森下駅から歩いてすぐに位置する「BLESS(ブレス)」。アメリカンダイナーのような外観ですが、焼鳥とイタリアンを掛け合わせたコンセプトのレストランであり、食べログでは焼鳥枠で百名店に選出されています。
内装も外観の印象を引き継いでおり、欧米の倉庫感というかインダストリアルというか、一周回ってスタイリッシュです。30席近くあり、この手の焼鳥店としては大箱のレイアウトと言えるでしょう。
冒頭記した通り、「焼鳥とイタリアンを掛け合わせたコンセプト」と伺っていたのですが、私がお邪魔した際はイタリアを感じることは全くありませんでした。スタイル変わったのかな。ちなみにシェフは
時価で当日値上げが印象的な「山﨑」や
「おみ乃」で経験を積んできたそうです。
ビールやサワー類は高くなく、また、お食事に合わせたグラスワインのセットが大変お値打ち。スパークリング、白、オレンジ、赤の4種類をそれぞれ100ミリリットル楽しんで3,500円で済みます。
ところでサービススタッフは皆、バイトちゃんなのかもしれません。ネイルはゴテゴテで、キッチンスケール上でワインを注ぎ、言葉遣いは全くなっていない。スタッフ同士のおしゃべりも酷いもので、私が知る限り客単価1万円を超える飲食店の中では最も口が悪く感じました。
フォーブスのコラムで、カウンターでのマナーにつき「行動や発言は全て見聞きされていると理解しましょう。公共の電波に乗って生放送されている、くらいの緊張感を持って臨んで丁度良いです」と記しましたが、それは従業員とて同じことです。
一斉スタートでお食事が始まりました。前菜盛り合わせ(?)は本マグロのカルパッチョにヴィシソワーズ、鶏のリエットです。マグロがびっくりするほど美味しいですねえ。7,700円の焼鳥屋の前菜とは信じがたいクオリティであり、思わずニコニコしてしまいました。
かしわ。焼鳥の王道であり、お店のスタイルがストレートに伝わる作品です。外側の皮目はパリッと香ばしく、内部には肉の旨味が凝縮されています。噛み締めるたびに弾力のある引き締まった肉質を楽しむことができ、先頭打者ホームランな1本です。
ズワイ蟹の茶碗蒸し。一般的な茶碗蒸しと異なり生クリームを多用しているのか、欧米調のニュアンスを強く感じます。甲殻類の旨味も強く、温かいお凌ぎとして最適です。
つくね。フワフワとエアリーな口当たりが特長的で、こんなに空気を含ませて練って良く焼けるもんだなあと感心します。当店でしか味わえない唯一無二のつくねと言えるでしょう。
はつ。プリプリと新鮮な心臓におろし生姜の爽やかな辛みと瑞々しさが加わることで、後味が驚くほどさっぱりとまとまります。脂の旨味と薬味の清涼感が上手く調和した、洗練された味わいです。
鶏天とカブにお出汁を注ぎます。と鶏天の部位は振袖を用いており、ジューシーな肉をサクッと軽い衣で仕上げています。清澄なカブの風味や滋味あふれる出汁の味わい含め、きちんとした日本料理店で楽しむ料理を思わせます。
せせり。鶏の首の筋肉であり、プリプリとした力強い弾力とジューシーで濃厚な脂の甘みが印象的。噛めば噛むほどに鶏の旨味が口いっぱいに広がり、その濃厚な味わいは樽のきいたシャルドネとの相性が抜群だ。
大ぶりなマッシュルームを汗をかかせるように焼き上げました。熱が入ることでキノコの内部には自家製のスープのように濃厚で風味豊かなエキスが満ちており、土っぽい風味と共に、やはり樽のきいたシャルドネが良く合います。
コースとは別に追加でお願いした砂肝。牛タンの厚切りを思わせる包丁が入っており、砂肝特有のザクザク・コリコリが控えめに仕上がっています。見た目のインパクトを始め、ありそうでない1本です。
手羽先。皮目が最も厚い部位だからこそ、炭火の強火でカリッと香ばしく黄金色に焼き上げています。パリッとした皮の食感の後にコラーゲン質を含んだ濃厚な脂と鶏の力強い旨味が口中を満たします。やはり樽のきいたシャルドネが良く合う。ワインセットは泡白橙赤の4種なのですが、何なら泡白白白でもいいくらいです。
〆のお食事は「そぼろ御飯」。しっとりフワフワに煎り上げており、卵黄と共にマイルドで柔らかい仕上がりです。サイズは大中小から選ぶことができ、この写真は大なのですが、ラーメン屋の小丼ほどのポーション。普通の食欲の方は大サイズで注文すると良いでしょう。
以上を食べ、ワインセットを付けて1.2万円程度。グーグルマップの評価が妙に悪く、恐る恐る予約を入れましたが、終わってみれば実に美味しく、支払金額も実に良心的でした。食べログの点数も当てにならんが
グーグルマップもたいがいですな。
関連記事焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。
素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。