蓮香居(Lin Heung Kui)/上環


サンデーブランチに飲茶。午前9時に蓮香居(Lin Heung Kui)へ。
蓮香樓という、19世紀後半に中国広東省で創業した超老舗の姉妹店です。と言っても、蓮香樓の親族が勝手に独立して当店をオープンし、色々と争いがあったものの、なんとか事後承諾という形で名実共に姉妹店となった作戦勝ちの飲茶店。
エレベーターで2階に上がり、フロアに立ったその瞬間にソムリエールふたりが絶句。そう、当店は地元民が普段使いする人気店であり、観光客などお呼びで無いのです。「こ、この光景がアタシの日常になることは、今後絶対にないわ」と、私の店選びのセンスは抜群である。
店員が席を案内してくれるはずもなく、空いていそうな席を見つけて勝手に座ります。先客の食べ散らかしが卓上に残っているのですが、店員を捕まえて身振り手振りで片付けて欲しい旨を伝えると、面倒臭そうに、だがしかしテキパキとセッティングを整えてくれます。
お茶はプーアルを注文。基本的に不潔なので、食べる前に食器をアツアツのお茶やお湯で自ら洗浄消毒します。フタの欠けっぷりがファイナルファイトまっしぐら。
 おばちゃんが広東語を叫びながら、担当のワゴンを押しながら店内を練り歩く。
ピンときたワゴンがあれば呼び止めて、フタをあけてもらい、飲茶の内容を確認します。英語が通じるはずもなく、我々のノンバーバルなコミュ力が試されるところである。
座ってばかりでは良い料理に巡り合うことはありません。食べたいものがあるのであれば、どれだけ遠くにおばちゃんがいようとも、こちらから足を運んで取りに行く必要があります。できたての人気料理を詰め込んだワゴンを押す店員に殺到する腹を空かせた客人たち。ワゴンを押すおばちゃんの気分はハリウッドスター。ちなみに3階席もあるのですが、ワゴンは2階→3階という順番で廻るので、3階席では残り物にしか有りつく事ができないのでご注意を。
エビ蒸し餃子。鮮度の良いプリプリのエビがギュウギュウに詰め込まれた逸品。エビ好きとして、こればっかりは2セット食べてしまいました。
シュウマイ。日本ではまず味わうことのないスパイス使いが気味好い。大口を開け、一口で噛み締めると肉汁が溢れ出る。
さつま揚げおような、魚肉のすり身のような球体。タレが独特の味わいで、程よい辛味が憂鬱を追放する。ああ、香港に来て良かった。
まだまだデザートのタイミングでは無かったのですが、目の前で飛ぶようにエッグタルトが売れていくので、この機会を逸すれば2度と巡りあえないと、慌てて3つをひったくりました。しかしコチラはハズレ。タネは悪くないのですが、生地の油の質が酸化しており食えたもんじゃありませんでした。
「何これトトロ!?」と、中身を確認しないまま葉に包まれた巨大な物体を手に入れる。
答えは巨大なチマキでした。柔らかくモッタリと炊かれたアツアツのもち米を切り拓くと、大量の挽肉とみじん切りの野菜たち。甘辛いトロットロのタレが流れ出してくる絶妙のシズル感。本日一番のお皿です。
ハンドボールほどの大きさの肉まん(?)。豚肉だけでなく、海の幸と山の幸がテンコもりで、おもちゃ箱をひっくり返したかのような一品。乱暴で、猥雑で、最高に美味。
〆は大根餅。大根の優しい味わいに干しエビの出汁が強烈に浸み込んでおり、エビを食べているかのような錯覚に陥りました。

最高ですこのお店。一般的な日本人が思い描く香港がここにある。さらに嬉しいことに、好きなものを好きなだけ食べているのにも関わらず、ひとりあたり1,000円と少しという驚異の費用対効果。香港に来るたびに必ず訪れたい名店です。オススメ!

今回の香港旅行を時系列にまとめました。下から上に向かってます。

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