高級レストラン"また行きたい"偏差値【2026年最新版】

  • フレンチ イタリアン 中韓焼肉 和食 その他 
  • 私の主観的な"また行きたい"偏差値です。味や店の優劣ではありません。


高級レストランでナメられないためのマナー集

高級レストランには一種独特の雰囲気があります。「なんだか店に値踏みされているようで居心地が悪い」と感じる方が多いかもしれませんが、その通り、店は客のことを値踏みしています。

「お客様は平等に扱う」なんてのは大ウソです。レストラン業界には『ソワニエ(大切におもてなしするべき客)』という言葉があるくらいであり、一流の客や金払いの良い常連・重い客に対しては恭しく接し、どう見ても場慣れしていない一見客に対しては、人間だもの、おざなりな対応になるものです。

そこで、「高級レストランにあまり行ったことは無いが、ナメられたくはない」と考えるワガママな貴方のために、高級レストランにおけるマナーを整理しました。結構な長文となってしまったので是非ブックマークして頂き、必要に応じて読み返して頂けると幸いです。

ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

カウンターでの食事、特に一斉スタートのコース料理は「チーム戦」


今回はカウンター席での振る舞いについて整理します。基本的には鮨や天ぷら、割烹などの和食を想定していますが、フレンチやイタリアンのカウンターでも準用可能です。ただし、バーやスナックなど料理が主目的ではない店は少し勝手が異なるため、あくまでカウンター席での食事マナーであるという前提で読み進めてください。

結論から言います。カウンターでの食事、特に一斉スタートのコース料理は「チーム戦」です。この一点を腹に落とすだけで、貴方の振る舞いは劇的に洗練されるはずです。

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mærge(マージ)/表参道

白金において6年連続で1ツ星を獲得した「ラ クレリエール(La Clairière)」が約1年間の充電期間を経て南青山の地で再始動。開業後わずかな期間で1ツ星を獲得(継承?)し話題となりました。店名はフランス語の「marge(余白・額縁)」と英語の「merge(融合)」を組み合わせた造語だそうです。
洞窟のようなエントランスを抜けダイニングに入ると直線を排し曲線を多用したレイアウトが広がります(写真は食べログ公式ページより)。グレーを基調とし落ち着いた雰囲気。意外とこぢんまりとした規模であり、5つの円卓に個室がひとつでしょうか。
アミューズから凝っていて、今後の展開に期待を持たせてくれます。ゲストの到着に合わせてアツアツのひと品を用意してくれるお店にハズレはありません。
「キャレドブール」といって、バターをたっぷりと含んだ立方体のパンに味覚を重ねていきます。7種のトッピングから好きなものを選ぶのですが、こちらは全部盛り。キャビアが盛り盛りであり気分は上々です。
フランには蕎麦の風味をきかせており、ぷっくりと太った牡蠣を合わせます。お出汁(?)には和のニュアンスをきかせており、牡蠣蕎麦を食べているかのような錯覚に陥ります。
白子のムニエル。バターをたっぷり用いて焼き付けており、表面のカリッとした香ばしい歯ざわりを楽しみつつ、熱々で濃厚なクリームも堪能します。ソース(?)の土台はトマトであり、穏やかな酸味と白子特有のミルキーな甘みとの対比を楽しみます。
パンは3種の用意であり、お料理に合わせてお出し頂けます。ロブションのような派手派手な味覚ではなく、いずれも料理を邪魔しない素朴な構成でした。
鰻はキュウリとゴハンと共に海苔巻きで頂きます。普通に美味しいのですが、モダンなフランス料理店でウナキュウ巻きを食べる必然性は感じられませんでした。お皿に盛りつけるのでなく鮨屋のように手渡しされるのも抵抗がある。
鰻に湯葉、白トリュフ。器がブルゴーニュグラスのように大きく膨らんでおり、白トリュフの豊潤な香りを堪能できるよう食体験が設計されています。鰻のリッチな風味に白いダイヤの官能的な香りが良く合う。湯葉のシルキーで優しい大豆の中和機能も見事です。
ボタン海老はシェリー酒に漬け込み当店流の酔っ払い海老に。ねっとりと舌に絡みつくボタン海老の甘味にシェリー特有のナッツのような熟成香と深みが染み渡り、海老の風味を立体的に引き立てます。強いコシと滑らかな喉越しを持つ素麺との組み合わせも興味深い。ウニもタップリと組み込まれており、何とも贅沢なひと品です。
甘鯛は鱗焼きで楽しみます。高温の油で立たせた甘鯛の鱗はサクサクと軽快に砕けて香ばしく、その下の身はふっくらと繊細な甘みを湛えています。ソースにはカリフラワーとカチョカバロを用いており、カリフラワーの土っぽく滋味深い甘みとチーズの凝縮されたコクと塩気が溶け合ったソースが濃厚オブ濃厚。本日一番のお皿でした。
グラニテは柿をベースとしており、その繊細な口どけはカキ氷専門店としてスピンアウトさせたいほどの完成度。ガリガリ君みたいな氷菓を出す雑なフランス料理店は反省するように。
メインは米麹で熟成させたジャージー牛。隠し包丁(?)が入っており、また酵素で分解されているのか繊維もほどけて柔らかく、赤身ながらシットリと柔らかな口当たり。濃厚な鉄っぽい風味と麹由来のふくよかな甘みとナッツのような深みが良く合う。薪火由来のスモーキーな香りも食欲を掻き立てます。
添えられたサラダも目を瞠る質の高さ。葉野菜が持つシャキシャキとした食感と特有のほろ苦さが心地よく、肉料理の長い余韻を潔くリセットし、次のひと口をより鮮烈に感じさせる機能を果たします。
小さなデザートは杉の香りが漂うひと品。先のグラニテもそうですが、当店はこういった冷たい系のデザートの取り扱いが上手く感じます。
一方で、メインのデザートはボリューム感に乏しく、やはりロブションのような派手派手な芸風とは距離があります。私はフランス料理ではカロリーの半分はデザートで摂りたい派なので、まあ、このあたりの好みはひとそれぞれかもしれません。
お茶菓子のクオリティも素晴らしく、やはりスイーツの専門店としてデビューしても成功を収めそうな気配を感じました。
料理のレベルの高さはもちろんのこと、サービススタッフも歴戦の勇者たちが勢ぞろいしており、レアルマドリードのような層の厚さを感じます。客層も実にヘヴィであり、若いカップルが事情を知らずに予約を入れると圧倒されるかもしれません。もちろん支払金額にも圧倒されます。

