仲見世通りを真っ直ぐに進むと突如現れる
ビニールシートに覆われたおでん屋。お隣が練り物を売るお店で、当店でイートインさせてくれるのです。
練り物屋のイートインスペースと侮るなかれ、かなりの料理数と酒の種類を誇り目移りします。刺身のような生ものが結構あるのがすげえなあ。
まずは生ビール。当店の生ビールはプレミアム熟撰と気合が入っています。600円という価格も立石にしては思い切った値付け。しかしグラスの薄さ注ぎ方など、西麻布あたりのバーのそれと大差なく、当店の飲食店としてのレベルは立石では頭ひとつ抜けていることを確信。
お通しはおでん出汁で丁寧に煮込まれた貝類。程よい歯ごたえの良さがビールを後押しする。
お次は白ワイン。3種から選ばせてくれたので、オーストラリアのシャルドネを。猥雑な下町のおでん屋でワインを楽しむのもまた一興。
「かまぼこ店」の名の通り、おでんが当店の主戦場でありお手の物。
ギョーザ巻という見慣れないタネを注文すると、本当にギョーザをさつま揚げでくるりんちょしたような味わいで笑ってしまう。なんでもアリだなあ。
今川焼きのような大きさのシイタケ。旨味が若干抜けておりシイタケの風味に乏しいのですが、歯ごたえの良さを楽しみながらおでん出汁を口に含めば立石の幸せはここにあり。
琥珀の時間も600円。六本木あたりの気取ったバーであれば平気で1,000円を超えてくるので大変お買い得。ただし、おでんには全く合いませんでしたワハハ。
「あちらのお客様からです」と、熱燗が2合、我々の目の前に置かれる。なんと、対面のカウンターに座ってた3人組が我々にご馳走してくれるとのこと。こんなことって、ほんとにあるんだ。超嬉しい。人を幸せにするボランティア活動というのは途上国で井戸を掘るだけでなく、このような形もあるのですね。それにしても、私の飲み屋街で他人からおごってもらえる才能には目を見張るものがあります。
連れが「ああ、もうおなかいっぱい、次は何、注文しようか」などと意味不明な供述をしているので、おでんを追加投入。「あたし、白滝また食べたいな」と、1日でこんなに白滝食いをする女性に初めてお目にかかりました。個人的にはうずら巻きがスマッシュヒット。ギョーザ巻きと比べて生地がボッテリと厚く、出汁と相俟って見事な味わいでした。
「あちらのお客様」が、牛スジ煮込みが大変美味しかったと勧めてくれたので迷わず注文。澄んだスープに丁寧に処理された牛スジ。確かに美味しく完成度が高い。宇ち多゛の煮込みとは雲泥の差である。
立石のお店は有名どころを10店舗ほどお邪魔していますが、当店がダントツに好きです。若く快活で気のきく店員も好印象だし、客の年齢層が若く品が良い。客は店の鏡とは良く言ったもので、立石という地にありながらも比較的アーバンに楽しむことができる酒亭です。立石飲み屋巡りの入門編に是非どうぞ。
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