不動前駅近く、品川百景の桜並木通りである「かむろ坂」沿いに店を構える「太田屋(おおたや)」。創業50年以上の歴史を持つ老舗であり、品川区屈指の名店として知られています。軒先の大きな赤提灯が目印です。
店内は壁一面にメニューがびっしり貼られた正統派の酒場スタイル。カウンター席とテーブル席があり、ひとり飲みからグループ、さらには地元の家族連れまで幅広い層に愛されています。17時の開店直後からすぐに満席になることも珍しくありません。
とは言えアルコールは結構高く、大ビンは千円を超え、サワーやハイボール類は600-700円あたりの価格設定です。雰囲気に飲まれると思いのほか高くつくのでご注意を。
サラダ代わりに注文したお新香。おそらく自家製でしょう、瑞々しい食感とシャキシャキとした歯ごたえが心地よく、余計な雑味がなくすっきりとした後味。濃厚なもつ焼きや揚げ物の合間に口に運べば、お口の中を上手くリセットしてくれます。
煮込み。暖簾をくぐる多くの客がまず注文する看板メニューです。丁寧に下処理されたモツを味噌ベースの出汁でじっくりと煮込んでいます。思いのほか量も多く、白ゴハンが欲しくなる濃厚な味覚です。
串焼きは左から豚ハツ、鶏つくね、鶏ねぎま。中でも豚ハツがいいですね。噛むとサクッ、プリッとした独特の小気味よい弾力があり、溢れる肉汁から血肉の力強い旨味がダイレクトに伝わります。
しろ。豚の大腸であり、クニクニとした脂の甘みとジューシーさが特長的。「多少、臭みがあるのでタレのほうがいい」とスタッフより案内がありましたが、タレでお願いしたこともあってか私はそれほど気になりませんでした。
タコ唐揚げ。プリプリと弾力のある新鮮なタコに、薄付きの衣を纏わせてカラッと黄金色に揚げられています。歯を立てると衣のサクサクッとした軽快な食感のすぐ後に、タコ特有のグッと押し返すような弾力と、噛むほどに溢れ出す濃厚な磯の旨味と甘みを堪能できます。これはビールにピッタリだ。
イカ焼き。「生イカは時価で、今夜だと冷凍に比べて200円増し」との提案があり、もちろん生イカでお願いしました。炭火の芳ばしい薫りが食欲を刺激しつつ、生イカならではのパツッとした弾けるような歯ごたえと柔らかくしなやかな食感が心地良い。
お会計をお願いすると、サービス(?)でアサリの味噌汁をお出し頂けました。お椀を近づけた瞬間に豊かな磯の香りと出汁の香りがふわりと鼻腔をくすぐり、口にすると滋味深いエキスがジュワッと五臓六腑にしみ渡ります。何とも魅力的な締めくくりです。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は7千円ほど。何とも言えない満足感と「これぞ大衆酒場」という熱気がここにはあります。ちなみにドジョウ料理も有名なので、次回は鍋や唐揚げを試してみたいと思います。
関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。