
ミニャルディーズたち。おなじみのドンパッチは相変わらず楽しく懐古的。ホワイトチョコのぬーぼー的なエアインちょこがお気に入り。ベチャっとしたモノがひとつあって、それを手づかみで食べるのは生理的に受け付けず、味に集中することができませんでした。これにはピックを添えて欲しい。あ、今から思えばドンパッチの棒で刺せば良かったかな。
最後に出されるピーナッツミルク?人工的とも思えるほど主張のあるアーモンドの香り。万人受けする甘さで悪くないのですが、ちょっと意図がわかりませんでした。
まとめ。以前よりも作家性が増して和の食材を多用するようになりました。外人ウケというか、世界を狙いに行っている感じが伝わってきます。
ただ、純粋な日本人が手放しで喜ぶかというと、ちょっとどうかなあ。何だかフランス人が日本に憧れて作る料理みたいなんですよね。色々と難しく考え過ぎているような迷走感。正直なところ、私は前のほうが純粋に美味しくって好きでした。人によって考えは違うでしょうが。
あと、いくらなんでも日本酒を出しすぎです。コースの余興として日本酒を出すのは構いませんが、ワインと同じ数の日本酒を出すのは保守的な私には受け入れ難い。しかもそのくせ結構高い。
好き勝手書いて恐縮ですが、
・日本酒の比重は30%以下に
・あまり和にとらわれず純粋に美味しいものを追求
して欲しいなと個人的には思いました。これら趣味志向すなわちワガママを完全に満たしてくれるのがナリサワなんですよね。
お土産にカブのパウンドケーキを。これはかなり美味しかった。カブだの抹茶だのを超越してパウンドケーキとしてきちんと成立している。そう、こんな感じで全体の料理を取りまとめてくれたら私がすごく好きなお店。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
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- ナリサワ ← 何度訪れても完璧
- フロリレージュ ← 間違いなく世界を狙える
- カンテサンス ←この人にはかなわない
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- 北島亭 ←私は大食いでわかりやすい味を好むため当店は黄金センター
- デビッドセニア ←大阪帰る度に絶対行くぞー
- オカモト ←QSCAがしっかりしているのは当然のこと、そんなに高くないのが感動的
- アルシミスト ←こんなに魅力的なプレゼンテーションのブーダンノワールを食べたことがない
- メイ ←ブロートウェアが何ひとつ無い
- Parc ←当店ほどまでに重みのある二ツ星は東京ではなかなか見当たらない
- ラ・ファソン古賀 ← 強烈な個性をテーマに据えるドクトリン