店内に充満するむせ返るようなスパイスの香り。色んな料理をチョコチョコ出すような軟派な店ではなく、火鍋1本で勝負するという男気溢れる芸風です。
火鍋で同じでおなじみ、2種のスープ。左は白湯、右は辛いスープです。白湯とは鶏ガラを中心に各種スパイスやハーブを加えながら出汁をとったスープ。「白湯」という字そのものに「スープ」という意味が含まれているため、「白湯スープ」という表現は厳密にはNGだそうな。シティバンク銀行な感じです。
前置きはさておき、この白湯スープが実に旨い。鶏のポタージュよろしく滋味に溢れ風味に奥行きがあります。そこらの鶏系ラーメン屋のスープなど足元にも及ばないほどのクオリティであり、具材を食べる前にスープだけでお椀3杯近く飲んでしまいました。
他方、辛いスープは見た目の通り大迫半端ない辛さであり、どちらかと言えば辛い食べ物が苦手な私にとって、味覚を吟味することは叶わず。白湯にチョイチョイたらして味変を楽しむといった用途です。
ハートランド生が580円と、この地域にしてはリーズナブル。ツマミも辛いことだし今夜はいっぱい飲んでやろうと目論んでいたのですが、あまりの辛さにアルコールを摂取することすら厳しくなり、火鍋のお供としてはひたすら水ばっか飲んでました。こんなに辛い思いをするのはバンコクのナーン以来である。
お通しは茹でピーナッツ。素朴でマイルド。
さて今回は5,500円のコースを注文。もうひとつの7,500円のコースは前菜がいくつかと、具材がもう少し高級なものになるとのことでした。
まずはレバーなどの内蔵たち。これそのものを味わうというよりは、最初にスープにぶち込んで出汁を取るという意味あいが強い。味は一般的なホルモン料理屋のそれと同等です。
魚介はエビ、ホタテ、真ダラ、イカ。これらも出汁を取るのが主目的なのですが、いずれも立派な個体であり、それぞれの素材がきちんと美味しかったです。
肉は鶏肉・豚肉・牛ロース。いずれも一般的な水炊きやしゃぶしゃぶ店のそれと同等ですが、当店はとにかくスープが抜群に旨いので、どのような素材を投入したとしても、どれもが素晴らしい料理となるのです。スープは追加でジャンジャン注ぎ足ししてくれるのも気前が良くてグッド。
野菜やキノコたち。エノキや春雨などはスープをたっぷり含むため、まことに美味しい。序盤にスープを飲みすぎたためか、大した量は食べてないのにこの時点で既に満腹。
こちらは白身魚のお団子です。スープの味に頼ることなく、下味がしっかりとついており、前向きなツミレです。
〆の中華麺。食べ方はもちろん自由なのですが、「辛いスープで一旦煮込み、下味をつけてから白湯で食べるのがオススメ」とのこと。
人の勧めには従うタイプ。まずは麺を辛いスープに投入し、なんて素敵な地獄絵図。
手元の器に白湯を注ぎ、先の麺をくぐらせます。ウヒョー!辛い!旨い!なんて危ない開放感!大した量は食べていないのですが、あまりの辛さに満腹中枢がイカれてしまい、もうこれ以上は食べれません級に腹くちくなりました。
デザートには自家製の杏仁豆腐。舌がザラつくほど重傷な甘さなのですが、今夜に限ってはこれぐらいがちょうど良い。手負いの舌のリハビリに最適。
食後は冷たいプーアル茶で心を休め、ごちそうさまでした。
いやあ、旨かった。大満足。しかもお会計はひとり1万円を余裕で切ります。ノリとしては天香回味に似ているのですが、より暴力的で激しく感じました。十番近辺における5月度MVP。これからの暑い夏に向かって最適なレストラン。ハコは小さいのでご予約はお早めに。
関連記事
当店の近所の中華料理店は下記の通り。どの店も圧倒的にランチがお得です。十番で中華は昼がオススメです。
- 火鍋 三田 ←なんて素敵な地獄絵図。暑い夏に最適なレストラン。
- ナポレオンフィッシュ ←中国の少数民族料理。今までに無い調味料の使い方!当店に限っては夜も良いです。
- 飄香 ←夜は高級店ですがランチは驚くほどリーズナブル!
- 永新 ←単品モノは高いですが、スープの旨さに悶絶!
- 登龍 ←ギョーザが1人前2,000円という地獄。
- 御膳房 ←ここもランチ。ランチコースもありますが、一番安いセットメニューで充分。
- 萬力屋 ←チェーン店ですが結構おいしくリーズナブル。
- 富麗華 ←中国飯店グループの旗艦店。ですが、高いだけです。
- 紫玉蘭 ←富麗華のセカンドライン。ランチは800円~と一気にお得に。
- 麻布十番グルメまとめ ←ほぼ毎日、麻布十番で外食しています。その経験をオススメ店と共に大公開!