ル サロン ジャック・ボリー(LE SALON JACQUES BORIE)/新宿三丁目

日本を代表するフレンチレストラン、銀座「ロオジエ」3ツ星獲得の立役者ジャック・ボリー。フランスの名だたるレストランで研鑽を重ねM.O.F(フランス国家最優秀職人章)を得、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章など彼のフランス料理に対する功績を挙げればキリがありません。
当店はその彼がプロデュースするカフェ(写真は公式ウェブサイトより)。スイーツが主力ながら食事もしっかりしたお店です。ちなみに彼は資生堂を定年退職し(ロオジエや当店は資生堂傘下なのだ)、フランスに帰国したそうな。
ランチのショートコースをオーダー。伊勢丹での買い物ついでに(トムフォードのメガネがモテると聞いたので慌てて買いに来た) フラっと訪れたのですが、予約なしでもきちんとした料理にありつけるのは嬉しい。

菊芋とクリのヴルーテで開演。ヴルーテとは出汁にルーやクリームなどでトロみをつけたスープ(またはソース)。「ビロードのようになめらかな」の語源を超越し実に重量感のある口当たりに驚き。菊芋とクリの風味も濃く、液体であるはずなのに固体を食べているかのような錯覚に陥ります。
パンがめちゃんこ美味しいですねえ。とりわけ手前のグリュイエール(チーズの一種)を用いたポップオーバーのようなものが良かったです。これは添え物というよりもひとつの料理である。
メインはカサゴ。魚そのものも大変美味しいのですが、上皮に敷き詰められたイカとクルトンが印象的。食感や旨味に変化をもたらし新たな味覚へと誘います。それぞれの構成要素はシンプルなものなのに、組み合わせると全く異なる魅力を奏でる。これが、料理だ。ソースはカニのエキスがぎっしりで、添えられたパスタも信じられないほど旨い。グランメゾンであれば1皿3,000円はカタい素晴らしい料理でした。
スイーツの盛り合わせも嬉しい。「ミルクのアイス」はシンプルながらも真似できない豊かな味わい。「パリブレスト」はシューとプラリネクリームを合わせたフランスの伝統菓子なのですが、王道中の王道といった味わいでグッド。「オペラ」もこれぞ正統派といった造りであり、芳醇なチョコレートとホロ苦いコーヒー、コニャックの香りと、ど真ん中の味わいでした。
料理やデザートの偏差値に比べるとコーヒーは実に普通でした。単品注文だと1杯1,200円ですが、その支払金額に達する品質かというと疑問。その殆どは雰囲気代なのかもしれません。
小菓子はギモーヴ(フランス風マシュマロ)にプラリンでしょうか。アーモンドの力強い味わいがリヨンでの美食の日々を思い起こさせる。
先に述べた通りコーヒー1杯1,200円、ケーキをつけると2,200円と決して安くないお店ではありますが、食事付きのコースにすると3,900円と途端にカリテプリに優れる印象。この費用対効果の良さはJPHのランチに匹敵するものがあります。接客は完璧で客層も素晴らしい。ランチの絶対額としては高いですが、その価値は充分にあるお店です。


このエントリーをはてなブックマークに追加 食べログ グルメブログランキング

関連記事
男、かつ、左党の割にスイーツも大好きです。特にチョコレートが好きですね。JPHが基準なので、スイーツの評価は厳し目かもしれません。

難解な理論をユルいトーンで柔らかく読み解く専門書。チョコレートに係る基本的な素養から、文学や映画など芸能との関係まで解かり易く解説。ぜひチョコレートを食べながらのんびりと読んでみましょう。