高級レストラン"また行きたい"偏差値【2025年最新版】

  • フレンチ イタリアン 中韓焼肉 和食 その他 
  • 私の主観的な"また行きたい"偏差値です。味や店の優劣ではありません。


【保存版】高級レストランでナメられないためのマナー集

高級レストランには一種独特の雰囲気があります。「なんだか店に値踏みされているようで居心地が悪い」と感じる方が多いかもしれませんが、その通り、店は客のことを値踏みしています。

「お客様は平等に扱う」なんてのは大ウソです。レストラン業界には『ソワニエ(大切におもてなしするべき客)』という言葉があるくらいであり、一流の客や金払いの良い常連・重い客に対しては恭しく接し、どう見ても場慣れしていない一見客に対しては、人間だもの、おざなりな対応になるものです。

そこで、「高級レストランにあまり行ったことは無いが、ナメられたくはない」と考えるワガママな貴方のために、高級レストランにおけるマナーを整理しました。結構な長文となってしまったので是非ブックマークして頂き、必要に応じて読み返して頂けると幸いです。

ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

空弁界隈のバーキン、「大東寿司」を初めて食べた話

那覇空港において長年にわたり「見つけたら即買い」「空弁界隈のバーキン」として旅行者の渇望の対象となってきた「大東寿司(だいとうずし)」。私は年に数十回も那覇空港を利用しているのですが、ようやく初めて購入することが叶いました。ちなみに「空弁界隈のバーキン」と呼んでいるのは私だけです大げさに言ってごめんなさい。
いつもは「完売しました」の紙が乱暴に貼り付けられているのですが、この日の掲示は「大東寿司 入荷」と、どこか誇らしげに見えます。ちなみに購入場所は保安検査場通過後の制限エリア内の「ANA FESTA」や「JAL PLAZA」「Coralway」などでも取り扱いがあるようです。製造元「喜作(きさく)」からの納品は1日複数回行われているという噂があり、搭乗タイミングを考えれば殆ど運次第と言えるでしょう。
私はラウンジに持ち込み、ビールと味噌汁をお供に楽しみます。ちなみに大東寿司のルーツは東京都の八丈島にある「島寿司」だと言われており、明治時代に八丈島からの開拓移民が大東諸島に移り住んだ際、八丈島の文化(カラシで食べる醤油漬けの寿司)が持ち込まれ、沖縄の気候や好みに合わせて独自に進化したそうです。そのため、沖縄料理でありながら「江戸前」の仕事のニュアンスを感じさせる珍しい寿司と言えるでしょう。
いよいよ開封の儀です。蓋を開けると、中には大東寿司が6貫と、スーパーのパック寿司で見かけるようなガリが添えられています。

ネタにはサワラ、またはカジキが使われていますが、実は過去にこの原材料表示をめぐって一時販売中止になったことがありました。具体的には、その日の入荷状況によってどちらか一方のみを使用しているにもかかわらず「サワラ・カジキ」と併記していた点や、「米酢」と表示しながら実際には調味酢を使用していた点が、当時のJAS法に抵触したのです。

しかし、この一件は逆説的に言えば、喜作の「大東寿司」が画一的な工業製品ではなく、その日の漁獲状況に左右される職人の手仕事による産品であることを証明しているとも言えます。現在では表示も適正化されていますが、こうした天然素材ゆえの不安定さこそが、大量生産品にはないレア度の源泉となっているのでしょう。
タネは美しい飴色をしており、口に入れるとモチモチねっとりとした舌触りが心に残ります。恐らく醤油・みりん・砂糖を煮詰めたタレに深く漬け込んでおり、この工程により魚の水分が適度に抜け、表面は飴色になり、ねっとりとした弾力のある食感に変化しているのでしょう。保存食としての側面も持つため、生魚特有のプリプリとした鮮度感よりも、タレと馴染んだねっとりとした熟成感や、凝縮された味が全体を構成しています。
シャリは一般的な江戸前寿司に比べ砂糖の含有量が極めて多い。こちらも保存性を高めるとともに、時間が経過しても米が硬くならないことを志向しているのかもしれません。

ちなみに6貫で950円と、なかなかの価格設定です。正直に言えば、飛び抜けて美味しいというわけではありません。しかしこれは単に味への代金というよりも、その希少性に加え、八丈島からの開拓者が島寿司を伝えたという歴史的経緯や、南大東島で独自に定着し変化を遂げたという物語への対価だと捉えてみるべきなのでしょう。空の玄関口でこうしたストーリーを提供し、文化的架け橋としての役割を果たしていること、そこに価値があるのかもしれません。
搭乗口に向かうと、見慣れた「完売しました」の張り紙に切り替わっていました。やはりタイミング次第の弁当なので、どうしても食べたい場合・計画的に臨みたい場合は製造元である那覇市内の割烹料理店「喜作(きさく)」に予約を入れ、お店で飲み食いすると良いでしょう。

