裁判傍聴 vol.4

その後の検察の質問は、被告人がいかに悪人かをネチネチ言ってるだけ。結構口調も乱暴。「あんたさっきからもうやめるっていってるけど、18歳からずっとやってるのになんで今回に限ってやめれるの?」「そ、それは本当に反省したからです」「なんで反省したの?」「申し訳なく思ってるからです」「誰に対して思ってるの」「しゃ、社会に対してです」「だから具体的に誰?」「納税者のみなさんです」被告人から全く気持ちが伝わってこない。

ノーガード戦法で弁護人は全然やる気なし。「もうちゃんと働くよね? 今ここで開放されたらまず何をする?」「家に帰ります」「じゃなくてさ、仕事するんでしょ仕事」「そうですね、仕事ですね」「何の仕事するの? 工務店、クビになったんでしょ?」「運転は好きなので、長距離トラックのドライバーになろうと思います」ダメダメダメダメ!シャブ中が運転したらアカンって!

「トラックって免許いるでしょ?どうすんの?」「教習所に通います」「そのお金どうすんの?」「生活保護を貯めて」「だからさ…(←呆れてる)」「ハ、ハイ!人の嫌がる仕事でも何でもやります!何でも引き受けます!」と、こんな具合で弁護士も完全にバカの相手は疲れるぜモード。国選弁護人も大変だ。

最後に裁判官から「私は覚せい剤に手を出す動機を知りたい」と質問。「あの、工務店をクビになり、妻に逃げられ…。お金がなくて…。電気代も払えない状態だったんです。それで、生活保護をうけて…。でも、それってなんの解決にもなってなくて…、将来の見通しも立たないし。それで、半ば投げやりの状態になって…でもこのままじゃいけないと思って…」かわいそうアピール。弁護士も満足げに頷いてる。打ち合わせ通り?と、ここで被告が爆弾発言!

「そこで、意欲というか、"やる気"を出すために、覚せい剤を買いました!」

言い切った!噴き出しそうになった。弁護士は頭抱えてる。検察官は苦笑い。判決は懲役1年6ヶ月執行猶予3年でした。

シメに裁判官はマジメに諭すような威厳のある口調で言う。「いいですか、日本の警察は優秀です。とても優秀なんです。あなたがいつどこで誰から買ったとしても、あなたは必ず捕まります。次に捕まったら直ちに刑務所に入ります。今回、拘置所で2ヶ月過ごしましたよね?辛かったですよね?次は、それじゃ済まないですよ。もっと辛い。もっと苦しい。ですから、絶対に、二度と手を出さないように」

印象としては、弁護士はとてもビジネスライク、検察官はずっとネチネチ言うだけ。でも、裁判官はやりとりを被告人にわかりやすく解説したり、説教したり、場の雰囲気をビシっとさせたりと、存在感抜群で風格を感じます。あの服装がそうさせるのかな。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。