PACHA/Ibiza

イビサは美しい海、世界一の夕日、豊かな自然、アグロツーリズモ、世界遺産など、見るべき物が豊富なヨーロッパ随一のリゾート。なのですが、やはりその特異性を際立たせているのはクラブの存在です。

日本でクラブといえばドラッグと強姦の温床で、客の半分は殺人鬼であり残りは半グレで構成されており、まともな人間は近づいてはならないと義務教育の人権のコマにおいて厳しく指導されますが、欧米においては立派なエンターテインメントのひとつとして捉えられているんですね。

DJという職業についても、日本人にとっては、ダンスミュージックグループの後ろのほうで突っ立って拳を天に突き上げているだけとしか見られていませんが、欧米においてはサッカー選手やF1レーサーと同等の人気を誇っていたりします。だって、年収50億円を超えたりする人いるんですよ。そういうトップDJが2時間プレイするギャラは5,000万円とかなんですって。

イビサは最新のテクノロジーを備えた超巨大クラブ(3万人以上を収容するところも!)がいくつも存在し、夏の間は世界中のトップDJたちが入れ替わり立ち代わりプレイするという、クラヴァーにとっては夢のような島。クラブ巡礼の聖地。

そこへ、クラブとの関連性が皆無の私が行くのです。そもそも全く踊れない。音楽の知識は
・ヒップホップ→ヘイヨーメーン
・ユーロビート→売れなくなったポップスターがリミックスアルバム出しがち
・ハウス→なにそれ
・テクノ→なにそれ
ぐらいです。
初めての登山がエベレスト。

ちなみに、イビサのクラブは95%がハウスで残りがその他らしいです。ハウスは何か知らないけれど。
イビサタウンの港沿いの飲食店や土産物屋に紛れてクラブのチケット屋が点在します。クラブの入り口で当日券を買うと60~70ユーロなのですが、チケット屋で買うと40~50ユーロで買えるのです。現金しか使えないのが玉に瑕なんだけど。

そうそう、イビサは基本的に現金決済の街。タクシーはもちろん、お店でもカードが使えないお店が多いので気をつけましょう。

ちなみに私が持参したカードはアメックスとJCBであったため、全く機能しませんでした。店員にアメックスを見せた瞬間に「ノーアメックス」と言われ、それじゃあということでJCBを出すとこんなマークのカードブランドを知らないのかそのまま手続きが進められ、最後の最後で結局使えないということが30回ぐらいありました。連れからは旅行期間中「あなたはヨーロッパ旅行する気あるの?アメックスとJCBだなんて信じられない。私の父の呪いでハゲておしまい」と7~8回罵られました。
話をチケット代に戻すと、イビサのクラブはすごく高いのです。空港や街中でフライヤーを配ってたり、ビーチで割引リストバンドを配っていたりして、しかもそれが結構な割引率(10~20ユーロ)だったりするので、色々と工夫しましょうね。
連れは日本でパチャのマークのネイルをしてきました。完全に浮かれています。

パチャはイビサを総本山とした世界的に有名なクラブブランドで、近々日本に進出するとかしないとか?とりあえず「Pacha Collection TOKYO」というアパレルラインは上陸するそうな。ちなみに麻里子さまはアナザースカイのロケでイビサに来た際にパチャを大そう気に入り、愛犬をパチャと名付けたのですよ。

深夜1時すぎに聖地パチャへ。一番盛り上がるのは朝4時ぐらいなんですって。イビサタウンからパチャまでは徒歩で20分ほどかかりますが、24時間常に人が用もなく歩いているので、犯罪に巻き込まれることはまず無いと思います。そう、イビサはスペインの中でも極端に治安が良い。ハワイなんかより全然良い。というかハワイは地味に治安が悪い。
パチャ直営のホテル「エルホテル」の写真を撮っていると、駐車場整理のにいちゃんがポーズを決めてきた。すると、偶然通りかかった女子に声をかけ、自然に腰に手をまわして3ショットへ移行。ここまでリア充な駐車場整理のバイトは世界でも稀有でしょう。ちなみにエルホテルに泊まるとパチャへの入場は無料となります。色々なクラブを巡らずパチャに絞る方にとっては割安となるでしょう。
入り口付近には待ち合わせの人が溜まっており、居心地が悪いです。さっさと入ってしまいましょう。「IDチェックあり」「持ち物検査あり」という情報がネットにあったのでドキドキしましたが、全くの杞憂でした。どうも日本人にとってマイナーな地域の情報は錯綜していますね。
1時すぎの時点でこの盛り上がりっぷり。公式には写真NGであり、「カメラ没収させられた」という情報もあったのですが、この時は全然そんなことありませんでした。係員の近くであっても皆お構いなしに撮りまくってる。
ピカチュウ失神事件などものともせず、照明ピカピカです。音楽は非常に単調。メロディは特になく、意味の無い電子音と共にドンドンドンドンとビートを刻むのみ。たまに盛り下がってくると4分音符から8分音符、ひいては16分音符となり、音階も電子的に引き上げられ、客がウオーってなった時に次の曲に切り替わる。その繰り返し。芸がない。

むう、何が楽しいのかわからない。わからないというか、こんなに大勢の中に自身を埋没させてしまう価値を見出せない。クラブに参加するのであれば、DJとしての役割とか、ステージ上のダンサーを演じるのが良いなあ。

ちなみに、踊れなくても全く問題なし。立錐の余地も無いので、音楽に合わせて微妙に揺れるのが精一杯。そういう意味で、誰でも楽しめると思います。
ところで、クラブ内は非常に安全だと思いました。というか、混み過ぎて犯罪が生じる無い。逆に、女性が半裸の着エロ状態だったりするので、セクハラです。

うーん、ちょっと理解に苦しみました。なぜこれが世界一の島の、島一番のクラブなのか。もうちょっとメロディアスに、せめてパフュームぐらいのわかり易さにして欲しい。これならカラオケ行ってももクロのココナツでも歌ったほうが盛り上がるし盛り上げる自信もあるのだけれど。


「イビサとバスク」シリーズ目次
下から上に向かっています。レストランの記事が多いですが、殆どが写真です。


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