カウンター8席のみの小体なお店。なんですが、大将が1人で全てをまかなっており、明らかにまわっていない。ゲストのほとんどがヒマしてます。大将はリズミカルに踊っているような所作でクールなんですけどね。
ともあれ、日本酒でスタート。石川の地酒は3種の用意。
アカイカ。ぬるりと甘く、最初から期待させてくれる一品。ただ、シャリが小さくゆるい握りで流線型ではなく球体に近い。好きなスタイルじゃない。
ノドグロ。嬉しいですね近海物。味が濃くスモーキーで抜群に美味しかった。
ガスエビ。こちらも日本海ならでは。とにかく甘く官能的。絶品。
バイガイ。ザクザクと印象的に歯ごたえ。少し臭みが残るのが残念。そうだ、そもそもそんなに好きな食材じゃなかった。
ウニ。ごく小さなおにぎりみたいなシャリの上に、スプーンで丁寧にちょこんとウニを載せる。うーん、意図がよくわからん。バリっと軍艦にしちゃえば良いのに。味は悪くないのですが、色々と考え込んでしまい、楽しめませんでした。
キス。キスの握りというか生って珍しい。ただやはり珍しいだけあって、イマイチでした。やっぱ天ぷら向きの魚なんでしょう。
トロの炙り。こちらは唸るほど美味しかった。当然に築地から引いてきたものでしょうが、旨いものは旨い。マグロってなんとも華やかな食材ですね。
アジ。こちらも満点。シャリが小さい分、相対的にネタが大きく感じ、贅沢な気分。いつまでも咀嚼し続け幸せな1分間でした。
タイの昆布〆。これは好きじゃなかったです。昆布の旨味が強すぎてタイの味が全然感じられない。昆布の風味どころかヌメリまで出てきており、意図的なのかもしれませんが、私の口には合いませんでした。
蒸しアワビ。凡庸。もちろん美味しいのですが、感動はありません。
アナゴも蒸しすぎ。ぐにゃぐにゃの離乳食みたい。ただ、これほど柔らかいのに原型は留めているあたり、すごく工夫しているのだとは思います。
お椀はタイのアラ。シンプルに美味しかったです。
〆はネギトロ。これは製造工程を含めて楽しかったです。明らかにトロなブロックを太ネギと共にザクザクと粗挽きミンチ。サイコロ程の大きさを残したまま豪快にシャリで巻きつける。海苔の上質な香りが寄り添い、びっくりするほど美味しかった。
そして度肝を抜かれたのがお会計。「都内なら2万円前後、、、地方だから1万5千円ぐらいか。。。」と覚悟していたのですが、提示された請求額は9,600円!!!!くぁwせdrftgyふじこlp。鮨屋でこんな金額見たことねえ!夢から醒める夢をみたような気分です。
様々な技巧がほどこされた芸術的な鮨というよりは、上質のネタをシャリにのっけただけな作風のお店ですが、とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。今度お邪魔するときは、ツマミも織り交ぜながらガツンガツンに飲んで2万円を狙っていこう。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- 鮨水谷/銀座 ←その先入観を完全に覆す、鳥肌が立ち涙が出るほどの美味。
- はし田/勝どき ←毎回「ああ、鮨食ったー!」と思わせてくれる私にとっては大切なお店。
- すし初/湯島 ←若旦那は唎酒師という資格を保有しており、日本酒については滅法明るい。
- 鮨西むら/六本木 ←六本木の格調高い鮨屋でこの値付け。
- 寿し処 寿々/溜池山王 ←結構な量が出てきてびっくりした。
- すし通/六本木 ←もうちょっと普通にすれば良いのにな。
- 入船寿司/奥沢 ←本物の赤身と超トロを食べるのに金に糸目はつけない場合に限って良いお店。
- 天寿司/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 安吉/博多 ←お会計は銀座の半額。ミシュラン2ツ星は荷が重いけれども、この費用対効果は魅力的。
- 西中洲 河童/天神南 ←鮨屋ではなく超高級海鮮居酒屋。
- ひでたか/すすきの ←鮨は好きだけどオタクではないライト層にとっては最高峰に位置づけられるお店。
- 鮨 田なべ/すすきの ←フォアボールで出塁した感じ。
- 鮨 志の助/新西金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。