アルシミスト/白金高輪

錬金術師。良い店名ですね。四の橋商店街入ってすぐという立地も渋い。食べログ4.16、ミシュラン一ツ星と期待大。
 席数は十数席のみ。厨房が丸見えで臨場感抜群。調理の音が心地よいBGMとなって心に響きます。
 ワインペアリングのコースもあったのですが、本日はお誕生日のお祝いなので、ボトルで昼シャン。シャンパーニュって太陽が高いうちに飲んだほうが絶対うまいよな。
酸味のきいたチーズにキャビアをのせ、バラの香りを漂わせる。こんなにイケてるアミューズを出すとはやるのう。食欲が食べながらにして沸いてくる。
 サーモンのエクレア。じぇじぇじぇ!超うめえ!おっさんクレープの発展系。旨味の強い鮭を上品なムースへと昇華させ、サクサクとした生地でくるみこむ。シャンパーニュに抜群にマッチング。いきなりのスマッシュヒットです。
 パンはシンプルながらも噛み締めるごとに穀物の魅力が溢れ出る。良いパンつこうてはりますわ。
バターのプレゼンテーションも可愛らしく、このシェフ女子力高いっす。
 最も軽いフォアグラを目指した一皿。程よく冷たくエアリーな食感ながら、味はきちんとフォアグラしてて、そのギャップに気もそぞろ。一方でソースはクラシック。ホオズキのアクセントも面白い。
 ブーダンノワール。いやはや恐れ入ります。こんなに魅力的なプレゼンテーションのブーダンノワール、食べたことがありません。臭みなど一切感じさせない完璧な仕事ぶりにも舌を巻く。
 サワラ。むっちむちの肉厚。その食感を作り出すためかポーションも圧倒的で磯山さやかのよう。菊芋のソースとピーナッツも極めて上品。魚料理ってフルコースの中では一回休み的な印象を持つことが多いのですが、こちらの皿では気分が上方修正されました。
 一方でメインのエゾジカは野性味が飛び出しておりやや失速。ビーツのソースなどにはセンスが感じられたので、鹿の個体差ということで不問としましょう。
シャンパーニュが空いたので、赤へと突入。テンプラニーニョとプティヴェルドの混醸。スパイシーがエゾジカを包み込みうまく調和が取れました。
 デセールには驚きの春菊のアイス。これには参った。マジで春菊。苦味が猛然と襲い掛かってきます。そのくせきちんと甘くてスイーツとして確立できている。ここまで印象的なアイスクリームはカンテサンスのアレ以来かも。
なんてアドーブズなお誕生日プレート!もてなす側の私が興奮してしまいました。ムリにケーキで表現しようとせず、食べないことを前提としたプレートという割り切りの良さも高評価。
ミニャルディーズはアップルシナモンのゼリー、ほうじ茶のマカロン、黒トリュフ風味のトリュフチョコ。いずれも素材の特徴を際立たせておきながら、きちんと甘味に落としこんでいます。特に黒トリュフ風味のトリュフチョコのバランス感覚に脱帽。

当たりです。程よく前衛的で、そのどれもがきちんと美味しい。絵のような皿と基本に忠実な味わいの均衡が見事に取れています。シェフは若いながらも実直な方。ソムリエールは快活でコケティッシュ。全てが好印象。

ちなみに、後日友人が当店へ行くという話を伺ったので、「ソムリエールがカワイイから要チェックですよ」とお伝えし、その後の感想を聞くと「一緒に行った子よりもソムリエールのほうがカワイくて困った」というボヤ騒ぎがありました。

今度は是非ともディナーにお邪魔し、ワインもペアリングでお願いして、このお店の全てを知りたくなりました。また近々!



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