銀座ソニービル7F。1980年オープンのトスカーナ料理の老舗。2010年代に入ってようやく郷土色を前面に出すイタリア料理屋が増えてきたというのに、私が生まれる前からトスカーナと言い切る当店。ちなみにイタリア本店は今年で開業100周年です。
写真は公式HPより。写真で見るとゴージャスな内装で、思わずタキシードでも着て行きたくなるほどですが、実際には何となく安普請で、イスなどにもかなりの年季が入っています。また、精神的にも老舗であり、入店直後はウォータービジネス系とその同伴客で独特のギラギラ感。付き合いの浅いカップルはプロが掃けた後、すなわち20時以降の来店をオススメします。
乾杯はスプマンテのロゼ。普段使いに中々ロゼを買うことがないから、「グラスであれば極力ロゼ」がマイブーム。「スイス、お帰りなさい、どうだった？」という連れの質問には答えず、スイスの首都を知っているかい？と問うと「ベルンでしょ？
まさかジュネーブとかチューリッヒとかやめてよね」。
グリーンピースのスープに桜海老。連れはグリーンピースが苦手なのですが、「これはいける」とガブガブ飲んでました。確かに美味しい。オプションの桜海老のフリットの凝縮感も素晴らしい。 たった一口で
ツェルマットのカプリを大幅に超えていることがわかります。
一方で、パン類は至って普通です。ネタバレですが、当店はサービスが完璧な割に料理が普通なんですよね。こういう何気ない箇所のレベルを引き上げたら、完全無欠なお店に昇華すると思います。
バターは外形がダサかったので手をつけませんでした。そう、老舗なのはわかるけど、こういうところをキュルンとしたら、ワンチャンあると思います。
イタリアワインは完全に守備範囲外なのでソムリエに相談。樽がきいているけどフルーティ。特に柑橘が突き抜けていて肉料理以外を1本で通すのに完璧なチョイスでした。
正午から時計回りにサン･ダニエーレ産生ハム、苺とパルミジャーノ、ホワイトアスパラガスのミモザ、桜鯛のマリネにオレンジ。生ハムは健全な熟成、苺は変化球ながらもパルミジャーノと一致し見事、アスパラは少し旬より早いのか印象に残らず、桜鯛はソースは悪くないのですが肝心の魚の旨味が乏しかった。
自家製サルシッチャとブロッコリーのタリアテッレ。茹で加減が規範的で文句なし。サルシッチャは若干のパッサパサ感であと少し、ブロッコリーはあまり存在感がありませんでした。
ホウボウのアクアパッツァ。フレッシュトマトとドライトマトの食べ比べは面白いのですが、その他は貧相な味わいでした。スープに旨味も乗り切らず残念。
ところで、フィンガーボールの出し方が素晴らしかった。知らない人は戸惑うし、こなれてる客はいちいち説明いらねーよ、的に取り扱いが難しいもの。当店は「是非アサリをお手にとって召し上がって頂き、手をこちらで～」のように、実に万人受けする説明で嫌味が無く感銘を受けました。これなら田舎のオカンも連れて来ることができます。
レモンシャーベットにフランチャコルタを注ぐ。
口直しにしてはずいぶんと豪華な一皿。サッパリどころかすごく味わってしまいました。
和牛サーロインに赤ワインソースとペコリーノチーズのソース。こちらは失速。脂がギトギトで全然美味しくありません。脂の主張が強すぎてソースの味が全くしない。つけあわせのマッシュポテト（？）もバターがクドく、ほとんど残してしまいました。
そんなに高くないグラスを頂いたのですが、個人的にすごく好き。バランスが良くってキメも細かい。値段からは考えられない程の価値があります。
ドルチェはワゴンよりお好みのデザート2種を選ぶことができます。ここは2種と言わず好きなだけとして欲しい。好きなだけって言ってもみんなそんなに色々食べないから。私は食べるけど。
私の1つ目はティラミス。エドモンド本田の好物です。期待していたよりも全然普通でした。
チーズケーキは濃厚ながら軽やかという矛盾が素晴らしい。また、ワゴン脇でチョイチョイとソースで絵を描く仕草がセクシーでした。
お茶菓子も一般的なもの。
エスプレッソで〆。ごちそうさまでした。
先にも述べましたが、値段の割には特に美味しくないお店でした。ただ、サービス陣が全般的に整っているんですよね。まず外すことはない。味音痴だけれども色々とうるさい人をもてなす必要がある場合にもってこいのお店でしょう。
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十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。
