3ヶ月も前から予約した甲斐あってか、3階の窓際、すなわち最高の席にご案内頂けました。広場に行き交う人々や夕日までバッチリ楽しむことができる。気を良くして一番高いフルラインナップのコースを注文。
真夏にボルドーワインだけで通すなど無謀かもしれませんが、先ほどまで散々に試飲していたので、今夜はこの一本に留めます。
ズッキーニとアプリコット。これはびっくりするほどまずかった。絵のような皿で見た目は悪くないのに味が全然だめ。頭の中で「ヤバいレストラン警報」が鳴り響く。当該サイレンが作動したのはコペンハーゲンの『Grønbech & Churchill』以来です。
フォカッチャも無味乾燥で意味不明。ぐぬぬ、ゲストの期待値を下げる作戦だと信じたい。
有塩バターと海藻入りバターはどちらも美味でした。
セレブデトマト的なガスパチョ。生のカタクチイワシ(アンチョイアンチョイ言うてたからたぶんそう)の旨味が強く楽しめました。それにしても今回のフランスではガスパチョ遭遇率が高いです。
ローズマリー入りのパンは見事!これだけで成り立つ美味しさ。
なるほどフォアグラは卒なく旨い。フォアというよりも肉の味が際立つ。チーズのソースは緩く存在感は薄いのですが、ベリーは全体に寄り添う形で問題なし。
ロブスターは出色の一皿。ロブスターの質、ガルニチュール、ソースの全てが最高レベルです。
特にフリット。特濃ロブスターソースをたっぷりつけて食べる幸せといったらない。ソース二度漬け三度漬けで全てのソースを舐め尽くしました。ただ、全般的に味付けが濃いですね当店は。私にとっては好ましいことですが、軟弱なOLはついて来ることができないでしょう。
恭しくカットしてくれるコーンブレッドはボソボソでアウト。ずいぶんとアップダウンが激しいレストランだこと。
続くキノコ盛りあわせも意図がよくわからない。料理を流れで捉えることができず、塩気ばかり強くて疲れてしまう。お腹は膨らまないけれど、味の濃さで満腹中枢が刺激されて少しうんざり。
グラニテ代わりの夕景。写真や文章では伝わらないかもしれませんが、とにかくロマンチックで箱パカプロポーズレベルの雰囲気です。
鳩には参った。この皿に限ってはナリサワよりも上かもしれない。ガブリエルに全面降伏ポツダム宣言受諾します。しかも連れがまたもや「半分あげる」とか言ってくるのですが、今回ばかりはガッツポーズ白木屋風に言うとハイ喜んで。ワインともピッタリで至福のひとときでした。
お待ちかね、チーズです。
クロタンとリヴァロとサントモール・ド・トゥーレーヌと店員推奨(忘れた)の計4種。たとえ僅かであってもチーズの知識があると楽しいですね。インタラクティブに積極的に選ぶ歓び。「おすすめを適当に」と下駄を預けるようなことはもうしない。
ドライフルーツが練りこまれたパンの絶妙な甘みに拍手喝采。
ちなみに連れは「私はもうお腹一杯だからあまり食べることができないけど、あれとあれとあれとあれ」同じく4種とかどうかしてる。店員は「あまり食べることができないけど」を日本人女性の奥ゆかしい言い訳ぐらいにしか捉えず、通常カットでボンボンボンボンと山盛り。その行く末は当然に「ねえ半分食べて」とかお前マジでそういうのいい加減にしろよ。
デセールは一発目はパンナコッタに氷菓。中々に美味しく、スルスルと胃に落ちました。
手前からカヌレに○○(忘れた)、マカロン、アプリコットのゼリー。いずれも素晴らしい出来。ただし、これまでの料理と同様に濃い。連れはさすがにギブアップで持ち帰りをお願い。
メインのデセールはチョコ尽くし!ムースがあると思いきやヘーゼルナッツ味のヘヴィ級。全てが重い。当レストランの哲学を署名するに相応しい一皿でした。
最後にエスプレッソ。これ一杯で1,000円近くするのはちょっとなあ。日本のレストランにおいては食後の飲み物がコースに込みであることが多いですが、フランスは別料金なんです。
大満足で席を立つ。こんな建物であんな料理を楽しんでいたのです。幸せなり。
これぞ王道。これぞミシュラン一ツ星。素晴らしいレストランでした。冒頭に警報がどうのこうのとか軽くディスりかけたことを海よりも深く反省しています。ごちそうさまでした。またボルドーに来る機会ができれば、真っ先に予約を入れたいと思います。
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