(ホテルを除いては)久しぶりにゴリゴリのグランメゾンが登場し、2025-2026年にかけての注目度ナンバーワンは間違いなし。今後の展開が楽しみです。

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軽食の店 ルビー 泊店/那覇市

1962年創業の老舗大衆食堂「軽食の店 ルビー」。国道58号線沿いに位置し、泊港(とまりん)から徒歩圏内でアクセスし易く、地元民から観光客まで長年愛されるお店です。多くのスターを輩出した「沖縄アクターズスクール」の旧校舎が近かったこともあり、安室奈美恵をはじめとする生徒たちが通っていたことで知られています。
店内は広々としており、テーブル席にお座敷と、おひとりさまから家族連れまで誰でも入りやすい、古き良き沖縄の食堂といった趣です。ちなみに安室奈美恵のお気に入りは「オムライス」であり、現在でも彼女のファンが全国から訪れ、彼女がかつて座った席を想像しながら同じオムライスを注文する「聖地巡礼」が絶えません。
券売機に並ぶメニューは、ランチ類に留まらず、沖縄そば、チャンプルー、カレー、サンドイッチ、丼物など60種類以上にも及びます 。この多様性は、あらゆる客層の要求に応えるという食堂としての矜持の現れなのかもしれません。 

沖縄独自の「A・B・Cランチ」文化は当店が発祥とも言われており、不動の一番人気は「Cランチ」。トンカツ、ポーク、たまご焼き、サラダなどがワンプレートに盛り付けられ、スープとライスが付きながら千円でお釣りが来ます。
セルフサービスとして提供される「アイスティー」もまた、この店を語る上で欠かせない記号です。米国統治下のレモンティー文化に端を発しているそうで、あらかじめ砂糖が加えられており仄かに甘く、過酷な暑さの中で働く人々にとっての糖分補給としても機能していたようです。
定食に付帯する白いスープ。ポタージュのような見た目でありながら野菜の甘みも生クリームのコクも存在せず、どことなく小麦粉と出汁の風味が香るという独特の性格を持っています。多くの初見客を困惑させ、同時に多くの常連客を惹きつける隠れスペシャリテと言えるでしょう。
一番人気は「Cランチ」と前述しましたが、私は最上級の「Aランチ」を注文。圧倒的に茶色いビジュが特徴的で、どこが軽食やねんと文句のひとつも言いたくなるボリューム感です。
トンカツは厚切り肉の旨味を期待してはいけません。沖縄のトンカツは豚肉をこれでもかと叩き伸ばし、限界まで薄くするのがマナーであり、肉の存在感の無さは油の厚さでカバーします。肉を食べているというより揚げ物を食べているという冷めた認識が肝要です。
ハンバーグについても、肉汁が溢れるような本格派を想像するのは野暮というもの。つなぎの存在感が強く、どこか懐かしい「お弁当のハンバーグ」を巨大化させたような風情です。決して裏切らない安っぽい味が郷愁を誘います。
こちらは塩気の強いポーク缶にハムと玉子焼き、タコさんウインナー。家庭でも作れる、いや、家庭でしか出てこないようなこの組み合わせではありますが、これが沖縄の食堂におけるアイデンティティとも言えるかもしれません。
揚げ物の山に申し訳程度に添えられたサラダたち。栄養バランスへの配慮というよりは、視覚的な免罪符に近い存在。あってもなくても良さそうですが、無いと寂しい。計算された凡庸さとも言えるポジショニングです。
平皿にこんもりと盛られたライス。あくまで脂ぎったトンカツや塩辛いポークを受け止めるための白いキャンバスであり、空腹を満たすための質量そのものと言えるでしょう。冷え冷えとしており表面がわずかに乾燥していますが、それもまたご愛嬌。胃の中で膨らませるという実利的な役割に特化した潔いまでの無個性を楽しみましょう。
