パラオ ダイビング クルーズ vol.5~諸悪の根源は全て山田~

夕食はモグモグシーフードレストランへ。パラオスポート号の日本人スタッフにパラオでオススメの店を尋ねたところ、即答で返ってきたお店なので、まず問題ないでしょう。
親日度合いが見て取れます。
レッドルースターの黒ビールで乾杯。船に滞在していたため、きちんとしたパラオの料理を食べるのは初めてです。最初で最後なので名物を全部食べてしまおう。
しかし高級食材のヤシガニは256ドルということで断念。出鼻をくじかれる。
代わりにマングローブ蟹。こちらは同じ大きさで23ドルでした。
コウモリも話題作りのためとは言え、30ドルは割高感で断念。挫折が続く。
シャコ貝は日本ではめったに口にすることができず、また、味も良いので満足です。ただし若干の臭みが残る。
シーフードサラダはメニューの写真と異なりシーフードの量が限定的。どういうことだと改めてメニューを見ると、燦然と輝く「写真と実物は異なる場合があります」の一文。
サバヒーの巻き寿司は、サンマの缶詰をご飯で巻いただけのような味であり、不味くはないが、海外で金を払ってまで食べるものではない。
マングローブ蟹の上海スタイル。味は悪くないのですが、私の知る限り上海料理でこんなにどす黒いピリ辛は存在しません。このような過ちは誰かきちんと指摘してあげるべきだと思う。
パラオ料理盛り合わせ。マグロの照り焼き、マグロのポキ、シャコ貝のココナッツ煮、タピオカ餅、カニのココナッツ和え、タロイモ、タロイモとココナッツを蒸したケーキ、空芯菜炒め、タロイモコロッケ、イカのバターソテー。基本的にタロイモとココナッツで成り立っている国家ですね。いずれも不味くはないけれど、美味しくもないというものばかり。

と、ここで隣のテーブルのアラ還のオッサンふたりに声をかけられる。アラ還とはアラウンド還暦の略であり、アラウンド棺桶ではない。

どっから来ただのどこで潜ったただのどうでも良いことばかり聞かれて超面倒。「パラオスポート号?ああ、あの日本人がよく乗るダイビング船ね」ってお前も日本人じゃねーか。

「え〜?コウモリ食べないの?あれを食べなきゃ男じゃないよ」とかお前ら全然死ねばいいから。こういう時は「じゃあ、オジサンたちが注文するから、ちょっと君たちも試してみなよ」だろーがジジイども。こういうスタンスを持ち合わせていない限り、年寄りは飲み屋で若者に話しかける権利は無いと思います。

山田も山田である。私はアラ棺との会話に意義を見い出せないと判断した瞬間に全ての心を閉ざし、何か話しかけられてもメニューを熟読しているフリをし、何か聞かれてもあさっての景色を眺めているフリをしているというのに、山田は「なるほど」「そうですか」「すごいっすね」と意味のない相槌を繰り返す。てめー勝手に傾聴してんじゃねー。

食事も隣客にもウンザリしつつあったので、別の店に行くかと思案してたところ「どう?美味しいでしょ?モグモグはねえ、パラオでもトップクラスだよねえ」と横槍。こ、これでトップクラスか。であればこの国の食文化にはもう用が無いのかもしれません。

念のため、モグモグ以外で良い店って無いんすか?と丁寧に尋ねてみると「カープってとこが一番だね。あそこで食べなきゃパラオ来たって言えないよ」。なんと常連ぶった発言。パラオに来るのは何度目ですか?と尋ねると、「えーっと、そうだな、今回で、2回目だね」2回目かよー。たった2回かよー。「えーっと、そうだな」の間で数える必要ないよー。たった2回でパラオの全てがわかったような口ぶりですね、と言いかけたところ、山田から「このへんで勘弁してやれ」とアイコンタクトでタオルが投げられる。
「飲みなおしにラーメン行きましょうか」と、山田。行きません。スーパーで水だけ買って帰る。
肉は全てアメリカまたはオーストラリアからの冷凍輸入なのですが、結構安い。ガタイが良いヒトが多いわけだパラオには。レジ近くでダイビング雑誌の撮影に来ていた麦わら帽子女子に偶然遭遇し、アラ棺に傷つけられた私にひとときの癒しがもたらされました。

それにしても、さっきのジジイどもはなぜ我々に話しかけるのか。もし私が20代のむちむちプリンなワガママボディであったりすれば、善悪はさておき話しかける理由は理解できる。だがしかし私も30を過ぎた立派なオッサン。彼らに何のメリットがあるというのか。オレとはどう頑張ったってヤレないぞ。

山田に意見を求めると、「若者に対して自らの経験を語って、へえすごいって言われて、優越感に浸りたいってカンジじゃないっすかね」なるほど山田は思慮が深く器が大きい。

と、今この文章を搭乗直後の機内で書いているのですが、なんと私の隣に座ったのはまさにそのジジイ。慌ててPCを閉じたものの、読みもしない機内誌を眺め、彼のチラチラした視線を左頬に受けながらも、話しかけられると面倒なので知らんぷりを決め込む。はあ、最後の最後でどうしてこんなにも気を使わねばならないのか。

諸悪の根源は全て山田である。もともと私はパラオにひとりで来る予定だったところを、山田が飲み屋で聞きつけて便乗して来たのは良いのですが、なぜ予約時に私の隣の座席を指定しておかない。なぜモグモグで傾聴する。なぜ飲みなおしと偽ってラーメンを食べたがる。

レベルの低いジジイ相手に何の見返りもなく丁寧な対応を続ける山田は一般的には人付き合いのうまい優しい人間だとは思うのですが、最終的な受け皿は全て私なのである。
朝食はフレンチトーストを注文。この旅行を通じて最も美味しい食事だったかも。

というわけで、今回の旅行はこれにておしまい。4泊5日という短めの旅程ではあったものの、非常に充実したものとなりました。日本に着いたらやっぱ新福菜館で
ラーメンと
チャーハンだよねデュフフ。

ところで今さら白状しますが、同船客でガチに私に惚れてしまった女性がおり、ストーカー化しつつあって恐ろしかったです。最初は半分笑い話として山田に伝えていたのですが、最後の最後で山田公認のドン引き案件。怖かった。

ここで詳細を記すのはサイトの趣旨と異なるので、詳しくお知りになりたい方は一緒に飲みに行きましょう。

「パラオ ダイビング クルーズ」シリーズ目次


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