もっとも、本店に足を運べば確実にありつけると分かっていても、私たちはまた空港でこの幻を探してしまうのかもしれません。旅の終わりに運試しのように売店を覗き、一喜一憂する。そんな儀式も含めての「大東寿司」体験なのでしょう。

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ピッツァ チェック(PIZZA CHECK)/不動前

不動前駅から歩いて5分ほど、山手通り沿いにある「ピッツァ チェック(PIZZA CHECK)」。日本のナポリピッツァシーンにおける聖地である「聖林館」の系譜を継ぐ正統派であり、真っ黒に塗りつぶされた外観が目印です。
店舗は3階建てのペンシルビル(?)であり、螺旋階段がナカメの「聖林館」を想起させます。1階はキッチンとテイクアウト・デリバリー受付、2-3階がダイニングです。スタッフは配膳のたびに上下を行き来しており、良い運動になりそうです。どう考えてもベビーカーやスーツケースなどは無理であり、結果として客層は大人のカップル、単身者、あるいは健脚なグループに自然と絞り込まれることになりそうです。
ランチタイムはカールスバーグ生が550円で楽しむことができます。山手通りに面した側面はガラス張りとなっており解放感は抜群で、ちょっとしたビアガーデン気分です。酒と風呂は太陽が高いうちに楽しむに限る。
ランチに付随するサラダは単なるオマケの域を遥かに超えた満足度の高いひと品。葉野菜一枚一枚がピンと張り、噛むたびに「シャキッ」と弾ける食感と、野菜本来の濃い味わいがダイレクトに伝わります。余計な味付けをせずとも、素材の力だけで食べさせます。
ピッツァは店名を冠した「ちぇっく!」を注文。「HEROINES」の一員である「のんふぃく!」を彷彿とさせるメニュー表記です。生地は国産の小麦粉2-3種類と天然酵母を用い、手捏ねの後72時間以上も熟成させているそう。モチモチとした食感が特長的で、薪火由来の香ばしい風味が心地よい。
具材は「徳島県産たむらのタマゴ」を中心に自家製チャーシュー、モッツァレッラチーズ、ホウレン草、ジャガイモなどが脇を固めています。ある意味では町中華のチャーシューエッグ的な味覚であり、ビスマルクの進化系とも言えるでしょう。
追加料金でビールに変更、というわけでなく、セットのドリンクはセットとして付きました。気前の良い店である。

流石は「聖林館」の出身であり安定的に美味しい。狭小店舗ながらテイクアウト需要の取り込みやフードデリバリーも上手く活用しており、ピザ屋として完成されたビジネスモデルと言えるでしょう。夜はツマミ類も充実しているので、仲間と連れだって飲みに来るのも良さそうです。姉妹店として「BAGEL CHECK」というベーグル専門店もあるようで、そちらも気になる。

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関連ランキング:ピザ | 不動前駅目黒駅五反田駅


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中華厨房 齊華房(ちゅうかちゅうぼう さいかぼう)/首里(那覇市)

