好きな料理のジャンルは?と聞かれると、私は即答で「フランス料理」なのですが、私の妻は「和食」。したがって、彼女に対してお祝いや感謝の気持ちを示す際には、必ず日本の料理を選ぶこととしています。
ここ数年では表参道の太月、代官山のTAKEMOTO、恵比寿くろいわ、神楽坂の石かわ等にお邪魔し、今回は麻布十番の幸村にチャレンジ。幸村は泣く子も黙るミシュラン三ツ星。食べログ4.36で堂々の全国TOP50入りです。
シェフは東京出身で成人してから京都へ修行に出たそうで、その間に流暢な関西弁を身につけたらしいです。地方出身者が標準語を話すようになるのはよくあることですが、その逆バージョン、すなわち大人になってから方言をマスターするという話はあまり聞かないので、そのスポンジのような吸収力に興味津々。
当然に出す料理は東京和食ではなく京料理。私は京料理についてそれほど詳しくはないので、妻の誕生日祝いながら私にとっても素晴らしい体験だと期待で胸が膨らみます。
さて予約の電話。やや棘のある口調の女性が電話口に出てちょっとドキドキ。まずここは標準語でした。言わずもがなの人気店なので、9月~10月の空いている日ならどこでもOKと告げ、いくつか候補日を挙げてもらいました。
首尾よく日時をアレンジすることができ、食事の目的と名前、携帯電話番号をお伝えし、よし一仕事終えたぞありがとうございました!と電話を切ろうとしたそのとき、「固定電話番号もお伝え頂けますか?」との声が電話の向こう側から聞こえてきました。
「へ?」と間抜けな返答しかできないまま数秒が経つと、彼女はしびれを切らしたようで、「予約時には携帯の他、固定電話もお聞きすることにしております」との説明。
固定電話?固定電話ってオワコンじゃなかったっけ?黒くてジーゴロ回すやつだよね?私はここ数年固定電話に触れることはもちろん見ることも殆ど無い。だいたい友人とのやりとりもLINEの電話を使いますもんねえ。困った、固定電話か。飲み会の途中にいきなりアンティーク家具を探し出して来いと言われたようで途方に暮れます。
ううーむ、家に固定電話とか全然無いんですが、と、しどろもどろになりながらの受け答え。妻のケータイ番号じゃダメですかね?とこちらから提案すると「固定電話じゃないとダメなんです」と毅然とした態度です。
ちょ、ちょっと待って下さい、私の固定電話の番号を知ると、何かこう、すごく良いこととかがあるんですか?と質問すると、「そういう仕組みですので」の一点張り。私の質問には答えるつもりは無さそうです。固定電話も引けない人間は客に非ず。
何か良い方法は無いか、と、粘りに粘るのですが、彼女の声色から「めんどくせー、やれやれだぜ、はやくきりてー」という姿勢が明らかに滲み出始めたので、そろそろ潮時かと諦め、肩を落としながら電話を切りました。
まさか21世紀にして私の人生が固定電話の有無で足をすくわれるとは。人生で一番「固定電話」という単語を発した1日でした。
と、いうわけで、私が能動的に当店にお邪魔する機会は無くなりました。誰か電話線すら引けない可哀相な私に愛の手を差し伸べ、ご予約の上でお連れ頂ければ幸いです。
ところで、意外だったのは予約が全然埋まっていなかった点。数ヶ月待ちの人気店だと勝手に信じ込んでいたのですが、割と候補日がポンポン出てきたので、それほど予約困難店というわけではなさそうです。
また、諦めきれずにネット上を徘徊し(「幸村 固定電話」で検索w)、口コミなどの熟読を進めていたのですが、店主は客の前で弟子たちに暴言いて熱血指導するなど、結構デンジャラス系のお店のようです。
レストラン評論家の友里さんのエピソードが一番面白い。「生まれも育ちも東京の人間が東京で関西弁を使うのは不自然だ」と問題提起をし続けていると、いつの間にやら標準語で話すようになったようです。同僚や常連の方はびっくりしただろうなあ。リアクションに困りますよね親しい人の口調が突然切り替わったりすると。
