ワインをめぐる冒険 vol.6~メドック格付けシャトー巡り②~

引き続きシャトー巡り。
2級のシャトー・ピション・ロングヴィル・バロン。保険会社アクサの所有です。壮麗たるシャトーですが、横から見ると実はぺらっぺらに薄い建物で、まるで舞台の大道具のよう。
3級のラグランジュ。我らがサントリーの経営です。仏政府が欧米以外の企業にシャトー所有を許可したのは初めてなんですって。
しかし個人的には前述のエリカ様のほうがタイプである。
ワインは糖が酵母によってアルコールに変わるアルコール発酵と、その後にリンゴ酸が乳酸菌によって乳酸に変わるマロラクティック発酵の2段階があるのですが、当シャトーではその両方をほぼ同時に行う裏ワザを使用しているとのこと。日本酒の速醸系みたいなもんでしょうか。
全てのタンクをIOTで監視系。ぶどうの粒を赤外線で選別したりと、最先端の先端です。いいぞニッポンもっとやれ。
お待ちかね。試飲です。ところでボルドーのシャトーの試飲部屋はどこもオシャンティで哲学を感じる。日本の酒蔵も見習うように。
白ワインが驚くほど美味しかったです。ボルドーの白って、経験地が低いうちは手に取りづらいけれど、ううむ、やりますな。
セカンドと
本丸。08と09と言えども、これらは歴然たる差を感じることができました、気がする。
お次は4級プリューレ・リシーヌへ。カタカナ表記と実際の発音が全く異なり愕然とする。当シャトーはヘリポートがあり、パーティの際にはみんなヘリコプターで来るんだってさ。
ポンテカネはビオデナミ最右翼なのに対し、ラグランジュは最先端最左翼。プリューレ・リシーヌは中庸と言ったところでしょうか。あくまで設備や雰囲気の印象ですが。いずれにせよ、この写真だけを見てまさかワインを造っているとは思うまい。
ここでは木樽のお腹は塗っていないですね。ドンキーコングそのものです。
ここも珍しく白ワイン。ラグランジュ程の感動はありませんでしたが、こちらも秀逸。
こちらではセカンドとファーストを同一ヴィンテージで試すことができました。
うむ、コカ・コーラとタブクリアぐらいの差がある。

というわけで、ボルドーでのシャトー巡りはこれにて終了。「ワインの造り方なんてどこも同じでしょ?」と考えている方は思いのほか多いですが、いやはや、近接した3つのシャトーを巡っただけで、ここまで多様性を感じることができるのですね。

IBMの人工知能「ワトソン」が料理本を出版するとかしないとかで、とどのつまり料理は科学であると証明に片足を突っ込み始めた現代社会ですが、ワインに関しても同じことが言えるかもしれません。

一方で、ポンテカネのようなビオデナミは東洋医学的でいかがわしい部分はあるものの、ワイン自体は文句なしに美味しかったところが面白い。

ワイン選びにとって大切なのは、自分にとって最高の一本を見極めるソリタリー性質と、共にテーブルを囲む仲間の嗜好を最大公約数的に選別する客観性のふたつなのかもしれませんね。

「ワインをめぐる冒険」シリーズ目次

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