ミシュラン一ツ星。百貨店に入っているレストランなのですが、いわゆるレストランフロアとは別にあるため、かなり特別扱いではあります。
70歳はこえてそうな超ベテランのメートルがお出迎え。この方の関西弁が非常に上品。そうですよね、関西弁ってこうですよね。芸人がテレビでわざとらしい関西弁を話すのはまあ良いとして、ちょっと関西をかじったことあるような人間が話す関西弁、わざとらしくって気持ち悪い。京都で修業したことを妙にプッシュしてくる東京の京料理店において、こういうエセ関西人に会う確率が高まります。最初は演出のつもりだったのでしょうが、徐々に歯止めがきかなくなり、あのような不気味な方言になってしまうのでしょう。
それはさておき、吉兆おなじみ、お酒で開始。
寒ブリでしたっけー?イエローテール系を炙ったもの。ネギ、ブロッコリーのお化けが添えられていましたが、普通。
牡蠣豆腐。つくねとさつま揚げが合体して、ふわふわだよ~あーりんだよ~となった皿。牡蠣はもちろんのこと、あーりんにまで牡蠣の味がしっかりと沁みわたっており、美味しかった。
お造りはイカがうまい。ここ数日どの店でもイカが出てきて、どれも間違い無かった。特別良いシーズンだったのでしょうか。
カラスミが厚さ5mmで5立法センチメートルはあった。ずるいですよねこういう手口。カラスミの大きさに目がくらんで、判断力が鈍ってしまう。
鯛にあられをまぶして揚げたもの。鯛の味はさておき、食感が素晴らしい。他方、付け合わせの野菜をあげたやつは野菜の味わいがビシビシと伝わってくる。今回一番のお皿でした。
スッポンの茶わん蒸し。
身がたっぷり入っていて豪華。噛みしめるたびに旨味があふれ出る。ただ、スッポンって高い割にそれほど美味しくない食材だとも思います。
炊き合わせはカブ。和食って頑張ってカブやらダイコンやらを手間暇かけて出してくれますが、こういう料理を美味しいと思ったことが一度もありません。レフェルベソンスのようにスペシャリテとして出すのであれば理解できるのですが、出すのがルールだからという雰囲気だし、それでもカブはカブだし、いつもテンションが下がってしまう。
かにごはん。良いですねーカニの身がたっぷりあって。
そうそう、私の舌は繊細ではないので、こういう暴力的な皿って大好き。変にテクニックを駆使されるよりも、旨味の強い食材をドカンと食べたほうが満足度が高いのです。
デザートは和食らしく貧弱。
費用対効果で考えれば悪くないお店だと思います。ただ、ミシュラン一ツ星というのは全く賛成できない。和食だから取れるんでしょうね。洋食であれば全然勝負にならないのではないでしょうか。世界的に見ればライバルが少ないジャンルで勝負することによって、過大評価を得ることができる好例だとも思いました。
「関西ガストロノミーツーリズム」シリーズ目次
- 関西ガストロノミーツーリズム
- ル・コントワール・ド・ブノワ/西梅田
- 香桃/西梅田
- とくを/木屋町
- 柊家/京都市役所前 vol.3
- 柊家/京都市役所前 vol.2
- 柊家/京都市役所前 vol.1
- ラベ/西梅田
- ハジメ/肥後橋
- 味吉兆/心斎橋
- カセント/県庁前