全然関係ないですが、「上司が唐突にカツラを止めてハゲ丸出しになって周囲が言葉を失った」という知り合いから聞いた笑い話を思い出しました。
首尾よく日時をアレンジすることができ、食事の目的と名前、携帯電話番号をお伝えし、よし一仕事終えたぞありがとうございました!と電話を切ろうとしたそのとき、「固定電話番号もお伝え頂けますか?」との声が電話の向こう側から聞こえてきました。
「へ?」と間抜けな返答しかできないまま数秒が経つと、彼女はしびれを切らしたようで、「予約時には携帯の他、固定電話もお聞きすることにしております」との説明。
固定電話?固定電話ってオワコンじゃなかったっけ?黒くてジーゴロ回すやつだよね?私はここ数年固定電話に触れることはもちろん見ることも殆ど無い。だいたい友人とのやりとりもLINEの電話を使いますもんねえ。困った、固定電話か。飲み会の途中にいきなりアンティーク家具を探し出して来いと言われたようで途方に暮れます。
ううーむ、家に固定電話とか全然無いんですが、と、しどろもどろになりながらの受け答え。妻のケータイ番号じゃダメですかね?とこちらから提案すると「固定電話じゃないとダメなんです」と毅然とした態度です。
ちょ、ちょっと待って下さい、私の固定電話の番号を知ると、何かこう、すごく良いこととかがあるんですか?と質問すると、「そういう仕組みですので」の一点張り。私の質問には答えるつもりは無さそうです。固定電話も引けない人間は客に非ず。
何か良い方法は無いか、と、粘りに粘るのですが、彼女の声色から「めんどくせー、やれやれだぜ、はやくきりてー」という姿勢が明らかに滲み出始めたので、そろそろ潮時かと諦め、肩を落としながら電話を切りました。
まさか21世紀にして私の人生が固定電話の有無で足をすくわれるとは。人生で一番「固定電話」という単語を発した1日でした。
と、いうわけで、私が能動的に当店にお邪魔する機会は無くなりました。誰か電話線すら引けない可哀相な私に愛の手を差し伸べ、ご予約の上でお連れ頂ければ幸いです。
ところで、意外だったのは予約が全然埋まっていなかった点。数ヶ月待ちの人気店だと勝手に信じ込んでいたのですが、割と候補日がポンポン出てきたので、それほど予約困難店というわけではなさそうです。
また、諦めきれずにネット上を徘徊し(「幸村 固定電話」で検索w)、口コミなどの熟読を進めていたのですが、店主は客の前で弟子たちに暴言いて熱血指導するなど、結構デンジャラス系のお店のようです。
レストラン評論家の友里さんのエピソードが一番面白い。「生まれも育ちも東京の人間が東京で関西弁を使うのは不自然だ」と問題提起をし続けていると、いつの間にやら標準語で話すようになったようです。同僚や常連の方はびっくりしただろうなあ。リアクションに困りますよね親しい人の口調が突然切り替わったりすると。
全然関係ないですが、「上司が唐突にカツラを止めてハゲ丸出しになって周囲が言葉を失った」という知り合いから聞いた笑い話を思い出しました。
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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- くろぎ/湯島 ←吉野川の天然鰻に悶絶。ただちょっと割高かも。
- 温味/すすきの ←旨い!多い!安い!完全無欠の三ツ星和食店。
- 龍吟/六本木 ←モダンスパニッシュとさえ感じる前衛的な和食。外人にオススメ。
- えさき/青山 ←こちらも創作気味。ミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 季節料理なかしま/白島(広島) ←同じくミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 歓盃 人形町田酔はなれ/人形町 ←飲んで食べて1.5万円。このあたりが分水嶺。
- 日本料理TAKEMOTO/代官山 ←2万円を切ってくる。私にはこれぐらいがちょうど良いです。