値段の割にはボリューム満点で、味わいは価格相応といったところでしょうか。当店での食体験は美食や鑑賞ではなく補給という作業に近いものかもしれません。特別に旨くはないが、無性に食べたくなる。そんな矛盾した感情こそが、当店の料理がソウルフードたる所以なのかもしれません。

安くて、重くて、どこまでも普通。その普通を何十年も維持し続けるという狂気。決して手放しで褒められる味ではありませんが、もしこの店がなくなれば、多くのうちなーんちゅの心と胃袋にぽっかりと穴が開くことでしょう。

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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。

Khaiphaen(カイペン)/ルアンパバーン(ラオス)

ラオスのルアンパバーンにあるレストラン「Khaiphaen(カイペーン)」。恵まれない青少年の職業訓練を目的としたNGO「TREE Alliance」が運営する有名店であり、伝統的なラオス料理をベースに、現代的なアレンジを加えた料理が高く評価されています。

ルアンパバーンは観光産業が盛んである一方で、地方出身の若者や少数民族の若者が十分な教育を受けられず、低賃金労働や不安定な雇用状況に置かれるリスクが高い地域であり、当店はこうした若者たちに対し、調理技術、接客サービス、英語能力、そして衛生管理といった実践的なスキルを提供することで、彼らが観光産業の正規雇用市場へ参入するための架け橋となっています。
店内は明るく開放的な雰囲気で自然光が気持ち良い。屋内のダイニングエリアに加え、涼しい乾季にはテラス席が設けられます。スタッフは明確に「生徒(Student)」と「教師(Teacher)」に区分されており、ユニフォームによって識別可能なのが面白い。生徒たちは実際の営業中に、オーダーテイク、ドリンク作成、調理補助、配膳、会計などの業務を行い、これぞまさにOJT。
私はビール、連れはパイナップルとパッションフルーツのスムージーを注文。ひとくち味見させて頂きましたが、完熟フルーツを贅沢に用いており、パイナップルの濃厚な南国の甘みと、パッションフルーツ特有の華やかな香りと突き抜けるような酸味が上手くブレンドされています。
サイウア。いわゆるラオス風のハーブソーセージであり、豚挽肉にレモングラス、こぶみかんの葉、ガランガル、唐辛子、ナンプラーなどを練り込み、腸詰めにして焼き上げています。食べた瞬間に複雑で爽やかな香りが爆発。 添えられているのは、ラオスの食卓に欠かせない「ジェオ(Jeow)」と呼ばれるディップソースであり、ソーセージのジューシーな脂を、香ばしくピリ辛な風味で引き締めていきます。
ラープ。ラオスの国民食である挽肉のサラダです。鶏の挽肉にローストしたカボチャ(?)を組み込んでおり、甘みとホクホクとした食感のアクセントを加えています。伝統的な辛さとハーブの香りを守りつつ、野菜の甘みでバランスを取った、万人受けするモダンな味わいです。
カオニャオ。ラオス人のアイデンティティそのものと言える蒸したもち米です。日本のもち米よりも粘りが少なく、適度な弾力と噛むほどに広がる甘みが特長的。量が多いので、2人で1杯注文してシェアすると良いでしょう。
以上の総額が1,700円ほどと、信じがたい費用対効果です。美味しく食べて、少し飲んで、それだけでラオスの若者たちの未来を少しだけ明るくできるのですから、これほど気持ちの良いお金の使い方はありません。

