ずっと行きたいと思ってたのですが、中々都合がつかないまま突然の「移転に伴う休業のお知らせ」。うおーやべー絶対行っておかないと!しかもコースは「集大成コース」一本。出店から3年間で披露したスペシャリテを中心に組み立てたもの。期待大です。あ、ジャンルは一応スペイン料理。シェフはサンパウやキオラで修行した方。
入店してすぐに来栖けい本人がいてびっくりしました。普通にそこにいる。トレードマークのボーダーの長袖シャツに赤メガネ。他のスタッフはスーツ姿だし、客は全員ドレスアップしてるから、ものすごく違和感。連れは彼のことを知らなかったらしく「なんであの人ひとりだけジーパンみたいなカッコなの?」
シャンパンで乾杯してはじまりはじまり。
ガスパチョみたいなのにハーブが山盛り。色々盛りすぎて、逆にハーブの香りを感じなかった。しかし卵の旨みが格別である。
パンは埼玉の有名なパン屋からのお取り寄せ。こういうスタンス好きです。全部自家製にこだわらず、良いものを使えば良いという姿勢。
ロールキャベツを当店なりに再構築したもの。キャベツの隙間に薄切り肉を挟んでオーブンで焼いている。面白いけれど、ロールキャベツはロールキャベツである。
フォアグラのコンフィをキャラメルとカカオパウダーで覆ったもの。私はフォアグラを甘く食べるのが苦手なのでダメでした。トンカ豆の粉末がかかってるらしいのですが、あまり風味を感じられず。
イカスミのパスタ。これは面白く印象的で美味しかった。真っ黒でわかりづらいですが、トマト、ウニ、ココナッツミルク、シジミなどの貝類、緑茶で仕上げてます。歯が黒くなるぜ。
市販のかにぱんと、
当店のかにぱん。水の代わりに日本酒を使ったパンで巨大な毛ガニを蒸しています。
こんなに大きな毛ガニを食べるのは初めて!ただ、手間の割には普通の毛ガニでした。この皿だけで食べるのに30分以上かかった。めんどくせえ!「自分たちで解体して食べるのが楽しく美味しい」がコンセプトらしいですが、めんどくさいものはめんどくさい。
日本酒が欲しくなりますね。飲み物は全てお任せでグラスワインを7種ほど頂いたのですが、ここまで自由にやっちゃうお店なんだから、思い切ってこの皿には日本酒を出すぐらいの心意気が欲しかったです。
メインは村上牛。この火入れはすごい。完璧だ。味付けも塩だけで充分。付け合せのラディッシュに本ワサビが添えてあってそれもナイス。
〆のラーメン。笑ってしまいました。ただのラーメンじゃなく、今日使用している食材から抽出したスープ。コアとなる味はは牛骨。
間違いなくうまいんだけど、笑ってしまう。
デザートはプリン。「一般的なプリンは卵黄を多用するが、当店はひとつの卵における卵黄と卵白の比率に何か意味があると思い、その比率を変えずに作った」とのこと。美味しいけれど、私は卵黄を多用したプリンの方が濃厚で好きです。
ところで今回はお誕生日祝いで来たのですが、内装は殺風景でお祝いに適しているとは思えないし、かといって爆発的に美味しい皿があったわけじゃないので、ちょっと申し訳ないことしたかも…と思ったその時!
お菓子の家じゃあああああああああああああああああ!
中にはチーズケーキとマカロンが詰まっています。
これは感激!いや確かにお誕生日祝いだからひとつヨロシクと予約時に伝えはしたけれども、ここまでやってくれるとは!!うおー、私が興奮してしまいます。まさかリアルでお菓子の家を食べることができるなんてウヒョー!!最後の最後でものすごい見せ場を作ってくれました。さすが来栖パイセン、客目線だ。
ただ、全体を通してで言うと、なんというか、凝り過ぎなんですよね。彼は他人のレストランのことをボロクソに言いまくってるから、「自分の看板掲げた店は普通じゃいけない」という気負いがあるのかもしれません。意欲的で、色々試したい気持ちはすごく伝わってくる。でも、客の立場からすると一食でその世界観を消化するのは中々難しい。なにかこう、わかりやすいストーリー性みたいなのを持たせて欲しい。すべての皿でひねる必要は無いと思いました。
あと、彼がホールに出る必要は無いかも。やっぱりサービスに関しては素人。口調もなんとなく乱暴で、客をもてなそうという雰囲気よりも、「美味しいでしょ?面白いでしょ?ウチってすごいでしょ?どうだ!」という押し付けがましい印象を強く感じました。服装も料理の雰囲気に不釣合い。ただ、それがトレードマークだし、芸能人に会えるお店という意味で、彼がホールに立つというのも色々考えた末の結論なのかもしれません。
移転後どういう店にするのかが楽しみです。移転して3年ぐらいして、方向性が固まったらもう一度お邪魔しようと思います。
関連記事
一時期スペイン料理にハマって有名店は片っ端から訪れました。印象に残ったお店を大公開!
- 81/西麻布 ←衝撃的!近年最も印象の強いレストラン!
- カセント/県庁前 ←日本で最高レベルのスペイン料理。
- フジヤ1935/堺筋本町 ←苦痛で仕方がない三ツ星スパニッシュ。
- スリオラ/麻布十番 ←銀座に移転し期待大。
- サンパウ/日本橋 ←ベースの実力は感じられた。
- 小笠原伯爵邸/若松河田 ←あたりまえのことがあたりまえにできない店。
- タパスモラキュラーバー/日本橋 ←色々工夫してるけど根本的に不味い店。
- サルイアモール/代官山 ←味が濃くて量が多くて酒が豊富で高くなくてイケメン。
- アバスク/表参道 ←ミシュラン一ツ星のバスク料理。
- エルカミーノ/神楽坂 ←飲んで食べて6,000円。まあまあですかね。
- エルプルポ/神楽坂 ←ワイワイガヤガヤ雰囲気良し。
- バルマコ/神楽坂 ←スペイン料理入門編として素晴らしいお店。
- アメッツ/田原町 ←伝統料理で勝負するのが素敵。
ecurer