席数は十数席のみ。厨房が丸見えで臨場感抜群。調理の音が心地よいBGMとなって心に響きます。
ワインペアリングのコースもあったのですが、本日はお誕生日のお祝いなので、ボトルで昼シャン。シャンパーニュって太陽が高いうちに飲んだほうが絶対うまいよな。
酸味のきいたチーズにキャビアをのせ、バラの香りを漂わせる。こんなにイケてるアミューズを出すとはやるのう。食欲が食べながらにして沸いてくる。
サーモンのエクレア。じぇじぇじぇ!超うめえ!おっさんクレープの発展系。旨味の強い鮭を上品なムースへと昇華させ、サクサクとした生地でくるみこむ。シャンパーニュに抜群にマッチング。いきなりのスマッシュヒットです。
パンはシンプルながらも噛み締めるごとに穀物の魅力が溢れ出る。良いパンつこうてはりますわ。
バターのプレゼンテーションも可愛らしく、このシェフ女子力高いっす。
最も軽いフォアグラを目指した一皿。程よく冷たくエアリーな食感ながら、味はきちんとフォアグラしてて、そのギャップに気もそぞろ。一方でソースはクラシック。ホオズキのアクセントも面白い。
ブーダンノワール。いやはや恐れ入ります。こんなに魅力的なプレゼンテーションのブーダンノワール、食べたことがありません。臭みなど一切感じさせない完璧な仕事ぶりにも舌を巻く。
サワラ。むっちむちの肉厚。その食感を作り出すためかポーションも圧倒的で磯山さやかのよう。菊芋のソースとピーナッツも極めて上品。魚料理ってフルコースの中では一回休み的な印象を持つことが多いのですが、こちらの皿では気分が上方修正されました。
一方でメインのエゾジカは野性味が飛び出しておりやや失速。ビーツのソースなどにはセンスが感じられたので、鹿の個体差ということで不問としましょう。
シャンパーニュが空いたので、赤へと突入。テンプラニーニョとプティヴェルドの混醸。スパイシーがエゾジカを包み込みうまく調和が取れました。
デセールには驚きの春菊のアイス。これには参った。マジで春菊。苦味が猛然と襲い掛かってきます。そのくせきちんと甘くてスイーツとして確立できている。ここまで印象的なアイスクリームはカンテサンスのアレ以来かも。
なんてアドーブズなお誕生日プレート!もてなす側の私が興奮してしまいました。ムリにケーキで表現しようとせず、食べないことを前提としたプレートという割り切りの良さも高評価。
ミニャルディーズはアップルシナモンのゼリー、ほうじ茶のマカロン、黒トリュフ風味のトリュフチョコ。いずれも素材の特徴を際立たせておきながら、きちんと甘味に落としこんでいます。特に黒トリュフ風味のトリュフチョコのバランス感覚に脱帽。
当たりです。程よく前衛的で、そのどれもがきちんと美味しい。絵のような皿と基本に忠実な味わいの均衡が見事に取れています。シェフは若いながらも実直な方。ソムリエールは快活でコケティッシュ。全てが好印象。
ちなみに、後日友人が当店へ行くという話を伺ったので、「ソムリエールがカワイイから要チェックですよ」とお伝えし、その後の感想を聞くと「一緒に行った子よりもソムリエールのほうがカワイくて困った」というボヤ騒ぎがありました。
今度は是非ともディナーにお邪魔し、ワインもペアリングでお願いして、このお店の全てを知りたくなりました。また近々!
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン
- ナリサワ ← 何度訪れても完璧
- フロリレージュ ← 間違いなく世界を狙える
- カンテサンス ←この人にはかなわない
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- 北島亭 ←私は大食いでわかりやすい味を好むため当店は黄金センター
- デビッドセニア ←大阪帰る度に絶対行くぞー
- オカモト ←QSCAがしっかりしているのは当然のこと、そんなに高くないのが感動的
- アルシミスト ←こんなに魅力的なプレゼンテーションのブーダンノワールを食べたことがない
- メイ ←ブロートウェアが何ひとつ無い
- Parc ←当店ほどまでに重みのある二ツ星は東京ではなかなか見当たらない
- ラ・ファソン古賀 ← 強烈な個性をテーマに据えるドクトリン