焼き鳥 丈参(たけさん)/人形町

十番の徳という和食屋に女子ふたり私ひとりで女子会した際、次回は彼女たちそれぞれと個別にデートし、改めて3人で集まり私のビヘイビアに対する振り返り作業を行うというエモい企画が立ち上がりました。
まず本日は菅野美穂似の彼女と。「初デートは木曜か金曜の夜がいいなあ」とのことだったので、金曜日の夜の予定を押さえる。また、彼女の好物は親子丼であり、「焼鳥屋で親子丼で〆るデートとか最高」との発言もリサーチ済み。
チョイスしたお店は人形町の丈参(たけさん)。焼鳥屋ながら食べログ4をたたき出し、銅メダルも獲得という実力派。さらには彼女の会社からも自宅へもアクセス抜群の立地。私のアレンジメントはパーフェクトである。
19:30に予約を入れたので19:21に入店したのですが、焼き台に立つ大将にギロリと睨まれる。「19:30予約ですよ?」と、あからさまに不機嫌な態度で追い出される。かなりヤマっ気のある店であることは間違い無さそうです。
雨が降っており、雨よけもなかったため、向かいのタバコ屋の庇をお借りして雨宿り。まさに失われた9分間である。入店後はすぐにビールを注文するのですが、徹頭徹尾無愛想な対応で、ああ、私はこういうお店は向いてない。せっかくの初デートなのに。しゅん。

ちなみに生ビールは800円近くする割にサーバのメンテナンスが上手くいっておらず、全然美味しくありません。この次は中ビンで飲むことにしました。
お通しのもろきゅう的野菜スティック。居酒屋で供される一般的なそれと同等です。
ささみ。ひと塊がピンポン玉サイズであり食べ応え抜群。しかし念入りに火を入れる芸風であり、生肉原理主義の私からすると少々物足りない。
●●●●。何か部位の説明をしながら串を置いて行くのですが、あまり上手く聞き取れません。鶏の皮が凝縮したような食べ応えであり、脂がジューシイで美味しいです。
せぎも(腎臓)。レバーの濃度を高めてジャリジャリ感を強めたような舌触り。濃厚な旨味が広がり赤ワインが欲しくなる。
口直しの大根おろし。卵黄がフレッシュであり、これ単体でおつまみとして成立します。
丸ハツでしょうか?心臓の内膜を裏返し、円錐形を保ったまま焼いたハツ。ソーセージのようなジューシーさがあり、ハツよりも柔らかく脂が乗っているように感じました。
ユリの花のツボミ。栄養価が高くビタミンが豊富であり、漢方の生薬で使われるそうな。ただ、味そのものに感激は無く、オクラのほうが私は好きです。
●●●●。聞き取れませんでした。大将がおっかないので、とても聞き返せる雰囲気でもありません。確かナンコツのようにコリコリと歯ごたえしっかり系だった気がします。やはり食事は情報と共に分析的に食べる方が美味しいのだと得心。
●●●●。やはり私はリスニングが苦手なようです。骨やホルモンというよりも精肉寄りの部位のような気がします。水分を含みつつ、モチッ、プリっと中々のお味。
さえずり(食道)。弾力のある食感が特長的。脂も強くコッテリ。これは酒が欲しくなる。
ビンビールを切り上げ日本酒へ。菅野美穂は私より一足先に日本酒に突入しており軽くイケメンです。日本酒はグラス(5勺ぐらい?)で800円前後であり、ビールに比べると割安かもしれません。
油揚げにチーズを詰めて焼いたもの。美味しいですが、家庭料理の延長線上のアリアであり、わざわざ予約の取れない焼鳥屋で食べる必要は無かった。
ふりそで(手羽の付け根)。手羽元と胸肉の間の部位であり、胸肉のように弾力がありサッパリとしつつ、脂も身に纏っており旨かったです。

ここで串の提供がパタっと止まりました。もしや10本コースは以上なのか?何か案内ぐらいしてくれてもいいのに。
恐る恐るちょうちんを追加。ちょうちんとは殻と白身に覆われる前の卵黄。一口で丸ごとくわえ込むと黄身が弾け旨味が広がります。きんかん(黄身)は若干生臭く感じました。
満を持して親子丼を追加注文。本日の主題です。数口頂きましたが、なるほど鶏のプロだけあって上々の仕上がり。
私は東京鶏飯を注文。白湯スープのおじやのような味わいで、ゼラチンが口腔に張り付きリッチな味覚。本日一番のお皿でした。

ひととおり食べて数杯飲んでひとりあたり7,000円。まあ、こんなもんでしょう。店主が非社交的であることを除いては、特に目立った点のない、普通の焼鳥屋でした。なんでこんなに評価が高いんだろう。

それにしても、この無愛想さ加減は何とかならんもんか。客に媚びろとまでは言いませんが、ゲストに恐怖感を与える態度というのは些かやりすぎのような気がします。せめて牛丼屋やファミレスぐらいの普通の対応、普通の表情でいてほしい。ビビりながら食べる料理ほど味気ないものはない。

「ちょっと、アレですね。次にいきましょ」言うが早いか、彼女は私の腕を取りお店の外へと追い立てる。並んで立つと、思った以上に背が高い。「エヘヘ、あたしって実は、165センチあるんですよ。ちょうど良いでしょ?」ちょうどって、何が?彼女は私の質問に答えることはなく、雨上がりの人形町でスキップで駆けて行く。


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