夜にお邪魔するのは些か気が引けるので、健康的な真昼間に訪れました。お目当てのテラスソファ席を陣取り、鷹揚に背もたれに寄りかかると、通行人からジロジロと視線を感じチョッパズです。
私はビール、連れはスパークリングワインを注文。これが失敗。サーバーの洗浄が上手くいっていないのか、私が知っているハイネケンの風味からは程遠く、苦味とエグ味が強烈に伝わってきます。
前菜盛り合わせはカプレーゼにハマチのカルパッチョ、カポナータとの説明。私の中でカポナータの定義とは「揚げナスの甘酢煮」なのですが、当店のそれはナスが少なく揚げてもいないように感じ、その基準に達していません。いずれにせよ、ホームパーティレベルの味覚です。
パンはスーパーで売られているそれと同等です。
ニンジンのスープ。恐らく既製品の温め直しでしょう、昨日の新聞のように新鮮味の無い味わいであり、連れと共に眉をひそめる。
ズワイ蟹と水菜のスパゲッティーニ。この皿は恐ろしく不味い。アメリカのファミレスで食べるダレた茹で加減のパスタに生臭いズワイ蟹がグジャグジャと混ぜ込まれ、乾燥で水分を失った水菜が豆まきのようにバラ撒かれています。
決して混雑しているわけではなく調理に集中できたはずなのにこの結果には納得がいかない。連れも「辞書で『失敗作』って調べてみなよ、きっとこのパスタの写真が載っているわ」と手厳しい。
ビールには見切りをつけ白ワインをグラスで注文。覚悟していた通り平板な味わいであり美味しくない。
「本日の鮮魚にはアワビが入った」とのことだったので2つ返事で注文すると、想像だにしていなかった複雑怪奇な皿が到着しました。
これを「本日の鮮魚」と言い張るには無理がある。それにしてもアワビの小ささと言ったらない。連れは一口賞味すると、子供の前ではとても口にできないような言葉を呟いた。付け合せ(?)の大根も悪性の腫瘍のように芯が硬く、どのような意図を持って調理に臨んだのかを小一時間問い詰めたい。
食後のコーヒーもある意味期待通りの味わいでした。いやはや外観から予見はしていたものの、やはり麻布十番商店街が生み出した、とんだ鬼子といったところでしょう。営業時間は長く明け方までオープンしているようなので、深夜にカフェ代わりに使うのが唯一の残された道なのかもしれません。
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