「社会貢献」と聞くとつい身構えてしまいますが、ここは変な説教臭さも、支援を強要するような圧もゼロ。日本でよくある「意識高い系」のプロデュース感にアレルギーがある方でも、ここなら素直に楽しめるはずです。美味しいものを食べることが、結果として最適解な支援になる。このスマートな構造こそ、我々が見習うべき持続可能な支援の形なのかもしれません。

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Peace(ピース)/三越前

ミシュラン1ツ星フレンチ「La Paix(ラペ)」のオーナー・松本一平シェフが手がける新業態「Peace(ピース)」。カテゴリとしてはイタリア料理ですが、フレンチや和の要素を融合させた独自の料理が注目を集めています。日本橋室町エリアに位置し、三越前駅から徒歩3分と良い立地です。
店内は高級感とカジュアルさが調和しており、深みのあるダークブラウンの木材がふんだんに使われています(写真は公式ウェブサイトより)。キッチンが客席からよく見えるオープンな造りになっており、調理の音や香り、料理人の動きがダイレクトに伝わり、食事への期待感を高めます。
ワインは「La Paix(ラペ)」のそれを引き継いでいるのか、そのほとんどがフランス産のものでした。1万円前後のボトルが多く、同価格帯でのペアリングなども提案してくれます。
アンティパストミストとして生ハムのブルスケッタ・ワカサギのカルピオーネ・ゼッポリーニ・蟹のジュレとカリフラワーのムース。生ハムの凝縮された旨味と塩気がクリスピーなパンと調和するブルスケッタに続き、南蛮漬け風のワカサギが心地よい酸味で食欲を刺激します。
脂の乗った鯖をメークインと合わせます。鋭角的な酸味が特長的で、鯖特有のオイリーな口当たりを中和します。きめ細やかでねっとりとした甘みを持つジャガイモが、鯖の強い個性を優しく受け止め、酸味・脂・甘みのトライアングルが成立します。
「折戸ナス」を用いたひと品。加熱することでトロリとクリーミーに仕上がり、そこにカラブリア州の唐辛子入りサラミペースト「ンドゥイヤ」を合わせます。刺激的な辛味と豚肉のコクが、ナスの甘みをより一層際立たせ、シラスの軽やかな塩気が味覚のロードバランサ―として機能します。
シャラティエッリに香箱蟹と白子を合わせました。ナポリ発祥の太麺であり、うどんにも似た強いコシとモチモチ感が、重厚なソースをしっかりと受け止めます。ベースとなるチャウダーソースは、蟹の外子や内子、味噌から溶け出した濃厚なコクが支配的で、そこにクリーミーな白子が溶け込み、痛風鍋ならぬ「痛風パスタ」とも言える背徳的な旨味に満ちています。
パンからは天然酵母由来のふくよかで少し酸味を帯びた香りが感じられ、料理のソースを拭う脇役としてだけでなく、単体でも噛み締めがいのあるパンです。口の中をリセットしつつ、食事全体の満足度を底上げしてくれるような、力強くも優しい存在感があります。
スミイカに蓮根まんじゅう。パツンと弾けるような歯切れの良さと上品な甘みを持つスミイカ。そのクリアな味わいに対し、蓮根まんじゅう特有のねっとり、もっちりとした粘性のある食感がコントラストを生み出します。蓮根の土っぽい風味と甘みが、イカの淡白な旨味に深みを与え、噛みしめるごとに異なるテクスチャーが口の中で混ざり合います。
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ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコースが15,400円で、ワインを含めると支払いは1人3万円に達しました。イタリアンとしては強気の価格設定ですが、パスタを軸とした王道のスタイルではないため一般的な「イタリアン」を求めて訪れると肩透かしを食うかもしれません。

また、ぽいことを色々と試みてはいますが突き抜けた何かは無く、美味しくはあるものの来週には忘れてしまいそうな料理ばかりなのが気がかりです。価格を正当化するだけの圧倒的なスペシャリテの爆誕が期待されます。おつかれさまでした。

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