レストランひらまつ/広尾

パラオでの食事が惨憺たるものだったので、エピキュリアンな私の身体は自動的に美食を欲する。ひらまつ系のフラッグシップ、レストランひらまつへ。
おなじみのハウスシャンパーニュ。毎度毎度、アミューズの時点でガッブガブに飲んでしまう。
グジェール(チーズを混ぜた風味の良いシュー皮)は基本に忠実で泡とともに何個でも食べたい。ほおずきと栗カボチャのスープは秋味全開で嬉しくなる。アワビとトマトのジュレは目の醒める美味しさ。旨味が強く適度な歯ごたえのアワビを絶妙なトマトの酸味が包み込む。
パンは温かで小麦の風味が活きており円みがあります。
適度な塩味のバターをたっぷり塗れば、それだけで立派な一皿。
セップ茸のフイユテ(パイ生地みたいなやつ)に白神山地の生ハム。バターのコクがビンビンに冴え渡っており、キノコからの森の馥郁たる香りが鼻腔をくすぐる。美味しいなあ。国産のハムは初めて食べたかも。脂身よりも赤身の印象が強かった。
ここからのパンは固くってボリボリってカンジです。さっきの丸っこいパンのほうが良かったな。
スペシャリテの鴨フォアグラのキャベツ包み、トリュフソース。ちりめんキャベツを使えるのは今まさにこの季節だけなのでご機嫌。屈託のない青さが心の琴線に触れる。
キャベツの茹で加減が抜群で、シャキっとした歯ざわりは残しつつも上手に大地の甘味を引き出しています。フォアグラの最高峰から降りてくるような脂の旨味は当然に素晴らしく、ソースの一滴一滴まで名残惜しい。本日一番のお皿です。
熟成の進んだ白。はっきりとした黄金色でコクがあり、フォアグラやトリュフソースに寄り添います。
アマダイのポワレに野菜のソース。鱗をパリッと巧妙に炙り出し食感が楽しい。むっちりとした身に甘い甘い野菜の風味が流れ込み、どこまでも優しい。
秋田牛にゴボウやキノコなど。想定通りに脂身が多い一方で、あにはからんや脂の味が良かった。キノコに溶け出した脂をじっくりと吸わせつつ
ワインで流し込む幸せ。肉の旨味にぴったりだ。
ブドウのジュレとフロマージュブランにイチヂクのコンフィ。フレッシュなチーズにさっぱりとしたブドウ、ほのかに佇むイチヂクの甘さ。デセール1皿目に適任。
上品な甘さをたたえたデザートワインで甘味に甘さを重ねつつ
シブースト。パイ生地にカスタードクリームとメレンゲをあわせたクリームをのせ、キャラメリゼしたもの。八角のアイスは香りを楽しむ逸品。最後まで楽しめました。
コーヒーで甘味を整理しながら、
ミニャルディーズで再び甘味を補填する。うーん、最後の最後までぬかりがない。

何度も何度も訪れているのに、今回は感動的に美味しく感じました。やはりパラオでの荒廃した食生活が当店の正統的な味の良さを際立たせたのかもしれません。大満足。

気分が良くてのんびり家まで歩いて帰る。途中、商店街で山田にバッタリ遭遇。「おにまる行かないんすか?」行きません。



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ひらまつ関連のお店にはかなり行きました。全般的に「外さないレストラン」で安心できるのですが、たまにハズレもあります。

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。




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