イケてる店感ビンビンのお店。センスあるなあ。こういうお店が私鉄沿線の住宅街にゴロゴロ転がってるんだから、東京の底力は計り知れない。
スペシャリテは「ケール」ということだったので、恐る恐る「ケールビール」を注文。驚きました。完璧に苦味が排除されており、うっすらと甘味さえも感じられます。ケールって青汁の主成分で、一度スーパーで買って食べたら青臭くて苦くて喉にまとわりつく不快感のイメージしかなかったのですが、当店のそれは全くの別物。
連れは「オレンジケール」と「グァバケール」。各々にケールの茎が突き刺さっており、「あ、結構食べれる」と、ポリポリポリポリ食物繊維の音が心地よい。
ケールのシーザーサラダ。ケールをこのように食べさせてくれる店はかなり珍しいのではないでしょうか。チーズの削りっぷりが豪快でたっぷりの旨味。量も充分。大満足。
「世界一トマト バジルとフレッシュチーズ」。カプレーゼの再構築?クリームを多く含んだフレッシュチーズと、トマトを煮詰めたジャム、ジュノベーゼソース。
新鮮なチーズに芳醇なトマトの甘味、バジルの溌剌さが加わった見事な逸品。久しぶりに言いますが、リピ確定☆です。
お冷はデトックスウォーター。白い棒状のものはチクワかなあ、いや待て有機栽培のチクワってなんやねん獅子丸かよ、ってことで店員に尋ねると「ニンジンです」とのこと。
それにしてもハイカラな水である。「家に遊びに行ってコレが出てくるとあげぽよだよね」と浮かれるふたりに、ちょっと待て冷静に考えろ、男の家に初めて行ってスっとこれが出てきたらどう思う?と改めて問いかけると「あ、ゲイですね」。
連れは野菜のグラタン。後述の野菜たちが的確なカットで鉄鍋に並べられ、熱々のソースにたっぷりのチーズに漬かります。私が食べたわけではありませんが、絶対に美味しいだろうなあ。
私は「朝採り野菜の鉄板焼きバーニャカウダ」。左上から時計回りに辛子菜、白ニンジン、ニンジン、タマネギ、ダイコン、カブ、サトイモ、サツマイモ、パンに紅芯大根。バーニャカウダソースに塩、醤油、味噌にディップし自由自在に味を変えていく。
印象的だったのは白ニンジン。香り高いハーブを感じさせるニンジンで興味深い。タマネギは糖度が抜群に高く、これでオニオングラタンスープ飲みたいなあ。サトイモはバリっと揚げられており、ねっとりとした食感を香ばしさが包み込み美味。驚いたのはパン。バター豊かで少しつまんだだけでホロホロと解けていくデリケートさ。今月一番のパンです。
どれもこれも歯ごたえ抜群で良く噛んで食べたからか、野菜だけなのに異例の満腹感。世の中の炭水化物中毒は、良く噛まずに飲み込むだけだから食べた気がしなくって、仕方なしに大盛りとかにするんだろな。鮨だってトリガイばっか食べれば5カンで満腹になるでしょうに。
お誕生日プレートをご用意して下さいました。ワーイワーイ!供された時点では右上のタルトに花火が2本刺さっており、火薬の香りと爆ぜる音で、店中の注目を集めに集めました。それにしても嬉しい。予約の際に「『タケマシュラン』と書いてください」と照れながら伝えてくださったと思うと感動もひとしお。
トマトのアイスにタマネギのアイス、バターナッツ(カボチャ)のアイスにケールのタルト、右上はサツマイモのタルトです。
トマトのアイスは清涼感に溢れ、アセロラを思わせる気品ある甘さを湛える。タマネギのアイスのデキに脱帽。上質なオニオンスープをアイスにしたような甘味と旨味。世の中面白くて美味しい食べ物がまだまだありますなあ。
コーヒー。大地にいつくしみ育てられた豆の味。セットのドリンクとしては最高レベルのコーヒーでしょう。
冒頭の誘い文句を裏切ることの無い、すばらしいお店でした。オーガニックを気取ったお店は都内に掃いて捨てるほど乱立していますが、当店はそれらと一線を画し、突き抜けています。サービスも心からの笑顔と熱意で温かい。オーガニックな店で働いている無印良品みたいな店員はナルシストで自分に酔っている輩が多いですが、当店のスタッフはきちんとお客を向いています。
野菜だけで勝負する勇気も賞賛に値します。ミッシェルブラスの野菜のみのコースを食べたことがあるのですが、ランチのクセにひとり40,000円近く請求された挙句、全然美味しくなかったことを考えると、当店の費用対効果たるや。
今度は是非夜にお邪魔したい。おや、ホームページをチェックすると、恵比寿店もオープンしたそうじゃないか。そっちも行かないと。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。