ゆいレール首里駅から徒歩約5分、静かな住宅街の細い路地を入った先にある「中華厨房 齊華房(ちゅうかちゅうぼう さいかぼう)」。一般的な町中華とは一線を画す本格的で質の高い料理を提供する美食の拠点として地元民から支持を集めます。
店内は10卓ほどのテーブルで構成され、トータルでは40席ほどでしょうか。席間にゆとりがあり、グループでの利用を想定した店づくりです。四川料理が中心のようですが、野菜・海鮮を活かした優しい味わいのものまで幅広いラインナップ。平日ランチは定食も提供しているようです。
ドリンクは高くなく、オリオンの中瓶が650円、ハイボールやサワー類も500円前後です。「自家製実山椒サワー」という響きに心を惹かれる。また、コース料理であれば飲み放題プランも予約できるようです。
くらげの頭と胡瓜の香りにんにくだれ。肉厚でコリコリとした食感のクラゲを瑞々しい胡瓜と合わせた前菜。決め手となるのは香ばしく風味豊かな特製のにんにくだれで、パンチの効いた香りと辛味、そしてごま油の豊かな香りが、淡白なくらげの味わいを引き立てます。序盤のお酒の肴に最適だ。
海老ぎっしりニラ饅頭。その名の通りマジで海老がギッシリ詰まっており、エビ好きにはたまらない逸品。皮の表面はカリッと香ばしく焼き上げられており、一口頬張るとニラの力強い香りが鼻を抜け、続いて海老の濃厚な旨味と甘みが口いっぱいに広がります。何もつけずにそのままで完成された味わいである。
鉄なべ熱々海鮮おこげ。熱々の鉄鍋で提供されるおこげに、魚介の旨味が溶け込んだ熱々のあんを目の前でかけるパフォーマンスが楽しい。あんに含まれるのは、海老、イカ、アサリなどの海の幸と野菜たち。魚介から出た濃厚な出汁が次第にオコゲに染みていき、始めはサクサク、途中からモチモチへと変化していきます。
キャベツと豚バラ肉の甘味噌炒め。いわゆる回鍋肉であり、ジューシーな豚バラ肉の脂の旨味とシャキシャキとした食感を残して炒められたキャベツの甘みを楽しみます。甜麺醤をベースにしたであろうそのタレは濃厚でありながらくどさがなく、程よい甘辛さで酒を呼びます。
美味しかった。立派なホテルの中国料理店で食べるそれに比肩するクオリティであり、(那覇の)松山の嘘つき高級中華料理店とは段違いの食後感。次回はランチに訪れ麺料理を試してみたい。人数が揃えば夜に飲み放題を付けて大宴会だ。

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シェフス(CHEF'S)/新宿御苑

新宿御苑前駅から徒歩約5分の「シェフス(CHEF'S)」。上海料理を専門とする老舗の中華料理店であり、食べログでは百名店に選出されています。ちなみに表参道の星付き中華「ミモザ(MIMOSA)」の南俊郎シェフは、当店で料理長を務めていました。
ディナーは客単価2万円の高級店ですが、同じ料理人が作るランチは千円かそこらで楽しむことができるため、当然に大人気のお店。ピークタイムは場面で待ちが生じるので、オープンと同時にお邪魔しました。
入店してすぐに温かいお茶がポットで供されます。この日わたしは朝から新宿御苑をお散歩していたので、芯まで冷えた身体と心に深く沁みわたります。
ランチに付随するサラダ。これはまあ、オマケと言えばオマケらしいサラダですね。価格を考えれば当然かもしれません。ちなみに麺類はスーパーで売っていそうな袋詰めの既製品を使用しているので、その緩急は理解した上で訪れましょう。
サイドメニューのエビの春巻き。エビはすり身にし過ぎずゴロっとした食感を残してあるため、噛み締めるたびに海老特有のプリプリとした弾力と、凝縮された甘みが口いっぱいに弾けます。サラっと組み込んでいる生姜の香りが心地よい。
ランチで一番人気の「肉のせ炒飯」。パラパラという食感とはまた違う、ふわんりと空気を含んだ軽やかなスタイルです。玉子の比率が高く塩味は控えめで上品そのもの。そこに醤油ベースで甘辛く味付けされた豚肉がのり、脂の甘みと醤油の香ばしいタレが淡白な炒飯に徐々に染み渡り、食べ進めるごとに旨味のグラデーションが変化していきます。
こちらもサイドメニューの「大焼売」。箸で持ち上げるとずっしりとした重みを感じるほどのサイズ感であり、薄くしなやかな皮の中には、丁寧に練り上げられた豚肉の餡が隙間なく詰め込まれています。玉ねぎの自然な甘みが豚肉の脂の旨味を中和しており、大きくても決して重たさを感じさせません。
私がイケメンだからか、オマケで「シェフスカレー」もお出し頂けました。ベースに中華風の出汁がきいており、そこへレモングラスやカフィアライムリーフ(こぶみかんの葉)といったハーブが加わることで、アジアの風を感じさせる爽快な香りを纏っています。いわゆるスパイスカレーとはまた違う、思いもよらない味覚でした。
以上を食べてお会計は2千円強。夜の客単価を思えば破格という他ありませんが、特筆すべきはその安さだけではなく、炒飯やカレーが放つ孤高の存在感にあるでしょう。このランチは夜という本番に向けた贅沢な序章に過ぎないのかもしれません。次回はディナーにお邪魔したいと思います。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。

本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。

トラットリア イル ピスタッキオ (TRATTORIA IL PISTACCHIO)/茨木(大阪)

