朝食。
うるせーババアご一行を同宿の客全員が毛嫌いするようになり、奴ら以外全員が時間をズラす&テラスで食べる作戦に。最終日にして妙な連帯感。
船中レストランに見切りをつけ、「アイランドデリ」という弁当屋で買って持ち込むことに。
おやつのメンチカツとクリームコロッケ。いずれもコンビニのレジ横レベル。
ロコモコ丼は全然美味しくない。
豚キムチ丼は普通。ただ、この弁当屋が悪いのではなく、やはり食糧事情に因るものだと思います。
街中に突如あらわれる階段。たぶんこの先に神社がありそうということで登ると
なんて心地よい神社なんでしょう。神様も幸せだ。
さらに階段を登ると絶景を望む展望台。
なのですが、先客の一人旅の兄ちゃんに「ここ、景色良いですよ」と話しかけられる。知っとるっちゅうねん。そう、小笠原に一人旅で来ている旅行者は、やたらと話しかけてくるのが鬱陶しい。キミたち一人旅なら一人旅らしくひっそりとしていなさい。友達を作りたいのなら普段の生活にその馴れ馴れしさを取り入れなさい。
キリがないのでいちいち書いてはいませんが、小笠原ではこういうやりとりが日に10回近くあるのでいい加減ウンザリ。他の観光地であれば日に5回ぐらいなのに、小笠原ではその倍。
「そんなことで怒るなよ小さい奴だな」と言われるかもしれませんが、それは他人の痛みがわからない方の発想です。私は普段からニコニコしているわけでなく、むしろ他人に対して愛想は悪い方なのに、国内外老若男女問わず異常に他人に話しかけられる。1日に何度も何度も他人に声をかけられ、道を聞かれ、時間を聞かれ、挙句の果てにはオススメの観光スポットまで説明を求められる。めんどくせぇなという気持ちと奥ゆかしい親切心を毎度毎度天秤にかけてリアクションしなければならない。そのストレスを想像してみよ。だいたい私だって観光客なんです!うががーーーーーーーーー!
気を取り直して生協でビールを買ってビーチで飲む。この旅初めてのアルコール。街のすぐ近くに美しいビーチがあるっていいですね。ハワイよりキレイ。10年間ハワイに住んでいた連れが言うので間違いない。
ところで、賢明な読者であれば記憶されているかもしれませんが、私は国家資格の「潜水士」という免許を取得しており、PADIという世界最大のダイビング団体からは「レスキューダイバー」として認定されているのです。それなのに今回は1度も潜りませんでした。航空機に乗らないので減圧症を心配する必要がないため、船旅ほどダイビングすべきなのに、もったいなかったかなあ。まあ、イルカと一緒に泳げたし、お魚さんとはまた次回楽しむことにしましょう。
ランチはウミガメ料理で有名な「丸丈」へ。
ウミガメの刺身。馬刺しに近い。特に美味しくなく、高い。
島寿司。宿で食べたものよりはさすがに美味しかったですが、まあでも、そんなにボラティリティの大きい料理ではないですね。
アカバのから揚げ。悪くはありませんが、可食部が小さい。
総括すると、郷土料理およびゲテモノを味わって話題づくりに活かすという意味では良いですが、純粋に美味しいものをリーズナブルに食べることはできません。スシローのほうが断然オススメ。
さて、小笠原ともお別れ。予約してあるというのに、乗り込むまでに無駄な行列を3回も並ばなければならないのはご愛嬌。超繁忙期を全く想定していない運用です。
島の皆さんがお見送りに。我々は単なる観光客ですが、寄せ書きと花束を受け取りガチでこの島を離れる方がおり、号泣が号泣を呼ぶ。
島中の船が集結。伴走して送り出してくれます。お見送りは小笠原の伝統とは聞いていましたが、30分近く寄り添って手を振り続けてくれるのは感動的。
〆にみんな海に飛び込む。都心でこのようなイベントをやると色んな大人がここぞとばかりに怒りそうですが、さすがは離島、心が広いですな。
船内ではステーキを食べようと決めていたのですが売り切れ。仕方なくカツカレーに逃げましたが、味は普通で量が多く、満足できました。
これにて小笠原への船旅はおしまい。
小笠原は沖縄よりも日差しが柔らかで湿気が低く、ハワイに近い気候。それなのに南の島特有の気だるく怠け者な雰囲気がありません。そう、東京なんですよ、東京。何かとシステマティックで効率的。みんなきちんとしてる。もちろんこれはこれで素晴らしいことなのですが、異国情緒やトラブルがらみの恋の予感などは期待できそうにありません。
それもそのはず、小笠原は歴史が浅く、江戸っ子のように3代続いた的な人がいないんですね。オジィやオバァを見かけない。そもそも人間が定住したのは170年前であり、戦争で色々ややこしくなって20年以上歴史が分断。現在の島民のほとんどは内地からの移民者。つまりあくまで現代の東京なのです。
そういう意味で、私はこの島に住めると感じました。古参がデカい顔をすることはなく全員が新参者の実力主義。ハワイや沖縄はユルすぎて生活するのはちょっと無理。私は1分の遅刻も許せない狭量な漢で、1ミリでも非効率的なオペレーションを見つけると、その理由を問いたくなるのです。つまりこちらの身がもたない。
とは言え、急病とかは困りますね。一応、自衛隊が硫黄島までヘリで運んでくれて、そこから飛行機でなんとかなるというコンセプトらしいのですが、やはり東京から26時間は心理的にも遠すぎる。
ただ、その距離感が小笠原での快適さを実現しているとも言えます。都会的な島民2,000人。おがさわら丸がどんなに観光客を連れてきたとしても最大でプラス700人。どこへ行っても空いている。平日午前のコストコよりも空いている。ビジネスチャンスが小さいので、悪徳業者がわざわざ来ることがない(ように見えた)。
ぐぬぬ、ここまでジレンマなリゾート地は珍しい。何度でも来たい一方で、船では遠すぎる。船酔いする方にとっては地獄の26時間。船酔いといえば波照間島への航路が有名ですが、それに次ぐ揺れ。かといって飛行場を建設してひとっとび、ができるようになると、この快適さは失われる。クルーズ船の「飛鳥Ⅱ」や「ぱしふぃっくびいなす」という手が無いことは無いけれども、それこそ日程が限られちゃうし。。。うーん、困ったリゾート地である。
再び必ず訪れることになるでしょう。ただ、いつになることやら。男女20人で民宿丸々借り切って、連日どんちゃん騒ぎ、みたいなのがいい次は。
「小笠原諸島」シリーズ目次
- 小笠原諸島 vol.5〜困ったリゾート地〜
- 小笠原諸島 vol.4〜ハートロックトレッキング〜
- 小笠原諸島 vol.3〜イルカと泳ぐ〜
- 小笠原諸島 vol.2〜島内観光〜
- 小笠原諸島 vol.1〜おがさわら丸〜
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