寿司屋にお決まりの、ペンギンマークが付いたガラスのネタケースは無く、ネタは木箱に並べられているだけ。もちろんお品書きは無く、全てが時価。
客はフランス人が3人、中国人が2人と、私以外全員が外人。すごいぞミシュランの影響力。日本人と外人が真剣に対峙して、黙々と食べ続ける光景はちょっとコミカル。久々人間の声を聞いたかと思うと、フランス人がミョウガを指差し「これは何?」と一生懸命に尋ねていましたが、さすがに店内の誰も答えられていませんでした。さっき調べた所によると、ミョウガは"Japanese ginger"って言うらしいです。ほんまかいな。
写真撮影はNG。外人が窘められてシュンとしていました。極東にまで来てバカ高いお金を払って写真NGはちょっと可哀相。
ヒラメ、コハダ、イカ、赤身、中トロ、大トロ、ミル貝、小柱、赤貝、タイラ貝。美味しいのですが大騒ぎする程でも無いなあ。勝どきの"はし田"のほうがポーション大きくてタイプだなぁ。三ツ星って言ったってこんなもんか、 と、心の中で軽くケチをつける。
んが、次のネタ"煮アワビ"で考えが一変。なんだっ…!これは……っっ!とカイジばりのリアクションで、本当に本当にびっくりし、腰を抜かしました。世の中にはまだこんなにもうまいものがあったのか。こんなにもうまいものが世の中にあって良いのか。食べ物でこんなにも感動し、感激したのは本当に久々。
アワビってのは特に味が無くて、コリコリと歯応えを楽しむだけのもので、私はこれといって好きなネタではなかったんですね。その先入観を完全に覆す、鳥肌が立ち涙が出るほどの美味でした。
そこを起点に感動の連続。
アジ:肉厚。一般的にアジは安魚とされていますが、常識を覆すエレガントな味。
エビ:これも肉厚。歯応えがすごい。そして広がる海老の甘みに絶句。
穴子:口に放り込んだ瞬間にシャリと穴子が渾然一体となって崩れ落ちる。宮島の穴子を超えるものは無いと信じきっていたのに、あっさりと凌駕。
うに:ねっとり濃厚に甘いんですが、すーっと抜けていく。全くしつこくなく、何リットルでも飲みたい程。
玉子:ふわふわしっとり、濃厚な洋菓子のよう。
追加で鉄火巻をお願いして満腹。寿司屋で満腹だなんて、なんて贅沢!お店を出てから近くのバーニーズで買い物しようとしたんですが、寿司の記憶があまりにも鮮烈すぎて、全くお洋服が目に入ってきませんでした。
うおー満足じゃー。また絶対来るぞー!
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- 鮨水谷/銀座 ←その先入観を完全に覆す、鳥肌が立ち涙が出るほどの美味。
- はし田/勝どき ←毎回「ああ、鮨食ったー!」と思わせてくれる私にとっては大切なお店。
- すし初/湯島 ←若旦那は唎酒師という資格を保有しており、日本酒については滅法明るい。
- 鮨西むら/六本木 ←六本木の格調高い鮨屋でこの値付け。
- 寿し処 寿々/溜池山王 ←結構な量が出てきてびっくりした。
- すし通/六本木 ←もうちょっと普通にすれば良いのにな。
- 入船寿司/奥沢 ←本物の赤身と超トロを食べるのに金に糸目はつけない場合に限って良いお店。
- 天寿司/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 安吉/博多 ←お会計は銀座の半額。ミシュラン2ツ星は荷が重いけれども、この費用対効果は魅力的。
- 西中洲 河童/天神南 ←鮨屋ではなく超高級海鮮居酒屋。
- ひでたか/すすきの ←鮨は好きだけどオタクではないライト層にとっては最高峰に位置づけられるお店。
- 鮨 田なべ/すすきの ←フォアボールで出塁した感じ。
- 鮨 志の助/新西金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13016524/