元々店主は日本のインド料理の草分け麹町「アジャンタ」で修行されたそうな。「アジャンタ」はウィキペディアでまとめられるほどの有名店。沼袋の実績もあることですし、期待たっぷりでの入店です。営業は水木金のランチのみのはぐれメタル感も食道楽の感情を煽るものがあります。
カレーは2種盛か3種盛の2択。当然に3種盛にしたのですが、12:30頃に売り切れが発生し、後から来たお客さんは義務的に2種盛になっていたので、宗教上3種盛しか受け付けない人は早めに訪れましょう。
カレーに自動的に付与されるサラダ。味も量も普通のランチセットのそれでした。
+500円で「チキンピクルス&海苔ピクルス」を注文。これは新しい。まさに和魂印才で日本カレー界の未来を見たような気がします。
チキンピクルスはその名の通り鶏肉の酢漬けであり、複雑なスパイスを身に纏った肉が程よい酸味を湛えて夏の一口目に最適。ピンクペッパーの爽快感なんてもう最高。本日一番のお皿です。
海苔ピクルスはどういう仕組みなのか理解不能。海苔の佃煮がピクルス状態?人生初の調理法にただただ戸惑うばかりですが、海苔の旨味と酢の爽やかさが手を取り合って絶妙のバランスを見せてくれました。
本日のカレー3種盛が到着。着席後かなり待ってからの提供です。どれだけ混雑していたとしても、全体的にのんびりとした雰囲気のお店なので、せっかちな人は後の予定が金輪際存在しない時に訪れたほうが良さそうです。
鶏ひき肉とナンコツのキーマカレー。想像していたよりもシンプルで真っ直ぐな味わいです。ナンコツのコリコリ感は興味を惹くものの、カレー全体としての味わいは中くらいです。
ひじきと干し椎茸のトマトカレー。これは私は好きじゃありません。トマトの酸味がとにかく強く、一般的な日本人が想像するカレーとはかけ離れた料理です。ひじきもトマトに全然合わない。ギュンギュンと迫ってくる酸味の中にモソモソと磯の香りを湛えたひじきが紛れ込んでいるのは合わせ鏡のように不気味に感じました。
鶏肉の山椒ココナッツカレー。こっちは好き。複雑なスパイスが奥深い味わいを織り成し、ココナッツの優しさが全体を上手に取りまとめ、山椒の使い方も正鵠を射ています。
ライスは雑穀米。悪くはないのですが、なぜ雑穀米にしているのか意図は掴めず。いわゆるインド料理屋で出てくる長細い米のほうがエスニックで私は好きです。
付け合せのピクルスを炒めたものはクミンシードの扱いが印象的。他方、大根と人参と厚揚げのスパイス煮は平板な味わいで印象に残らず。長芋の甘酢スパイス漬けは長芋の食感とスパイスの手ごたえが効いて酒が欲しくなりました。
以上で2,100円でした。うーん、高い。1,180円ぐらいが妥当な気がします。「アジャンタ出身」「沼袋の伝説店が復活」「営業は水木金のランチのみ」などのグルマンをそそる情報に踊らされたかもしれません。
ただ、ピクルスや付け合せには光るものを見出すことができましたし、店名の通りのタンドール料理は未体験ですので、いずれ再開されるであろう夜の部においてそれらの料理をツマミに酒を楽しむと、また違う楽しさがあるような気がします。次回は夜に。
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- ラ・ファソン古賀/代々木上原 ←予約必須。欧風カレーの最高峰。
- ミシュラン星付きレストランを200軒食べ歩いた私が成城石井でいつも買うもの ←お惣菜カレーではトップクラス。
- ケンゾーエステイトワイナリー /六本木 ←野菜が溶け込み甘さを感じる一方で、きちんとスパイスが立っている本格派。
- 香妃園/六本木 ←六本木で遊ぶのに知らないのはモグり。
- ルソイ/目黒 ←インドやスリランカまでスパイスを買い付けに行くカレーマニアが太鼓判。
- 東洋軒/赤坂見附 ←和牛の脂のコクが凝縮され、果物の甘味で包み込み、スパイスでキリリと〆るブラックカレー。
- 印度料理シタール/検見川 ←千葉の僻地で大行列の超有名カレー屋。
- ウルトラチョップ/麻布十番 ←ごはんで食べないカレー。おかわりするレベル。
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和魂印才たんどーる