が、あくまで東京版に限っての話。地方版は下駄を履かせているような気がする。北海道ではミシェル・ブラス(☆☆☆)やあらし山吉兆(☆☆)、アウトオブアフリカ(☆)にお邪魔したのですが、いずれも星の数に味が追いついていない。
まあ、ウインザーホテルだけで全てを判断するのもアレなので、今回は札幌の市街地へ。「鮨 田なべ」。堂々のミシュラン3ツ星。食べログでは4.18。10席ほどの小さなお店なのに、表に出ている職人だけで3人。ホールスタッフと裏方を入れたら10人以上従業員がいるのでは?バタバタして落ち着かないし、人件費が食事代にハネてくると考えると、少し身構えてしまいます。
北海道の地酒。最近、日本酒の味がわからなくなってきた。ある程度のレベルを超えた酒だと全部同じに感じてしまう。
前菜はじゅんさいにエビ、タケノコ、ホタテにおひたし。じゅんさいはさっぱりとして美味ですが、中洲の河童と比べると心許ない。エビとタケノコは凡庸。ホタテは良いセンいってるのですが、作り置き感というか、冷やしすぎで食べるのに抵抗を感じるというか、もう一歩。
ガリは塊で漬けたものを都度スライスしてくれます。素晴らしい味なのですが、少なくなったらすぐに追加してくれるわけではなく、あまり気前良く出してもらえないのが残念。
ヒラメ。美味しいんだけど、うーん。ミシュラン3ツ星の先頭打者としては無難。フォアボールで出塁した感じ。
マグロ。おっ、旨いじゃないですか。ちょっとだけ持ち直す。
アジ。じっとりと肉厚。ただなあ、どこかで食べたような味なんですよね。美味しいが感動は無い。
甘エビ。残念ながらありふれた品質。下手すりゃ気のきいた場末の寿司屋でも出てくる。
ツブ貝。歯ごたえがしっかりと残り、臭みもなく上々。なんですが私はホタテ以外の貝類をそれほど好まないので、ノーカンです。
デザートをつまみに変えてもらう。あぶらがにの内子。こりゃ旨い。お酒が進みます。おかわりだ。
イサキ。こちらも美味しいけれど尋常一様。
ムラサキウニ。食べログでは「旨すぎて旨すぎて震える」と絶賛の嵐なのですが、みんな心からそう思っているのかなあ?回転寿司の500円皿に紛れて流れて来て、何の予備知識もなく食べたら「まあこんなもんか」という感想に留まるとレベルだと思うのですが。そういう意味で、会いたくて会いたくてすぐに震えちゃう西野カナは信用ならない。
蒸しアワビを肝ソースで。肝ソースには若干希望を見出すことができたのですが、肝心の本体が十人並み。
お任せで下駄を預けていてもアレなので、自分から積極的に変化をつけて、さんが焼きを追加注文。したのですが、うーん、淡白で旨味が小さい。。。
イクラも平々凡々。なんだか犬の卒倒コメントばかり続いて申し訳ない。あ、犬の卒倒っていうのはワン・パターンという意味です。
お椀はキノコがたっぷり。悪くはありませんが、客は魚介を求めていると思います。
アナゴも特に印象はありません。食べログ上では「飛行機に乗ってでも通いつめたいお店!きゃは☆」のように、内地のグルメ気取りが幅をきかせているのですが、飛行機代を考えれば銀座で使ったほうがよっぽどレベルの高い鮨に巡りあえる確率が高いと思うのだけれども。
ダメモトでネギトロ。覚悟していた通りの味でした。
これはお店ではなくミシュランが悪いですね。あの白いタイヤデブ男のせいだキモヲタ凝縮しろ。当店自体はそれなりに質の良い魚を誠実に出してくれていて、値段もそれほど高くはない。なのに、ミシュラン3ツ星の鮨屋という前評判のせいでガッカリしてしまう。同じ3ツ星の水谷がICBMだとすると当店は焼夷弾クラスなのに。
店内を見渡すと、客のほとんどが外国人。しかもみんな「ワオ!」「アメイジング!」「マーベラス!」のような感想は一切無く、黙々と食べながら首を傾げている感じ。すごく言い訳したくなった。ちゃうねん同じ3ツ星でも札幌と東京じゃ全然ちゃうねん東京の3ツ星はもっともっと感動的に美味しいねん爆発的に高いけどな。
と、いうわけで、くどいようですが戦犯はミシュランと食べログ。当店は値段相応に美味しい鮨を提供してくれています。フラットな気持ちで臨めば結構満足するかも。
物足りなかったので、〆に近所のラーメン「雪風」。思いがけず美味しかった。もっと胃袋がガラ空きの時に出会いたかったなあ。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- 鮨水谷/銀座 ←その先入観を完全に覆す、鳥肌が立ち涙が出るほどの美味。
- はし田/勝どき ←毎回「ああ、鮨食ったー!」と思わせてくれる私にとっては大切なお店。
- すし初/湯島 ←若旦那は唎酒師という資格を保有しており、日本酒については滅法明るい。
- 鮨西むら/六本木 ←六本木の格調高い鮨屋でこの値付け。
- 寿し処 寿々/溜池山王 ←結構な量が出てきてびっくりした。
- すし通/六本木 ←もうちょっと普通にすれば良いのにな。
- 入船寿司/奥沢 ←本物の赤身と超トロを食べるのに金に糸目はつけない場合に限って良いお店。
- 天寿司/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 安吉/博多 ←お会計は銀座の半額。ミシュラン2ツ星は荷が重いけれども、この費用対効果は魅力的。
- 西中洲 河童/天神南 ←鮨屋ではなく超高級海鮮居酒屋。
- ひでたか/すすきの ←鮨は好きだけどオタクではないライト層にとっては最高峰に位置づけられるお店。
- 鮨 田なべ/すすきの ←フォアボールで出塁した感じ。
- 鮨 志の助/新西金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。しかもKindle Unlimitedの対象。タブレットに忍ばして鮨屋に行くのもいいです。