今回の沖縄旅行の主眼はダイビングであり、酒場巡りをするつもりなど毛頭なかったのですが、数奇なめぐり合わせの結果としてそうなってしまったのでご紹介。
元々は最近沖縄に移住した元同僚と食事をする予定だったのですが、彼の都合が悪くなってしまい当日の17:30に私がスーパーフリーになってしまった。
慌ててネットから情報を収集し(ホント便利な世の中になりました)、ゆいレールの「安里」という駅に「栄町」という飲み屋街があり、その中でもとりわけ「ルフュージュ」というお店が人気のようだという結論に至り、すぐさま電話で予約。
それにしても中国人観光客が多い。ゆいレールに乗っているのは観光客と高校生と中国人のみである。現地の大人はみんな車かタクシーで移動するのです。
■ルフュージュ(Refuge) http://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47012608/
安里駅の改札を左に出るとネオンサインがお出迎え。数分歩いた先の路地にある小さな小さなお店が「ルフュージュ」です。
18時になったばかりだというのに既に満席。それもそのはず、この価格設定だからです。東京の半額。
オリオンの瓶ビールでキックオフ。
真鯛のオイル漬け。これで400円は奇跡である。ウチの近所のピーコックよりも安い。味も普通に美味しく大満足。
サンマとウニチーズテリーヌ。450円という奇跡的な値付け。SOUL'd OUT風に述べれば「ミラコゥ」である。チーズが若干ヤボったくウニの風味を邪魔しているのが残念。一方でサンマはチーズの濃い味をしかと受け止め、総体的には申し分ありません。
煮豚の四川風ピリ辛ソース。ものすごいボリュームと脂身の多さでついに箸が止まってしまう。思っていたほど香辛料が主張しておらず、付け合せの酢漬けでなんとか食欲を誤魔化していると
トドメの汁無し坦々麺。200g近くある麺。味は都心の専門店かそれ以上。なぜこの料理が500円で提供できるのか不思議でなりません。
値段が値段なだけに大した量は来ないだろうとタカを括っていたのが間違いでした。煮豚と汁無し坦々麺に悪戦苦闘していると、突然隣の客に声をかけられる。「お兄さん、この街、初めてでしょ?」推定45歳の女性。すわ美人局かと腰が引ける。「またナンパしてる」と彼女の連れの男性も困り顔。
「もう、無茶苦茶な注文の仕方をしてるから、さっきから気になってしょうがなかったのよね」とグラスワインをご馳走になる。「この街はね、少しつまんで、少し飲んで、すぐに次のお客に席を譲って、他のお店に移動するのがルールなの」。なるほど、沖縄のサン・セバスティアンというわけですな。「わかったらホラ、次、行くわよ」
■末広 http://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47012913/
「末広」。ワインバーです。
ここでは何もつまむことはなく、彼女はボトルを1本注文し、私はご相伴にあずかるだけ。何も食べてないし、金も払っていないので評価は致しかねます。
■GRATO http://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47013880/
ボトルが空になったのですぐさま次のお店へ。GRATOという、雑居ビルの5Fのお店。
テラス席もあったりとシャレオッティで見方に拠っては非常に魅力的なお店。初対面の中年夫妻に栄町武家諸法度を押し付けられながら飲むのではなく、もっと自由に楽しみたかった。
一応イタリアンなお店だったので、イタリアのものをお願いしたのですがことごとく品切れ。仕方なしにチリのカベルネです。まさか那覇で見ず知らずの中年と南半球の洋酒を酌み交わすとは。
前菜盛り合わせが豪華。メロンの熟し方は言うこと無しだし、牡蠣のパテは艶姿たる味わい。店員のひとりが「新小屋(あらこや)いってきまーす」と言って出て行ったので、新小屋って何?と尋ねると、「ん?すぐそこの飲み屋」との回答。ちょっと待て休憩時間に飲みに行くってどういうことだ、と気色ばむと「何言ってんの?栄町あるあるサー」とけんもほろろである。
続いてシラー。このあたりで奥さんはグラスは倒すはワインはこぼすわで正真正銘の酔っ払い。「○○さん今日はご機嫌ですねえ」と店の兄ちゃんにも心配され、その原因は私にあるのですねデュフフ。
〆にリドヴォー。これまたきちんとした調理であり、都心の平均的なビストロよりも腕は上。全く底が伺えない街である。
〆は沖縄料理がいい、と遠慮なくリクエストすると、「うーん、近くに『んっ』っていう名前のお店があるけど、そこを独立した人が出したお店のほうが今は人気あるんだよね。国際通りの近くだけど」
■おりじん http://tabelog.com/okinawa/A4701/A470101/47012289/
ということで、タクシーに乗って到着です。「おりじん」というお店。確かに24時を周っているのにほぼ満席。人気の程が伺えます。
彼女たちは泡盛のボトル。私は翌朝のフライトだからという理由にもならない理由を述べてビールに戻ります。
お通しが妙に豪華。これで一人前。手前の卵が美味しかった。
どぅる天。沖縄の食材である田芋をふかし、豚肉やかまぼこ、しいたけなどを和えて丸めて揚げたもの。もっちりとしたコロッケのような味わいでジャンク一直線。結構好き。
らふてー。これは王道。安心する。
それにしても不思議な夜でした。居心地の良さについ時計を外したくなる。私は天文学的な愛嬌と壮大なノリの良さを併せ持つ人徳の怪物であるため、飲み屋で他人に声をかけられることはままあるのですが、ここまでの仮初な関係は珍しい。
結局のところ彼女たちは夫婦ではなく、互いがバツイチで色々と事情があるため8年も付き合っているのに結婚には至っていないとのこと。それ以外の氏素性は何も聞いていないし、連絡先も交換していない。
ふたりは今夜も若者に声をかけ、楽しく飲んでいるだろうか。いずれ彼女たちがふたりでひとつの幸せを見つけることができればいいのにな。
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