Ecrit'Vin/Beaune


ガイドさんにボーヌでブルゴーニュ郷土料理がウリのお店はどこかと訊ねると、即答で返ってきたのが当店。
ウナギの寝床のように奥に長いレストランですが、中二階にはこんな素敵な空間もあります。
さっき山程試飲したし、午後も試飲が待っているので、酒は軽くすまそうと思ったのですが、ワインリストしか渡されなかったので、きっとそういうことなのでしょう。

中々に熟成しており酸味は控えめで黒果実寄りで結構好み。度数が12%と低めで観光中にも優しく、何より5,000円前後で飲めてしまうのが嬉しいです。
エスカルゴ。アメリカのクルーズ船でゲロマズだったのがトラウマで、それ以来避け続けていたのですが、本場では食べねばなるまい。

このような器具で食べるのは初めて。そして驚くほど美味しい。苦くないクリアなサザエのような味わいで、旨味がたっぷり詰まっている。そうだよなあ、やっぱエスカルゴはこうでなくっちゃ。
パンは標準的なもの。しかしエスカルゴに付随するガーリックバターとパセリがたっぷり溶け込んだオリーブオイルに浸して食べればそれだけで立派なごちそうです。
妻が注文したチキン。農家製の鶏肉にエポワスのクリームがひたひたと注がれています。味見で一口頂くと、透き通るようなタンパク質の鶏肉。エポワスソースは思ったほどエポワスの臭みがなく、ウォッシュ好きの私にはやや物足りませんが、それでも隠し味としては秀逸であり、とろりとしたクリームの味わいに拍手喝采。
私はブッフ・ブルギニョン。ブルゴーニュの代表的な料理、すなわち牛肉の赤ワイン煮込みです。

何の野菜かはわからないほどトロトロにまで煮こまれた野菜に牛肉。脂質もちょうどよく、ホロホロと崩れる肉にたっぷりのソースを含ませて噛みほぐす。余韻がまだまだ残るそのときに赤ワインを含むと口腔内で新たなソースが創られ天上の美味。

付け合せのポテトグラタン(?)もチーズとクリームがたっぷりであり、それだけで見事な逸品でした。
チーズは白カビのシテ(?初耳)にエポワス。前者はクセが無く工場製ブリのような味わいです。エポワスは悪くはありませんが、もっと熟成が進んでトロトロになったやつのほうが好きだなあ。
妻のデザートは洋梨の赤ワイン煮込み。ワインそのものを食べているようで、赤ワインとここまでマッチするデザートも珍しい。カシスのアイスクリームも心憎い存在です。
私はジンジャーブレッドのミルフィーユにカシスのクリーム。アイスは当然にカシスです。ピリっとした生姜の風味とカシスのどす黒い味わいが妙に合う。

これでもかという程の郷土料理の連続で大満足。店内は腹を空かせた客で常に満員。2回転するほどの人気店です。サービスも皿出しのテンポも良い。何より安い。これだけ飲み食いしてひとり5,000円を切ってくる。

東京フレンチのトップクラスはフランスのそれに充分比肩しますが、ボトムのレベルはまだまだ敵わないなあと溜息が出たランチでした。



Instagram


「チーズをめぐる冒険」目次


関連記事
旅行が好きです。油断するとすぐに旅に出ます。楽しかった大型旅行の先頭記事をまとめました。リンクに飛んでから、順々に次のページをめくって頂ければ幸いです。


関連ランキング:フレンチ | ブルゴーニュ地方