大阪市および京都市という二大都市圏のベッドタウンとして機能する郊外都市の茨木市。「なんで茨木にこんな本格的なシチリア料理屋が?」と驚くまでがセットの「トラットリア イル ピスタッキオ (TRATTORIA IL PISTACCHIO)」にお邪魔しました。
JR茨木駅から歩いてすぐ。駅前の角地にある僅か8席の狭小店舗。シェフのワンオペであり、商業的な論理よりもシェフ個人の料理哲学と生活リズムを優先した職人性の高い経営モデルであることが伺えます。とは言え待たされたという記憶は全くないのが素晴らしい。
ワインは高くなく、ボトルはもちろんグラスやカラフェ、料理に合わせたペアリングでの提供もあり自由度が高い。シェフは料理だけでなく飲み物の面倒まで手早くやって、すごいなあ。
お食事は8千円のコースでお願いしました。まずはブルスケッタ 。野生味あふれるブラックマッシュルームの旨みが凝縮されており、カリッと香ばしく焼かれたパンとキノコのエキスを渾然一体に楽しむことができ、いきなり泡が進みます。
ヨコワマグロのカルパッチョ。ヨコワ(クロマグロの幼魚)特有の爽やかな酸味と程よく乗った脂の甘みを楽しむ逸品。シチリア料理らしく端的な調味であり、素材を活かした透明感のある洗練された味わいです。
イワシのベッカフィーコにシラスのフリテッレ。前者は松の実やレーズンをイワシで巻いて焼いたもの。イワシの脂の旨みにレーズンの甘みと松の実の香ばしさが重なり、甘じょっぱい味わいがワインを呼ぶ。後者はシラスを多用したチヂミのような料理であり、の磯の香りと塩気が口いっぱいに弾けます。
焼き野菜の盛り合わせ。契約農家から届く上質な野菜を、やはりシンプルな調味で香ばしく焼き上げています。噛むと野菜の滋味がジュースのように溢れ出し、野菜の個性がダイレクトに伝わります。
甘エビの塩茹でにアオリイカとセロリ。甘海老はご覧の通りのプリッとした弾力に凝縮された甘みと旨味。アオリイカは ねっとりと甘く、セロリの爽やかな苦味と香りが全体を引き締めます。
黒メバルのグリル。脂の乗った黒メバルを皮目はパリッと、身はふっくらと焼き上げ、シチリア伝統の万能ソース「サルモリッリオ」を合わせています。黒メバルの上品かつ淡白な白身の甘みに、オレガノの野生的な香りとレモンの酸味がガツンと加わることで味覚が立体的に。魚の脂っこさをソースがさっぱりと流し、口の中に磯の香りとハーブの余韻が長く残ります。
手打ちパスタのカヴァティエッディ。指で窪みをつけたシチリアのショートパスタであり、モチモチとした弾力とソースの絡みの良さが魅力的。合わせるのは黒毛和牛を使った贅沢なポルペッティーニ(肉団子)であり、和牛の脂の甘みが溶け出した濃厚なトマトソースが、パスタの凹凸にしっかりと入り込みます。仕上げに雪のように振りかけられたリコッタサラータ(塩漬けリコッタチーズ)の熟成されたミルキーな塩気が、トマトの酸味と肉の旨みを引き立てます。
お肉料理はスカロッピーネ。薄く叩いて伸ばした肉をソテーした料理であり、今回は贅沢にも米沢豚を用いています。きめ細やかな肉質と甘い脂を楽しみつつ、複数のキノコから出る旨味たっぷりのソースで絶頂に達します。
付け合わせにホウレン草のソテーがドーンとやって来ます。やはりシンプルにさっと炒めただけのものですが、土っぽい香りとほろ苦さが先の豚肉の脂とソースのコクに対する絶好の箸休めに。こちらのおかげで最後まで重たさを感じさせずに食べ進めることができました。
デザートはカンノーロを選択。 映画「ゴッドファーザー」でドン・アルトベッロを毒殺する際に用いた菓子であり、シチリアで最も有名な食べ物のひとつでしょう。筒状に揚げた生地にチーズのクリームがたっぷりと詰まっており、濃厚で背徳的な美味しさが広がります。
食後にコーヒー・紅茶などが付くのですが、私は文旦のリキュールを頂きました。穏やかで上品な苦味と、突き抜けるような爽やかな柑橘の香りが凝縮されており、シチリアの伝統的なレモンチェッロに想いを馳せつつ、日本の文旦が織りなす新しい余韻を楽しみます。

以上を食べ、しっかり飲んでお会計はひとりあたり1.4万円程度。費用対効果が見事な点は当然として、やはり冒頭に記した通り「なんで茨木にこんな本格的なシチリア料理屋が?」と驚くまでがセットです。

私は2020年にシチリアを旅する予定だったのですがコロナで流れてしまい、その後も延期に延期を重ねているので、近々なんとしても訪れたいと再度決意させてくれたディナーでした。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。