ジャン=ポール・エヴァン/六本木

前回のジャン=ポール・エヴァンはひたすら甘味を暴飲暴食しまくるという試みでしたが、今回は丁重にランチを頂きます。そう、六本木店のカフェは大きくて食事もできるのです。
 サラダやポタージュ、キッシュやグラタンなど、思いのほか選択肢が豊富。どれも1,600円前後。私はサンドイッチを選択。たっぷり野菜。ここ数日、葉物野菜が高騰していて近所のスーパーでレタスが500円を超えたあたりから野菜絶ちしていたので、この盛り付けにはあげぽよです。
 主題であるサンドイッチ。卵の火の通り具合が的確で、噛み締めるたびに溶け出した卵黄が天然のソースのようにうららかに舌先を包み込む。パンの甘さやバターの量も合目的的であり、もしや世界で一番美味しいサンドイッチではあるまいか。ポーションが上品で、成人男性だと少し物足りなさを感じるのが玉に瑕。
さてお待ちかね、ケーキです。ランチは+772円でケーキと飲み物を追加することができます。これは並外れてお得。だって、普通にケーキを買っても700円ぐらいするし、飲み物に至ってはスペシャリテのショコラショ(ココア)が1,400円近くするんですもん。それなのにランチであれば800円程度追加するだけで、その両方を楽しむことができるのです。

ということで、私はマカロンショコラアランシエンヌをチョイス。選択できるケーキの中で最も高価なもの。これは私が心の底から食べたかったから選んだのであり、決して貧乏性だからというわけではない。
 ガナッシュ(生チョコレート)をマカロン生地で挟みこんだ逸品。骨の髄まで濃厚で深みのあるチョコレートに軽やかなマカロンが寄り添う。ここまで高踏的で魅了する作品を造り上げる感性にはただただ敬服。
 スペシャリテのショコラショ(ココア)。前回はパリジャンという、最もオーソドックスな種類を選択し、あまりピンと来なかったのですが、今回はガーナという少しコクのあるタイプを頂いたところ、納得感のある味わいで大満足です。ちなみにガーナは単品で1,400円チョイであり、選択できるドリンクの中で最も高価なもの。これは私が心の底から飲みたかったから選んだのであり、決して貧乏性だからというわけではない。
私は六本木のジャン=ポール・エヴァン芸人と呼ばれるほど当店を偏愛しているため、お店の方よりサービスで生クリームをプレゼントして頂けました。なんと透明感のあるクリーム、旨味があるのに流れるような舌触り。ケーキに付したりココアにぶち込んだりと、童心に返った味わい方を楽しむ。

〆て2,000円と少し。唸るほど安い。そりゃあ日常のランチとしては高めに感じるかもしれませんが、世界最高峰の菓子職人が監修する軽食と自慢のケーキと飲み物を楽しむという体験が、この価格設定というのは恭敬の念しかございません。

客層は小奇麗なマダムとマドモアゼルばかり。恐らくミッドタウン地下1階の飲食店で最も品が良いのではないか。私のようなオッサンひとりが紛れ込み一糸乱してしまったのは恐縮ですが、またお邪魔したいと思います。何度でも。




関連記事
男、かつ、左党の割にスイーツも大好きです。特にチョコレートが好きですね。JPHが基準なので、スイーツの評価は厳し目かもしれません。