新宿御苑前駅から徒歩約5分の「シェフス(CHEF'S)」。上海料理を専門とする老舗の中華料理店であり、食べログでは百名店に選出されています。ちなみに表参道の星付き中華
「ミモザ(MIMOSA)」の南俊郎シェフは、当店で料理長を務めていました。
ディナーは客単価2万円の高級店ですが、同じ料理人が作るランチは千円かそこらで楽しむことができるため、当然に大人気のお店。ピークタイムは場面で待ちが生じるので、オープンと同時にお邪魔しました。
入店してすぐに温かいお茶がポットで供されます。この日わたしは朝から新宿御苑をお散歩していたので、芯まで冷えた身体と心に深く沁みわたります。
ランチに付随するサラダ。これはまあ、オマケと言えばオマケらしいサラダですね。価格を考えれば当然かもしれません。ちなみに麺類はスーパーで売っていそうな袋詰めの既製品を使用しているので、その緩急は理解した上で訪れましょう。
サイドメニューのエビの春巻き。エビはすり身にし過ぎずゴロっとした食感を残してあるため、噛み締めるたびに海老特有のプリプリとした弾力と、凝縮された甘みが口いっぱいに弾けます。サラっと組み込んでいる生姜の香りが心地よい。
ランチで一番人気の「肉のせ炒飯」。パラパラという食感とはまた違う、ふわんりと空気を含んだ軽やかなスタイルです。玉子の比率が高く塩味は控えめで上品そのもの。そこに醤油ベースで甘辛く味付けされた豚肉がのり、脂の甘みと醤油の香ばしいタレが淡白な炒飯に徐々に染み渡り、食べ進めるごとに旨味のグラデーションが変化していきます。
こちらもサイドメニューの「大焼売」。箸で持ち上げるとずっしりとした重みを感じるほどのサイズ感であり、薄くしなやかな皮の中には、丁寧に練り上げられた豚肉の餡が隙間なく詰め込まれています。玉ねぎの自然な甘みが豚肉の脂の旨味を中和しており、大きくても決して重たさを感じさせません。
私がイケメンだからか、オマケで「シェフスカレー」もお出し頂けました。ベースに中華風の出汁がきいており、そこへレモングラスやカフィアライムリーフ(こぶみかんの葉)といったハーブが加わることで、アジアの風を感じさせる爽快な香りを纏っています。いわゆるスパイスカレーとはまた違う、思いもよらない味覚でした。
以上を食べてお会計は2千円強。夜の客単価を思えば破格という他ありませんが、特筆すべきはその安さだけではなく、炒飯やカレーが放つ孤高の存在感にあるでしょう。このランチは夜という本番に向けた贅沢な序章に過ぎないのかもしれません。次回はディナーにお邪魔したいと思います。
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本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。