国際電話料金が気になるところですが、便利な世の中になりました。今回は「LINE Out」という、LINEアプリの中にある機能を使用。1分あたり数円という信じられない程の低コストで国際電話をかけることができました。IT革命マンセー!
湾仔という、香港島中心部の商業および官庁街に当店は位置します。大きなビルの2F、すなわち香港(英国)風に言うと1Fにあり、ロビーからエレベーターでひとつ昇る。
エレベーターの扉が開くと唐突に広かるギンギラギンの空間。レセプションなどはなく、ヒマそうな店員を捕まえて予約名を告げる。
テーブルセットはダサくて高級感はなし。ミシュラン一ツ星ながら店員同士がくっちゃべっているほどリラックスした雰囲気なので、こちらも気兼ねなくノンビリさせて頂きます。他の客層も半ズボンにTシャツだらけ。我々がダントツできちんとしています。
お通しはタクアンみたいなもの。特に印象に残らずあってもなくても良いバランのような存在です。
店員が最上級のドヤ顔で座布団のような塊を運んでくる。富貴鶏(コジキ鶏)の登場です。「杭州酒家でコレ食べないのはモグり」と、つい最近まで香港に住んでいた友人に(美女)に熱弁され、テーブル予約後に改めて電話で予約した当日注文はNGの鶏肉です。
しかし予約の際、何と注文すれば良いのかわからず、ベリーベリービッグチキン!リーフラッピング!とだけ言ってみたのですが、電話口の向こう側から「オッケー!チキンチキン!ベリービッグ!」と返ってきたので、意図は伝わったのでしょう。非ネイティブ同士の英会話って、絶対に外してはならない最重要単語のみを発するので、逆に理解し合い易いです。
さてコジキ鶏、すなわち蒸鶏の香味野菜詰めです。昔々、乞食が鶏肉をかっぱらって、バレないように泥に包んで隠して焼いたら意外と旨かった、が由来だそうな。蓮の葉を開くと紹興酒と脂の香りが解き放たれる。
何とも安らかな御尊顔。「ああ、また命を頂くことになるのね」と、飲食業のふたりは素人の私とは違った感性を持ち出します。箸とスプーンで取り分けると、まるで圧力鍋で調理したかのようにホロホロと身が崩れていく。
八角を中心とした複雑なスパイスが主体。塩味などの直接的な味付けはなされておらず、鶏そのものの味を楽しむ。全体的に控えめで奥ゆかしい味わいであるため、シンコペーション原理主義としては若干物足りない。それでも圧倒的なプレゼンテーションと見た目の通りのボリュームには満足せざるを得ません。
こちらもスペシャリテの東坡肉(トンポーロー)。日本で言うところの角煮ですね。味付けは醤油と砂糖、紹興酒が殆どか。ごくごくシンプルな味付けです。
見た目の通り間違いなく美味しいのですが、立派な脂身を蓄えた豚バラ肉ということもあり、2切れを胃袋に収めるとウっとなってしまいました。
さてお待ちかね、当初の目的である招牌蟹粉拌麺(蟹味噌あんかけ麺)です。1杯3,000円もする高級麺なのですが、「3人で1杯では足りない」との助言を受け、一挙に2杯注文という大人買い。
まず、ビジュアルにやられます。これを見て唾液が出ない人は貧相な食生活を送ってきたに違いない。周囲5メートルにプンプンに漂う蟹味噌の香り。あんをほんの1滴口に含むだけで心が世界に雄飛する。脊髄反射で美味しいです。
ただ、麺は伝統的な杭州の製法で造られたものらしいのですが、茹で加減がグズグズで特に美味しくありませんでした。中国人はあまりコシという概念を重要視していないような気がします。そういう意味で、この料理の主人公は蟹味噌あんであり、であれば卵チャーハンにこの餡をかけて食べるのもまた天国だろうなと妄想が膨らむ。
総合的には満足なのですが、3人での入店だったので、注文できる品数に限界があったのが悔やまれます。やはり中華は大勢で大はしゃぎしながらバクバク食べる料理なのかもしれません。
コジキ鶏の完食はさすがに難しいかと頭を抱えた私の隣で、「タケマシュランはもっとイケマシュラン!キャハハ☆」と騒ぐふたりがどこまでも
今回の香港旅行を時系列にまとめました。下から上に向かってます。
- 香港vol.3~初ロブションは二十歳の女たち~
- 鏞記酒家(Yung Kee Restaurant)/中環
- 沛公甜品(Dessert Playground)/尖沙咀
- 香港迪士尼樂園(香港ディズニーランド)/迪士尼駅
- 蓮香居(Lin Heung Kui)/上環
- 香港vol.2~ジゴロが集まる熱帯夜は微笑みひとつも誤解のタネ~
- Azure Restaurant Slash Bar/蘭桂坊
- 杭州酒家(Hong Zhou Restaurant)/湾仔
- Hotel LBP(西關酒店)/上環
- 香港vol.1~成田第3ターミナルという秘境~
関連記事
旅行が好きです。油断するとすぐに旅に出ます。楽しかった大型旅行の先頭記事をまとめました。リンクに飛んでから、順々に次のページをめくって頂ければ幸いです。
- 香港vol.1~成田第3ターミナルという秘境~ ←美人ソムリエールふたりとの珍道中
- 北米西海岸 vol.1~ホンクーバー~ ←ナパの葡萄畑で眠るワイン旅行
- スイス vol.1~氷点下キャンプファイヤー~ ←スイス航空様ご招待のタダ旅行
- パラオ ダイビング クルーズ vol.1~デルタのビジネスクラスwww~ ←ヒルズ族がクルーザーをM&Aした話
- ワインをめぐる冒険 vol.1~ギャラリーラファイエット~ ←ボルドー・シャンパーニュでワインに溺れる旅
- 小笠原諸島 vol.1~おがさわら丸~ ←船でしか行けない東京都でイルカと暮らす
- 屋久島 vol.1 ←縄文杉?ハァ?
- 飛騨高山・白川郷そしてSKE48 vol.1 ←白川郷は中国人だらけな旅
- イビサとバスク/vol.1 ←パーリーピーポーと美食家の共存
- カリブ海クルーズ vol.1~プレミアムエコノミー~ ←カリブ海の島々を船で巡る
- アマンジオ/ジョグジャカルタ vol.1 ←「アマンジャンキー」発生!
- ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ/洞爺湖 vol.1 ←日本でも本気の美食旅。
- 最も効率よくダイブマスターになる vol.01 ←年間10回は沖縄へ行きます。
- 北欧クルーズvol.01~ロンドン~ ←北欧を船で巡り最先端の美食に舌鼓。
- 地中海・エーゲ海クルーズvol.01 ←2週間かけて地中海のイケてる都市を巡る。
- BIER REISE'09 vol.01 ←ドイツ中欧ビール紀行。
- カリフォルニア vol.01 ←西海岸と思いきやメキシコまで足を伸ばしちゃうもんね。
- ハワイ vol.1 ←ハワイで生まれ育った人とハワイを旅する記憶。
関連ランキング:中華料理 | 湾仔 ワンチャイ