ワインのばか/西麻布

急遽飲みに行くことに。押っ取り刀でカラペティヴァトゥバに電話すると、無常にも満席の通知。ぐぬぬ、カラペティヴァトゥバで食事ができる日が私に訪れることはあるのだろうか。

ならば年の瀬の挨拶にとワインのばか。これまでと趣向を変え、コース料理にワインのペアリングでお願いします。
食前酒はピスコのグレープフルーツ割。なんと耀かしい一杯!食前酒って、馬鹿の一つ覚えのように泡しか頼まず、たまに背伸びしてキールを飲むとなんかベタベタ甘くってやっぱ普通のワインでいいや、ってなってしまうので、今回の食前酒の的確さには大興奮。
セミドライトマト。トマトの旨味が大凝縮。今度家でも作ってみよう。
SBの2001。品種の個性はその場を離れていますが、なんとも言えない凝縮感が口の中で膨らみます。
サーモンのリエットのパプリカ詰め。滋味溢れる鮭が滑らかに舌の上を転がり、ワインにぴったり。
「通常はグラス4杯で組み立てるんですけれど、、、足りるワケないっすよね?」ということで、飲中酒をドンドン出して頂きます。
「ヴィンテージ、当ててみて下さい」と、唐突に勉強モード。頭から酔いを追いやって久しぶりに分析的に取り組む。連れは99、私は00と回答。おおー、まだまだ鈍ってないもんですな。
ピノに合うように特殊処理が施されたシメサバ。当店はおしなべてワインに重きを置き食事とのマッチングに注意を払う、婚活アプリのようなワインバーなのです。
シャンパーニュを挟む。いいよなあ、こういう縦横無尽なワインの出し方。ドサージュゼロながらそんなに辛くなく、食中酒として適任。
ポルチーニなどが入った鶏飯。このタイミングでの炭水化物はズルすぎる。ペロりと平らげそうになると、「2口ぐらい残してくださいね、スープを入れますんで」とは無理な相談というものです。
スプーンの運びを自粛し、椎茸がたっぷり馴染んだスープでおじや。説明不要の心地良さ。
「クスダのピノ13、ありますよ」とのことで15分程悩んだ末に、結局グラスワインで通すことに。年明けにボトルごと予約だぜ。
ネッビオーロは色々と鋭敏に感じてしまうので積極的に飲むことは少ないのですが、コチラは全体的に穏やかな印象で楽しめました。うーん、やっぱワインって美味しいなあと思わずひとりごつ。
オーブンの中で脂が爆ぜるのをうっとり眺める。メインは中勢以の熟成豚です。肉本来の美味しさと、適度な熟女感。ポーションも充分。大満足。
合わせるワインは当店おなじみのブルガリアワイン。サンテミリオンの作り手がパーカーを狙いに行く味わいです。
「チーズでも少し切りますか?」との申し出に対し、いえ、例のパスタが食べたいです、しかも大盛りで。今日はいつもよりも麺が太くてベーコンとチーズもぎょうさん入っとるわ。極めて男性的なパスタで、一口噛みしめるごとに食欲が増幅されていく。
〆にオレンジワイン。小体なお店なのにグラスワインの揃い方は見事としか言いようがありませんな。

靴下を脱いだような居心地の良さで、たっぷり5時間も飲み食いしてしまいました。数えてみると、3ヶ月で7回もお邪魔しており、2015年最も訪問回数の多いお店です。私は基本的にレストランに対して浮気性なので3ヶ月で7回は奇跡。2016年も楽しみです。


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