レストラン吾妻/本所吾妻橋

ポールボキューズのせいですっかりフレンチ熱が冷めてしまって、雰囲気とかどうでもいいから、真っ当に美味しいモノが食べたいと思い、前々から気になっていた「レストラン吾妻」へ。
スカイツリーの近く、浅草はすぐそこの下町。創業100年。喫茶店みたいな店構えで、おっちゃんおばちゃんがやってる家族経営の店。しかし侮るなかれ、チキンカレー5,000円、オムライス3,500円、チキンカツ4,000円etcという、日本で最もふざけた値段設定の洋食屋。ウォン表記じゃないですよ円ですよ。それなのに連日満員行列。1時間待ち当たり前。しかも年配客中心。どうなっとるねん。
その店の実力を試すには最も高額なコースにするべし、との格言に従い「おまかせ洋食コース13,000円」をチョイス。
ヒヤヒヤのホタテ。トマト味のソースが爽やかでgood。
タラとホタテの燻製。タラ?タラって別に大して美味しくなくて、鍋を水増しするためだけの食材って扱いだったのですが、これが本当にうまかった。マスター曰く、北海道のお友達が独りで作ってて、特別なトコにしか出さないんですって。洞爺湖サミットで各国のお偉いさんも食べたらしい。本日一番のお味。
近海モノのエビフライ。
尻尾もアタマもうまいねん。太いねん。
ハンバーグ。超あらびき。
ステーキを食べてるみたいです。
ホワイトアスパラガス。独特の甘みと香り。ソースにもコクがある。
メインのポークソテー。じゅーしー!2011年最じゅーしー!
「やっぱゴハンちょっと食べたいっしょ」っていいながら、チョコっとゴハン盛ってくれました。高級なのに下町スタイル。ちなみにこのゴハン、量産されない天日干しの一番美味しい米を取り寄せてるらしいです。
〆にオムライス!半熟開き系のオムライスはここのお店が発祥とのこと。
まずはチキンライスを盛って、その上にオムレツをのっけて、堤防を決壊させるスタイル。

デミグラスソースが減ってきたら、追加でかけてもらえます。
付け合せのピクルスもいいかんじ。さっぱりするねい。
ブルーマウンテンでご馳走様でした。ブルーマウンテンってのはジャマイカの限られた地域でしか栽培されない品種で、やたらニセモノが出回ってて困るけど、これは正真正銘のホンモノ、らしいです。確かにうまい。ブルーマウンテン飲んだの初めてかも。喫茶店とかで1,500円とかするからなあ。

大満足。こんな充実感は久々です。調理のおっちゃんもホールのおばちゃんも、よく話しかけてくれていい雰囲気。しまいには隣の席の90歳ぐらいのオムライス食べてたおばあちゃんが、「また来てやって下さいね~。ずっと残さないと、このお店は」って声をかけてくれました。なんとも重みがあるお言葉。

失礼する際に、ホールのおばちゃんが、「あのおばあちゃん、私がここに嫁に来る前からの常連なのよ~」と、しみじみ語ってくれました。「ハイ、これ、予約用の電話番号。普通は予約受けないんだけど、おまかせコース頼んで下さった方は予約を受け付けるの。今度は電話して来て~」と、秘密の番号が書かれた名刺を頂きました。こりゃ固定客ガッチリ掴むわけだ。

最高の食材を奇をてらわずにストレートに調理するお店。どの皿も全部わかりやすく美味しい。老人が「ビフテキはご馳走」という意味がわかった気がします。ただ、あのオムライスだけ食べて3,500円って言われたら納得しない。それに比べると、おまかせ洋食コースはお得すぎ。目の前で次々に調理してくれるのも楽しい。今度は冬に牡蠣を食べに来よう。で、〆はカレーにしよう。連れにはハヤシライスにしてもらって、一口もらおう。
お土産の値段も立派です。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。