ワインをめぐる冒険 vol.4~サンテミリオン、ポムロール~

フランス人の気質を未だに掴みかねている。エスカレーターはガンガン歩くし、階段ではなぜか小走りになるし、どう見ても特に急いでいないのに、パルドンとか言いながら細い歩道を無理に追い抜いてきたりします。
一方で、車が一台しか通ることができない路地に堂々と停車し悠々と荷物を下ろし始め、当然に後ろの車がつっかえてプチ渋滞するのですが、誰もクラクションを鳴らしたりせず気長に待つ。東京なら0.2秒でブチギレられるのに。このあたりの思考回路は是非一度フランス人にインタビューしてみたいものです。
さて、本日はサンテミリオンおよびポムロール観光。ガイドがサービス精神旺盛で、高速道路を運転しながらも後ろに身を乗り出して熱心に語り始めるので身の危険を感じます。
サンテミリオンとはボルドーの北東に位置する小さな街。ワイン造りが盛んで世界トップクラスの銘醸地。一方で、中世ヨーロッパの街並みがそのまま保たれており、世界遺産認定もされています。
ぶどう畑きれい。私は物事が整然としている様を好むのです。
Château Guadetというシャトーを見学。運転手とバトンタッチしたガイド?シャトーの人では無さそう。自己紹介が特に無く、結局最後まで何者かわからずじまいでした。
サンテミリオンには格付けのようなものがあって、当シャトーはJ3的なポジション。しかし彼は「実力はJ2に充分匹敵する。ここは駐車場が小さいからJ2として認めてもらえないんだ」と熱弁してらっしゃいました。
噂には聞いていましたが、地下のカーブは驚くほど気温が低く、湿度が高い。半袖だと寒い。ボトルが常に水滴で濡れている。そしてここもボトルが整然と並んでおり嬉しくなります。
町長?村長?「メイヤー」とのことだったので、首長であることは間違い無さそう。観光客と気軽に会話し写真を撮り、気さくなお方である。

ちなみに我々のガイドは町中のみんなが知り合いぐらいの勢いで、すれ違う現地人全員と握手していました。コネがモノを言いそうだ。この街が関与するニュービジネスは難しいかもしれません。
ワインショップにて試飲。極めて丁寧に、熱っぽく説明して下さいます。
35ユーロ程のものですが、素晴らしかった。何やら立派なランキングで、並み居る強豪を蹴散らし2位を獲得したらしいです。
こちらは特に印象なし。
先ほど見学したシャトーについては、当たり年を垂直で試させてくれました。
うーん、覚えていない。
わ、教科書に載ってたやつや。試飲でこれが出てくるのは嬉しいですね。
おおお、なんと太っ腹な。いやもちろんガイド料に試飲代も含まれているのでしょうが、それにしても有り難いことです。
先ほどのガイドと別れて街を散策。この街は全ての構成要素がワインに捧げられているので潔いですね。しかしながら、ワインに興味が無くとも充分に楽しめる街だとも感じました。とにかく街並みとぶどう畑が美しい。ドブロブニクの青い海の代わりにぶどう畑が広がっているような感じと考えてください。
サンテミリオンはマカロンでも有名です。いわゆる日本人が想像するマカロンは、正式にはマカロン・パリジャンを指し、ツルツルの表面をしたもので、クリームが挟まってます。

サンテミリオンのマカロンすなわちマカロン・ド・サンテミリオンは平べったくひび割れており、一見はクッキーのよう。アーモンドとバターの香りで押してくる感じです。有体に言えば田舎臭い菓子であり、私はスタイリッシュな人間なので、マカロン・パリジャンのほうが好きです。
抜けるような青い空。美しい。
基本的にアジア人が少ない観光地なのですが、なぜかこの一角だけは中国人が常駐し、自撮棒で記念撮影しまくってます。映画やドラマのロケ地とかなのでしょうか。
オーゾンヌ様の見学は手続きが色々と大変らしいので
畑を眺めるのみに留めました。
街一番のレストラン、L'Envers du Decorでランチ。往路の車中で「ランチはどこで摂るつもりなんだい?」とガイドに尋ねられL'Envers du Decorだと答えると、「あそこは良いレストランだ。予約しておいてあげるよ」と気のきく男である。詳細は明日の記事にて。
昼食後はポムロールへ向かう。サンテミリオンの近所であり、同等にワインの銘醸地です。
憧れる。
ぷかぷかと雲が楽しそうですな。
Château du Tailhasを見学。ワイン女子がひとりで切り盛りしており、甲斐甲斐しく説明して下さいます。
メルロという品種。黒ぶどうと言っても最初はこのように白ぶどうと同じ色をしているのです。ついでに言うと、茄子も最初はこのような色合いであり、その色合いと形状を元に「エッグプラント」と呼ばれるようになったのです。
当シャトーもコンクリートタンク。ワインを造る際にコンクリートタンクを使うと初めて聞いたときはゲゲゲと思ったものですが、実際に見ると極めて清潔かつワインの香りが仄かに漂う魅力的なハコです。
整然と並ぶ木樽。ワイン業界は何事も整然としていますな。
縦で試飲させて頂き大満足。2009のほうが美味しく感じたのですが、目を閉じて飲めば結局のところようわからんかったかもしれません。

それにしても今日は一日中酔っている。ばんごはんはボルドーの老舗有名店、La Tupina(ラ・トゥピナ)を予約しているのですが、お酒は控えめにしましょうね。

「ワインをめぐる冒険」シリーズ目次

このシリーズは間違いなく名著。一般的なガイドブックと全く観点が異なり、完璧にワインラヴァーを向いています。ワインがテーマのフランス旅行においては必携!


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